人生の転機・Ⅱ
【前回の登場人物】
「ドラゴンマスク」
(種族)ムシ・ドラゴン
(年齢)18
(能力)翼で飛行
(概要)「探検隊」の隊長。
僕の名はカビ助……いや、これは本名じゃない。本当の名はもう忘れてしまった。……いやまあ、今はそんなことどうでもいい!
僕はついに、念願の希望を見つけたんだ‼︎
プルルルル……プルルルル……
電話か。一体誰から……? ピクコノさん? それとも隊長?
「っ……もしもし?」
『ああ、カビ助くん? 今日は君たちの歓迎会だ。準備ができたから、城に入ってきてくれ』
「隊長……! 分かりました。今すぐ行きます‼︎」
よし、今日も冒険の始まりだ。ラッシャイタウンの観光はもう終わりか……。
「やったな、マスター。運命変わったじゃねえか‼︎」
僕は仲間と肩を並べて、夢に見た都会の街を渡り歩く。
「よし、行こう‼︎」
◻︎ ◻︎ ◻︎ ◻︎ ◻︎ ◻︎
あれから、僕らは探検隊に加入することを決めた。
初めて会った時からやってみたいと思っていたし、お父さんの遺骨を探すためには組織に入って都会で過ごす方が効率いいに決まっているからね。
そして、組織に入るとなると大人たちに保護してもらうことができる。ここまで協力してもらったピクコノさんも、ついて来てもらう理由は無くなったというわけだ。
「んだばカビ助くん。達者でな」
正直、最初は余計だと思っていた彼の存在。しかし家に泊めてくれたり道案内をしてくれたり……そして何より、武蔵との戦いで僕を助けてくれた。いつの間にか彼は、僕にとって第二の保護者となっていた。
別れるのは寂しい。だけどこれからの危険な探検に付き合わせるわけにはいかない。
「遺骨のことは、僕らに任せてください。必ず取り戻してみせますから、気長に待っていてください」
僕がそう言うとピクコノさんは微笑む。
「やっぱり頼もしいべな。おらはしばらく、久々の都会の街を満喫するとするだ〜」
「ははは。では、探検の合間に時々顔を見せますね!」
こうして、僕はしばしの別れを告げた。
都会の街、か。僕らは二日ほど観光する暇を貰えていたが、未だ全てを見て回ることはできていない。そして今日からは正式に「探検隊」の一員となるのだ。名残惜しいが……お父さんの遺骨がどうなっているのか、手がかりすら掴めていない今の状況はまずい。できるだけ早く解決するとして、観光はそのあとだ。
「マスター……都会は初めてだっけか?」
ゴハートの声だ。ピクコノさんと別れたから、やっと話せる。
「うん。この雰囲気には全然慣れないよ。いつどこを歩いても、人だらけだ。それにドドリ村と違って老人の数が少ない。いつでもトラブルに巻き込まれそうで常に緊張するよ……」
「ま、若者は金の稼げる場所に集中するからな。俺も生前は都会に住んでいたんだ」
ゴハートの言葉に、僕は驚く。そういや生前の話は聞いたことがなかったな。
「え、ゴハート働いてたの? てっきり同い年くらいかと……」
僕が問うと、ゴハートは笑って答える。
「はは、こんな性格だからそう見えても仕方ないさ。でも言うほど変わらないぜ? 俺は19で死んだんだ」
「え、そんな若い歳で……? なんで……」
僕は咄嗟に声に出して尋ねてしまった。何やってんだ、デリケートな問題じゃないか。
「やっぱ今のナシ! ……隊長が待ってる。お城に急ごうよ」
「……ああ」
普通に振る舞っているが僕にも分かった。声のトーンがいつもより落ちている。
やっぱり死を思い出すのは誰であろうと辛いのだ。それが他人であれ、病気であれ、事件であれど……。
本当に、危ないところだった。最悪の場合、その一瞬で友情が崩壊することだってある。突然の死によって未来が奪われるように。
◻︎ ◻︎ ◻︎ ◻︎ ◻︎ ◻︎
「で…………でっかーーーー‼︎」
思わず声が出てしまった。
これが……都会の、お城…………⁉︎
「そもそも、なんで『探検隊』がこんな豪邸を拠点としているんだ?」
確かに……本によれば、お城というのは街の偉いひとの住む場所だという。
いくらドラゴンマスクさんがすごい人とはいえ、なんでお城を……?
「……それは、この街の代表の許可をもらっているからだよ」
「あ…………ドラゴンマスクさん!」
お城の扉を開いて、ゴハートの質問に答えたのは僕の尊敬する人。
探検隊に入ってから、彼の話し方は前よりもフランクになった気がする。
「こらこら、私のことは隊長と呼ぶように言っただろ? そもそも、その名は本名ではないからね……笑」
本名じゃない……?
まあ確かに、今までお洒落な名前だと思っていた「ドラゴン」という単語は、種族の名前だったな。気になるけど……詮索はよしておこう。
だって僕も本名じゃないし、隊長と共通点が見つかってなんだか嬉しいからね!
初版は急展開すぎたのでピクコノさんとの別れなどを付け足しました。これから他の章も改善していきます(2025/12/30)
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