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FIND FIXER:切り札は、この掌の中に。  作者: パタパタさん・改
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初めての戦争①

 「んじゃ、僕のターンからで。ドロー」


 レッドワーフは面倒臭そうに自動山札(オーブ)からカードを引き、並べられた手札に加えてシャッフルする。


 「まずは『中継魔導士 アルター』を召喚する」


 レッドワーフのやる気のない掛け声で魔法陣が展開され、中から沢山の本を抱えた白衣のオジサンが出てきた。


 『ふぉふぉふぉ、年長者を働かすなぞ年寄りに対する敬意ってもんが足りんの』

 

 Text――――――

 『中継魔導士 アルター』

 種族:人 魔法使い

 コスト:無し P:4000

 特殊効果:自分が召喚する”魔法使い”のコストで払うMP消費を1少なくする。

 ――――――――


 「わっ!」


 突然カグヤの目の前にカードの詳細を表示するプレートが出現し、驚きの声を上げる。

 だがこれでは終わらない。

 レッドワーフのターンはまだ終わってはいないのだ。


 「次に、『土の魔法使い ロック』を召喚する」


 今度は全身を土色にした服を着用した、杖片手の筋肉質な漢が出てきた。


 『土属性を扱う時は、自分もまた土と共に土となるのだよ・・・』


 「ちょっと何言ってるのか分からないですね」


 Text――――――

 『土の魔法使い ロック』

 種族:人 魔法使い 土 

 コスト:無し P:4000

 特殊効果:『タンク』

 ――――――――


 表示されたカードの詳細にカグヤが首をかしげる。眼にとまったのは『ロック』に書かれてある特殊効果の『タンク』だ。

 名称効果はおそらく強い、という感覚がカグヤの頭の中を彷徨うがしかし、効果にいちいち目を奪われている暇はない。


 「『山札干渉魔法 ONE DRAW』を発動。MP2を払ってカードを1枚引く」

 

 Text――――――

 『山札干渉魔法 ONE DRAW』

 種族:ドロー

 コスト:MP2 

 特殊効果:自身は山札からカードを1枚引く。

 ――――――――


 「手札が増えたって、えぇえぇ・・・・」


 「増えたって言っても5枚の手札が5枚の手札になっただけなんだが・・・」


 「うぅぅぅ、私だってあのダメージ受けた分だけドローする奴引くんだからぁ!!」


 「『不屈の反撃魂(インデュア・ソウル)』な。限界突破カードを50枚以上の数の中から引くなんて奇跡、そう起こらねぇよ。それに、冒険者のそのデッキに『不屈の反撃魂(インデュア・ソウル)』は入っていない」


 「えッ!?そうなの・・・・・?」


 カグヤが「アリエナイ!」と宇宙人みたいな声を出してあわあわする。

 そんな美少女幼馴染の豹変っぷりにレッドワーフが頭を抱える。


 「スタートデッキの後ろ側にデッキ内容書いてあっただろ・・・、なんで見てねぇんだ・・・」


 「馬鹿なのかコイツ・・・」と、少なくとも人間としては見ていない眼でカグヤを見ながら、その手はしっかりとデッキからカードを引いていた。本能的な何かなのか、話しながら別の事をすると言うマルチタスクを平然とこなしていたのだ。えぇ、ハイスペックやんけ・・・。


 「それじゃ、アタック&ブロックフェイズに入るかね・・・。アルターでデュエリストに攻撃」


 『ふぉふぉふぉ、このクソガキ。老いぼれを使い潰す気じゃ・・・。鬼!悪魔!非人!』


 「きゃっ!」


 老いぼれアルターの攻撃方法、なんと本を投げてきやがった。魔法使いの癖して物理で殴るとは魔法使いの風上にも置けやしねぇ!後、本を大事にしろ。


 カグヤ ライフポイント(LP):10→9


 本の角に頭を殴打されたカグヤが低く呻く。痛覚は存在しないが、風に打たれたような感覚が頭に残る。頭をさすりながらカグヤはそんなことを思う。


 しかしそんな思いはこのターンで終了だ。何故ならレッドワーフの先攻が終わったからである。


 「僕はこのままターンエンド」


 「よし!私のターン!ドロー!!」


 流れ作業の如く、まるで学校の体育祭で見かけるバトンタッチの如く、二人は敵同士であるはずなのに何故かとても息が合っていた。


 「MPが3で、ライフが9・・・。ここはコレで攻めるべき・・・?いやいや、見たことない『タンク』とか持ってる奴居るし・・・。そうだなぁ、まだシフルちゃん来てないし・・・、しょうがない!私はMP1を支払い『盗賊団団長 リドー』を召喚!そしてLP1を支払って『冒険者 シン』を召喚!」


 Text――――――

 『盗賊団団長 リドー』

 種族:人 冒険者

 コスト:MP1 P:4000 

 特殊効果:このカードが連携攻撃をして相手にダメージを与えた時、相手の手札1枚を破壊する。

 ――――――――


 Text――――――

 『冒険者 シン』

 種族:人 冒険者

 コスト:LP1 P:7000

 特殊効果:このカードが連携攻撃をした時、MP1を支払って良い。払ったらこのカードは再攻撃が出来る。この効果は1ターンに1度だけ使える。

 ―――――――


 『ちッ。・・・・誰から盗りゃ良いんだ・・・?』


 『何故ボクは、勇者に選ばれなかったんだ・・・・』


 魔法陣から現れたのはやけに物々しいことを口ずさむ蛮族みたいな男に、なんか闇落ち展開のありそうなセリフを吐くイケメン剣士だった。


 冒険者と言えば暑苦しいと思われるが、どう見ても今の光景はどうしても暑苦しいとはかけ離れた、正に別のイメージだった。


 そして―――、


 「私は『イベント! 応援募集』を発動!私の場のキャラの数が相手のキャラ数以下だったら、デッキの中から”冒険者”1枚をコストを払って特殊召喚できる!」


 Text――――――

 『イベント! 応援募集』

 種族:召喚

 コスト:無し 

 特殊効果:自分の場のキャラ数が相手以下であれば、デッキから”冒険者”1枚をコストを払って特殊召喚する。

 ――――――――

 

 「・・・・強いな」


 ボソッと、レッドワーフがプレートに書かれたカードの詳細を見て呟く。何をどう見て強いと言えるのかはその人が見えている世界だけだ。

 勿論、彼の独り言はカグヤには「何を言ってるのか?」程度で聞き流される。


 「私は自動山札(オーブ)から・・・・・・うーん・・・・『支援魔導士 ロブ』を特殊召喚。ロブの効果でデッキから『イベント! パーティ団結』を手札に加える!」


 Text――――――

 『支援魔導士 ロブ』

 種族:人 冒険者 魔法使い

 コスト:無し P:2000

 特殊効果:このカードが場に出た時、デッキから”コスト:無し”の魔法1枚を手札に加える。

 ――――――――


 『はわわわわ、出されてしまいました・・・・。どうしよう!相手魔法使いだし!裏切られたと思うだろうなぁ絶対!!』


 ロブ、という名前にしてはあまり強そうな印象を受けない可愛いショタが顕現した。大きなまんまるの目を更に開いて相手の場を見て驚愕する。同胞を相手にするとは思ってもないようで、もう半泣きだった。


 そんな弱々しいロブの詳細が表示されたプレートを見ながら、レッドワーフは満足そうに頷いた。なんだ?ショタイラストに興奮する変態か?不審者はこっちですよ。


 「私は今手札に加えた『イベント! パーティ団結』を発動!私の場に居るキャラの数に応じて受け取れる恩恵が違う魔法カードらしいのよ!凄いでしょ!」


 「カードがな」


 胸を張って誇らしげな顔を作るカグヤの台詞をレッドワーフがバッサリと斬り飛ばした。

 まぁ分からん事でもない。自身の扱うカードの癖して「らしい」発言を飛ばすあたり、脳による試行錯誤は無いものとして扱っていいだろう。

 流石に今の発言には堪えるものがあったようで、カグヤは半泣きだった。


 「ひどい!カードが強いだなんて!!私は凄くないの!?」

 

 「ヤンデレスイッチ入ってるぞ。OCGでUWやったことあるから分かるんだが、カードは強い。だがしかし使ってる奴がなぁ・・・・というのは結構あった」

 

 「ぶぅ~!!」

 

 「出荷前の畜産の顔をするな美少女が。―――あえて言うなら、一応凄いな悪くない」


 「えっ」


 パァッとカグヤの顔が明るくなった。チョロ過ぎる。

 聞き直そうとするカグヤに、レッドワーフは軽く溜息を吐く。


 「とりあえず早く魔法撃つなり、攻撃するなりしてくれないか?」


 「えッ!?・・・あ、ごめん。はい。魔法使います・・・」


 Text――――――

 『イベント! パーティ団結』

 種族:回復 ドロー 

 コスト:無し 

 特殊効果:自身の場に居る”冒険者”の数に応じて効果を発動する。

      2枚:MP+1。

      3枚:LP+2、MP+1。

      4~7枚:LP+3、MP+3。

      8~9枚:LP+6、カードを2枚引く。

      10枚:LP+3 MP+3 カードを3枚引く。

      このカードは1ターンに1度しか使えない。

 ――――――――


 カグヤ ライフポイント(LP):8→10

     魔力エネルギーポイント(MP):2→3

 

 現実に帰還してサラッとLPとMPが元の後攻の状態に戻るカグヤ。

 1ターンに1度と言えど、毎回毎回こんなことをしてこられると粘り戦争とか言う現実的に一番被害の出そうな戦争になりかねない。

 それはカグヤも分かっているようで、すぐさま攻撃を仕掛けるつもりだ。


 「アタックアンドブロックフェイズ!まずはリドーとシンでレッドワーフに連携攻撃!」


 『相手のライフを刈り取ってやるぁッ!!』


 『ボクの研鑽を見せてくれる!!』


 カグヤが指さしたと同時に動き出す二人の冒険者。

 動きこそそれぞれ全然違っていたが、その息は完全にシンクロしており一瞬にしてレッドワーフに詰め寄った。


 だが―――、


 「ロックで守る」

 

 『任された!我が土の壁。私もまた一つの土!土の気持ちは全ラで触れ合うことd』

 

 『『失せな』』

 

 『ぎゃああああああああああああああああああッッ!!!!!』』


 何か気持ち悪いことを言い出してレッドワーフを守るロック。

 だが哀れかな、やられ口上も満足に言えずに冒険者二人によって消し飛ばされてしまった。

 しかし、レッドワーフの手札は減らされることは無かったのだった。


 「これが相手の攻撃を防ぐ固有名称効果『タンク』だ」


 「そんな事って出来るんだ・・・・」


 一体何に対する”そんな事”なのかは定かではないがしかし。

 唖然とした表情でレッドワーフの台詞に学習するカグヤ。やはりは素人なのか、其処ら辺の臭いがプンプンする。

 だがすぐに真剣な表情に戻り、シンの効果を発動させる。


 「シンの効果で私のMP1を払って再攻撃。そしてロブも攻撃!」


 「シンは攻撃力が7000あるから受けるとして、ロブ君には退場してもらうか・・・。対抗魔法(カウンターマジック)『火魔法 フレアフラム』。P4000以下のキャラ1枚を破壊する」


 レッドワーフが唱えた直後、ロブの立つ床に魔法陣が浮き上がり刹那で飛び出した業火によって断末魔さえも残さずにロブをバトルフィールドから消し飛ばした。

 しかしその排煙の中からシンが飛び出し、レッドワーフに剣を振りかざす。


 『同胞の絆、魂、心、・・・しかと受け取ったぁッ!!』


 「くッ!!」


 シンの振り下ろした斬撃がレッドワーフのライフを削る。


 まだまだやり足りないと思われるが、しかしここでカグヤのターンは終わる。


 「・・・・ターンエンド」

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