第七話 都市の構築
魔物の楽園ナザ。
これまで、人族は入り込む事が出来なかった地域である。
漆黒竜ベネボレス以外の魔物も強く。人族では侵攻不可能とされていた。
クリーマン皇国も何回かの侵攻をするも、占領的価値が低い事から、基本放置しながらも自国の領内として発表していたに過ぎないのである。
昨今、ナベリウスによって漆黒竜ベネボレスは従属する事になり、ナベリウスの統治下になった場所である。
とは言え、基本的に魔物は自由である。
統制は取れないのが普通なのであるが、ナベリウスは只人では無い。
スキル【魔獣支配】更には、言霊【命名】による統制がおこなえるのである。
智無き者は、スキル【魔獣支配】により、智有る者は言霊【命名】により統制出来る。
もちろん、従わない存在があってもおかしくない。
しかし、智無き者も智有る者も関係ない程に圧倒的な力をナベリウスは持っている。
つまり、この魔物の楽園ナザにおいての頂点であった漆黒竜ベネボレスを従属させた事により、簡単に他を従属させる事が出来るという訳だ。
野生における上下関係は弱肉強食の原理であり、強い事が至上なのだから。
◇◇◇◆◇◇◇
「これで、ゴブリン種は最後となります。お疲れ様でした。」
「あぁ。本当に疲れたな。明日からはトロール種か?」
「はい。」
先ほど名を与えたゴブリンが光輝いている中でナベリウスの質問に横に居たスーザンが答えた。
現在ナベリウスは言霊【命名】をしている最中である。ノーネームと呼ばれる魔物に名前を与える。それにより只の魔物は進化を果たす。ゴブリン種はホブゴブリン種へと進化していた。しかも人化しており、より人の様な感じを受ける。肌が緑色である事が、彼らがゴブリン種である証なのだろう。
彼らは、先のカーリアン帝国の侵攻軍を襲撃した魔物達である。
生き残った者達を解放しようとした時に、彼らが懇願したのだ。
『我らを御導きください。』
ただ、その意志だけではこの魔物の楽園ナザに連れてくる事は出来なかっただろうし、ナリ―タ達もナベリウスに進言する事も無かっただろう。
では、何故このような事態になったのか?
それは漆黒竜ベネボレスの存在である。彼が人化したのを目撃したナリ―タが理由を問うた。そして答えの中にある言霊【命名】という存在を知った。
更に、ナベリウスの言葉が彼女達を動かした。
『国を建てる』
『生きとし生けるモノ全てを民とする。』
その言葉を、漆黒竜ベネボレスから聞き、進言する事に至ったのである。
『ぜひ、彼らを最初の民として受け入れてやってください。』
その言葉に、ナベリウスは頷いた。
自分に保護を求めてきた存在を放置出来ないとして。
もちろん全ての者が望んだわけでは無い。
それでも尚、5万程いた魔物の軍団の中から四万もの魔物が願い出た。
そして、その初めにゴブリン種からの【命名】となったのである。
その数およそ三万人。
彼らは、只の魔物であるゴブリンとは違い。進化したのである。
更に、野生のボブゴブリンとは違う形での進化である。人化という方が正しいのかもしれない。
「キャシー。統治するには食糧問題や、統治が必要になるが、その辺の知識などはあるか?」
「無い事はないのですが、専門職ではなりません。」
「わかった。先ずは城の麓に城下町を建設しよう。誰が適任か?」
「難しいですね。元騎士ばかりですからね。やはりギャネックを指導員とサポート役とさせて、眷族となったボブゴブリンの面々から選び教育するしか無いと思います。」
「であろうな。わかった。ギャネックに任せよう。」
「かしこまりました。ギャネックの補佐はミーシャとヘレンで宜しいでしょうか?」
「ああ。構わん。」
「かしこまりました。」
キャシーはその後、ギャネックとミーシャとヘレンを呼び、ナベリウスが直接の指示を出した。
シャーラが建造指揮している城。
その下に位置する街の建造からである。つまり、王都という事になる。
その建造にはボブゴブリン達が多く関わる事になる。
また、その後オークの人化したハイオークやハイトロール等が加わり、一気に加速していく。
知識は元人間族であり教師をしていたギャネックを中心に人間族の文化を発揮したモノとなる。
王城:デストロイ。
首都:プルト。
その原型が構築されていく。
城は守り易い城という概念にシャーラの指導の元、堅牢で煌びやかな王城になる。
城下町は首都である事もあり、大きく敷地面積を余分に用意している。
その敷地面積の外側には外壁が設置される。冥王ハデス神の神殿も建造された。
『ナベリウス。お前は本当に面白い奴だな。まさか、信徒を増やす事になろうとは思わなかったぞ。』
「何をおっしゃいますか。我が主よ。私を使徒にした時点で、我が主の意向をこの世界に広めるのもまた、私の役目ではありませんか?」
『くっくっく。確かにそうとも言えるな。良いだろう崇め祭れ。我が信徒には我の守護を与えん。わっはっは。』
「承りました。」
『本当に飽きさせない奴だ。お前を選んで正解だったな。お前の造る国に我が守護を与えよう。その内、我の眷族もお主に紹介しよう。』
「ありがとうございます。楽しみにしております。」
『ああ、楽しみにしておけ。ではまた。』
こうして、ナベリウスの主である冥王ハデス神もナベリウスの後押しをしてくれる事になった。つまり、ナベリウスは冥王ハデス神の教皇という立場を得たのである。




