初めて夢を見た日 2
変な月を見てしまったことで街中の人々から無表情で見つめられる中、唯一周囲と違い険しい顔をしていた人物との会話、その後の記録です。
かすかな記憶やメモを頼りに書き出したものですので分かりやすくするために若干の改変や実際の会話の言い回しとは異なる部分もありますが会話内容の大筋は合っていると思いますのでご了承ください。
「」←私の言葉
『』←私以外の人物の言葉
・←その時の周囲の状況、人物の行動、私の心情
・周囲の無表情で見つめてくる人々に怯えながら怪訝そうな顔で空や周囲を気にする人物へ歩いて行く
・近づいていくと、こちらに気づいたようで顔を見ながらため息をつかれる
「すみません、ちょっと伺いたいんですが」
『あんただろ、月を見たのは』
・明らかに不機嫌な様子で責め立てるような、呆れた様子で言い放たれる
「その月について教えて欲しいんです。なんなんですか?あれは」
『は?』
「えっと、気が付いたらここにいて、教えてくださいお願いします」
『見てはいけないものだろ何言ってんだ』
「見てしまった私は、どうなるんですか」
『何回目だ、何回見た』
「はい?」
『両指で数えられる程度なら特に問題ねぇよ、このキモイ夜が来てクソ迷惑だけど』
・悪態をつきつつ会話をする我々(正確には月を見た私)を無表情で見つめる人々を見回し
月が無い方角の空を指さしてこちらを睨む
『そもそも気が付いたらここにいた、なんだそれ、記憶喪失かなんか?』
「違うんですが、ただあの月とこの夜についてのことが抜け落ちているというか」
『ますますわけがわからない、付き合いきれん』
・吐き捨てるようにつぶやき、足早にその場を離れるその人物
この世界で異質なのは自分の方で、これが当然の対応だろうかと悩む
・未だに自分を見つめる無表情の人々に目をやり、一番近い位置にいた人物に話を聞きに行く
「すみません、大丈夫ですか?」
『あ、はい』
・先ほどまで無表情でだった人が、話しかけた瞬間に我に返ったように見える
「あの月とこの夜についてお聞きしたいんですけど」
『いいですよ』
「あの、認識できるんですか?あれを」
『ええ、あそこにあるじゃないですか』
・正直無表情の様子から会話ができないことを想定していたため驚く
「あれはなんなんですか、この夜は、普通の月は?」
『月は月ですよ、見ちゃだめなんです。夜は月に呼ばれてくるんです』
・先ほどの人物同様これ以上有益な情報が得られないと思い、この人含め周囲の無表情な人々について聞こうとあたりを見回すと赤黒かった空色がうっすらと元に戻りつつあることに気づく
「空の色が戻ってきていませんか」
『お昼に呼ばれた夜ですから、しばらくすると戻りますよ』
「その呼ばれた夜とは何ですか、普通の夜もあるのですか?」
『月を見てしまうとお昼でも夜でもこの夜が呼ばれて訪れるんです。夜は来ますよ、朝が来てお昼になって夕方そして夜です』
・我に返り淡々と質問に答えているように見えるが、それが先ほどの人物に比べて機械的でどこか不気味に感じる
「あなたや周りの人々が月を見てしまった私を凝視していたのはなぜですか?」
『………』
・急に黙り込み、目が合っているようでこちらを見てない
「あの、聞いてますか、大丈夫ですか?」
『あ、はい』
「どうして私を見ていたんですか」
『………』
・また同じ様子で黙り込む
気が付けば空が明るくなっており、ほぼ呼ばれた夜が明けようとしていた
『あれ、私は、あなたは誰ですか?』
・急に目の前の人物が先ほどと変わって明るい口調になり、驚いた様子で聞いてくる
周りの無表情だった人々も正気を取り戻したようで一瞬困惑したかと思うとおそらくそれぞれが呼ばれた夜が訪れる前に行おうとしたことのために動き出していた
「あの、先ほどから聞いている質問に答えてくれますか」
『何を言ってるんですか?先を急ぎますので失礼します』
・怯えたように私を見ると翻してその場を足早に離れる
その後、道行く人に同じような事を聞きましたが二番目に話しかけた機械的な方のように答えてくれる人はおらず、変人を見るような目でまともに取り合ってもらうことはできませんでしたが
いくつか確証のある情報を収集できました
無表情で見つめてきた人々は、月や呼ばれた夜について何も知りえないこと
しかし、月のある位置については無意識的に見ないようにしている様子で何故見ることができないのかを問うとどう答えて良いかわからず困惑し、何かおかしいことになっているから?と数名だけはこちらに聞き返すように絞り出した返答をしてくれた
そしてどうやらここで初めて夢を見た時の記録が終わっており
記憶の中でもこの先を覚えていないため一日目はここで終了したようです
次回はおそらく二回目に夢を見た記録もしくはこれまでの情報のまとめを行うかもしれません




