第3話 入団式 ④
「陽翔ーー! 手合わせしようぜー!」
背後から、いきなり腕が首元に回された。
「わっ……!?」
「昨日の動き、結構良かったんだよな!
もう一回やろうぜ、今度はちゃんと縛るからよ!」
力は軽い。締める気などまるでない、ただの悪ふざけだ。
赤く刈り上げた髪に、鍛えられた肉体。烈は年上らしい余裕を浮かべたまま、無邪気に笑っている。
「ちょ、烈さん……!」
そのとき――
「……離しなさい」
明らかに機嫌の悪い声だった。
烈の腕が、ぴたりと止まる。
振り向くと、腕を組んだ千景が立っていた。
小柄な体に灰色のショートヘア。
鋭い黄色の瞳が、烈を真っ直ぐ射抜いている。
「何よ朝っぱらから。新人に絡むのやめなさい」
「絡んでねぇって。可愛がってるだけだろ?」
「そういうのを絡むって言うの」
千景はため息をつき、烈を睨む。
「それに——あんた、昨日の掃除当番、サボったでしょ」
「はぁ!?」
烈が大げさに声を荒げた。
「サボってねぇし!
昨日はルール違反の罰で筋トレしてたんだよ!
時間なかったんだっつーの!」
「だからって免除になるわけないでしょ」
「理不尽かよ!」
「自業自得でしょ!」
二人の言葉がぶつかり合い、ぱちぱちと火花が散る。
「……もう、朝から元気ね」
少し呆れたような、それでいて柔らかい声。
澪が二人の間に歩み寄った。
紫がかった薄ピンクの髪が、肩の上でふわりと揺れる。
穏やかな薄ピンク色の瞳が、言い合う二人を包み込むように細められた。
「掃除の件は、あとでちゃんとやればいいでしょ。
今日は顔合わせの日なんだから」
「……ふんっ」
「……ちっ」
千景と烈が同時に視線を逸らす。
澪はくすっと小さく笑った。
「ほら。二人とも、深呼吸」
その一言で、張り詰めていた空気がふっと緩む。
薫は机の書類を整えながら、慣れた様子で小さく息を吐いた。
近衛は腕を組んだまま、その様子を静かに見ている。
どうやら、これも日常の一部らしい。
「……あんたは、気にしなくていいから」
千景がちらりと陽翔を見る。
険しい表情のままなのに、その瞳だけは不思議ときつくなかった。
「烈は放っておくと、調子に乗るだけだから」
「おい!」
烈がすかさず突っ込む。
「今の絶対余計だろ!」
「事実でしょ」
「ちくしょう!」
そのやり取りに、陽翔は思わず小さく笑ってしまった。
騒がしくて、くだらなくて、
でも、不思議と落ち着く。
――昨日まで、噂でしか知らなかったクラン。
今はもう、その中に自分が立っている。
陽翔は、無意識に肩の力が抜けていることに気づいた。
(……悪くない)
誰かが怒鳴っていて、
誰かが呆れていて、
それでもちゃんと、誰かが止めてくれる。
そんな当たり前の光景が、ここにはあった。
ここから始まるのは、戦いだけじゃない。
こうした日常も含めての――
“暴黒の獅子”なのだと。
名前:鋼崎はがねざき 千景ちかげ
年齢:23歳
性別:女性
身長 :155cm
体型:華奢・ぺちゃぱい
性格:ツンツンしてるが、本質は誰より優しい
能力:鍛成(鉄属性)武器や盾を錬成する能力
髪色、灰色
瞳 黄色
顎下くらいのショートヘア。
守谷もりや 澪みお
25歳
170cm
グラマラスで女性らしい体型。
髪色 紫がかった薄ピンク
瞳 薄ピンク
能力 活性 体の組織を活性化させ回復する。
巨乳で女性らしい体つき。
無意識に人を惹きつける雰囲気を持ち、距離感が近い。
仕草や声色に色気があるが、本人に自覚は薄い。




