新選組深海アジト
妖怪マーメイドの胸は偽乳だったでござる。
恐らく、本当の大きさはあの拙者が刺した右の小さな胸――。
右胸を手で隠し、泡で乳首を隠すマーメイドは叫ぶでござる。
「チョット! 何て事してくれるの! 私のオッパイが偽乳だってバレたじゃない!」
「……いや、戦闘中の不可抗力でござるよ。こっちも必死故にそこまでは考えていないでござった。すまぬ」
「すまぬじゃないわよ。危うく死んでる所よ! チョットは手加減しなさいよ!」
「いや……これは戦いでござるよ? 別にここを大人しく通してくれれば拙者達の争いは無く、マーメイドも平和でござろう?」
「ぐぬぬ……そんな正論聞きたくないわ!」
アクビをするミツバはそのスキをつき、ウインドカッターでマーメイドの残る左胸のスターボムも攻撃して破壊した。ボンッ! と衝撃が弾け爆発が起こるでござる。バキューン! とピストルを撃つポーズのミツバは胸を張り出し言う。
「もう負けを認めたら? ギニュー変態のアワワワーンさん」
「アワワ……その乳は天然か? 屈辱よ! そうよ……貴女こそギニューだわ!」
「違うよーん。ミツバちゃんは天然巨乳なのです!」
「証拠は?」
と、二人は言い合いになるでござる。
……もう、やめるでござるよ。
頭にしているエアバルーンの酸素も残り少ないし、早く進むでござる。
そう思う拙者は、次の瞬間鼻血を出した。
「ミツバちゃんのオッパイは天然だもんね!」
バン! と身体に巻かれていたワカメを剥ぎ取ったでござる!
素晴らしく張りのある天然巨乳にマーメイドは戦意を喪失した。
そしてミツバは言う。
「巨乳になる魔法もあるよ? 国王に工事魔法を開発する時についでに作ったし。でも、魔力か妖力を常に消費するからオススメはしないけど」
「やるわ! その魔法を教えてちょーだい!」
「オッケー! でもここ通し乳首?」
「いい乳首よ! あっあう……」
ミツバはマーメイドの両乳首をいじり笑う。
ほーほー。
これでここは無事突破出来そうでござるな。
エアバルーンの空気も残り少ないし、早く海底洞窟に行くでござる…って、まだミツバはマーメイドの乳首をいじっている。こやつ、もしや隠れドSでござるか?
「もう、やめるでござるよ。マーメイドがくすぐられ過ぎて悶え死ぬでござる」
「ほーい! 最後にギューン!」
そしてマーメイドは絶叫するでござる。
次は拙者が絶叫させよう……とは、思っていないでござるよ!
バシバシッ! と頬を叩き、拙者達はマーメイドの案内で海底洞窟に潜入した。
※
「見つけたぞ新選組!」
『!?』
その藍色のダンダラ羽織の群れは、一様に振り返る。
拙者とミツバは海底洞窟の新選組アジトに到着したでござる。
ミツバは魔力を高め、拙者の援護態勢に出た。
何とか新選組の百鬼夜行開始に間に合ったでござるな。
おそらく彼等が進もうとしていた先にある扉は転送ゲート。
新選組をワープさせる転送ゲートでござろう。
あそこに入られるわけにはいかない。
瞬時に抜刀しそうになる新選組一同を、天才剣士が止めた。
「フフフ……アオイさん。まさか、ここを突き止めますか。血ート剣客は千里眼でも持っているのですか?」
「そんなものは無いでござるよ沖田殿。土方殿の好物のシャケがこの食用魚が住まない湖に住んでいるのを不審に思い偵察すると、そこに敵がいた。それはその奥に隠しアジトがあるという事でござる」
「へぇ……そんな所から。だから魚なんて生臭いものを食わなくてもいいじゃないと言ったのに。隊士じゃなくてシャケに逃げられるなんて、土方さんも馬鹿だなぁ」
フフフ……と沖田殿は笑う。
「確かに隊士の脱走ではなくシャケの脱走。流石の土方殿もそこまで頭が回らなかったのであろう」
そして、新選組の一団の奥にあるゲートについて聞く。
「沖田殿。そのゲートは転送ゲートでござるな? おそらく、スザク王国の近くにワープ出来る転送ゲート」
「さぁて、どうですかね?」
「どうですかねも、こうですかねも無いわ! このミツバちゃんには全部プリっとお見通しなのよ!」
その意気揚々としたミツバは言うでござる。
「ゲートは転送先を魔法や妖気で刻まないとならない。……まさか、前の襲撃は百鬼夜行の力を手にしてから完全スザク王国を征服する為に、転送ポイント構築のみを目的にした襲撃……」
「威力偵察でござるか」
その拙者の言葉に、新選組隊士は動きそうになるが、沖田殿が抑えた。
その怜悧な瞳になる沖田殿の口が動く。
「ミツバさんの言う通りです。魔法剣士達が魔法に集中して新選組の動きが止まり、互いに膠着状態になった時に地面に転送ポイントを仕掛けたんです。ピンチはチャンスですからねぇ」
フフフと沖田殿は笑う。
拙者の判断が結果的にあのゲートを完成させたか。
これから先はスザク王国内部の結界も更に強化し、転送魔法などが出来ないようにしなければならぬ。
「ミツバ、この戦が終わったら頼むでござるよ」
「あいよ! ミツバちゃんに任せときんしゃい!」
「これから死ぬのに、何を寝惚けた事を言っているのです? 血だまりの夢に沈みなさい……」
死を撒き散らす息を吐いた沖田殿は刃を抜いた。
その背後に、三人の妖怪が現れたでござる。
それは、新選組に協力する妖怪でござった。
『ここは我々に復讐をする機会を与えてもらう』
ヌリカベ、砂かけ魔女、イッタンモメンは揃って言う。
ぬらりひょんの腹心である三人の妖怪が現れたでござる。
これは人妖戦争を終わらせた拙者への復讐。
ならば受けて立たねばならぬ。
そして、早期に百鬼夜行を行おうとしている新選組をここで阻止せねばならぬでござる。
すると、桃色の紙をポニーテールにまとめ、新たなる脅威に警戒するミツバは言う。
「アオイ。あいつらは私が相手して、アオイは新選組を転移前に倒せばいいんじゃない?」
「いや、あの三人の妖怪は拙者が相手をしなくてはいけないでござる。人妖戦争を終わらせた拙者のケジメとして復讐には応じるでござるよ」
「そっか……ならオッケー! ちゃちゃっと倒して新選組を追いましょう!」
そして、拙者にぬらりひょんを倒された復讐をしに来た三人の妖怪は言う。
巨大な壁であるヌリカベは叫ぶでござる。
「巨大壁! ヌリカベ!」
犬のような動きの妖怪魔女は言った。
「砂かけ石化! 砂かけ魔女!」
イッタンモメンは空中を上下左右、縦横無尽に飛んで、キリッ! と振り返り言う。
「空中疾走! イッタンモメン!」
『三人合わせて……』
シュタ! と砂かけ魔女が何かのスイッチを押した。
そして決めポーズを取る。
『ぬらり三人衆見参!』
ズバババーン! とぬらり三人衆の背後で盛大な爆発が起こるでござる。
ほーほー、結構な火薬量でござるな……?
「熱いっ! 萌えちまう! じゃねえ、燃えちまう!」
イッタンモメンは先っぽに火が燃え移り、うろちょろしてるでござる。
何やら無駄な時間を稼がれてるでござるな。
「せいっ! はっ! とっ!」
『うげぇ!』
拙者は隙だらけのぬらり三人衆を攻撃した。
すると、その三人は凄く怒ってるでござる。
怒られる必要は……無いでござるよ!




