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異世界血ート剣客 拙者・葵光剣は異世界に貢献するでござる!  作者: 鬼京雅
二幕・異世界転生せし新選組動乱編
21/33

新選組のアジト探しの旅

 そして、拙者の過去話は一旦終わるでござる。

 桃色のポニーテールの毛先をいじりつつ、ミツバは言う。


「……そんな過去があったんだねアオイには。アオイを助けてくれた新選組の人が、このスザク王国の魔力

クリスタルで完全転生してバクーフ大陸全土も支配する。確かに……できちゃうかもね。あの人達、人を殺す事に何の躊躇いもないもん。だからこそ、少数でもキョートって町を守れてた組織なんだろうけど……」


 ミツバは渇いた喉に、濃いめのカルピスで潤す。

 拙者も茶を飲み、小休止するでござる。

 ミツバの表情は大きく変わっていない。

 決して陽気ではない、他人から見れば陰気で暗い殺人集団である新選組の話を聞いてミツバの心境が変化するかと思いきや、そうではなかったでござる。


「ミツバ、新選組と戦えるでござるか?」


「やるよ。タカスギとの戦いの前で覚悟は決めたからね。正義はそれぞれだけど、私達の正義は間違っていない。それを証明するために戦うよ。私はアオイの相棒だからね」


 その桃色の強い瞳は迷いの無い美しい瞳だった。

 どうやら、聞いた拙者が間違っていたでござるな。

 すまぬ、ミツバ。


「と、まぁここまでが拙者が新選組に入隊した話しでござる。そろそろ日付も変わる。話はまた後日にしよう」


 ? と言う顔でミツバは言う。


「えー、そのムカツク皮肉屋、肉屋のザキヤマの話は?」


「ムカツク奴と言う認識で十分でござる。奴はタカスギ以上にムカツク可能性があるから注意するでござるよ?」


「え? マジで? ミツバちゃん困っちゃう! フォー!」


 ミツバは夜でも元気でござるな。

 まぁ元気な方がいいでござる。

 そして、新選組のアジトを突き止める為に拙者は話そうとするが、ミツバはガサゴソ! と何やら布に巻かれた長い棒を出したでござる。


「急造だけど、退魔たいまの剣を作ってみた。見てくれる?」


 拙者は一振りの剣を渡された。

 それは脇差わきざしほどの長さのつばの無い刀だった。この王国、スザク魔法騎士団はソードが主流でござるが、拙者は刀ではなくては調子が出ないので妖怪の里から刀のような剣をもらっていた。その一本をミツバが改良してくれたようでござる。拙者はその退魔の剣を抜く。


「……何とも、清廉潔白な剣でござるな。この剣からは人を殺める特有の殺気が無いでござる。まさしく、魔を祓う剣。退魔の剣でござる……」


 拙者はその剣に見とれた。

 この剣ならば新選組隊士が霊体として動いていても倒せそうでござる。

 これで、もう見逃す事は無くなるでござるな。

 ミツバは新選組隊士に対抗する為に新しい武器が必要と感じていた。

 拙者の清流刀では霊体時には実体剣では斬れないハンデがある。

 それを解決するには退魔の魔法が必要になるが、拙者には魔法が使えない。

 ので、ミツバは退魔の魔法と武器の掛け合わせた剣を作ってくれたでござる。

 嬉しいので、拙者は桃色の髪を撫でてやるでござるよ。

 ニシシ! と笑うミツバは、


「霊体なら祓う魔法が必要かな? いや、それより悪霊を祓う剣……退魔の剣が必要ねと思ってね。やっぱミツバちゃんは天才なり!」


「自分で言うなでござる。にしてもこの退魔の剣は短いでござる……」


「魔力と武具の一体化は難しいのよ。妖怪とか霊には効果あるから!」


 とは言うが、やはり脇差程度では狭い室内ならいいが、広い場所での戦闘となれば不利でござる。 

 それについてミツバは言う。


「その剣は完璧に仕上げたけど、他の刀は全部折れたわね。やっぱ、聖なる魔力を長い刀に込めるってのは難しいわ。その短い刀が限界ね……今は!」


「そうでござるか。だがミツバは天才。いずれ長い刀にも凄まじい魔力を込められるのでござろう?」


「そんなんモチモチ! モッチモチー! ミツバちゃんのアソコも、ココも? モッチモチー!」


 ほーほー。

 ミツバは胸を揉んだり、お尻を揉んだりして踊ってるでござる。

 そんなに揉んで欲しいなら拙者が揉んであげるのに……という場合ではなくて、


「有難く頂戴するでござる。これにて対新選組の対策は出来た。後は満月の夜である明後日までに新選組のアジトを見つけ、破壊し百鬼夜行ひゃっきやこうを阻止するでござる」


「当然よ! アオイの過去話で新選組の理解を深めて凄い人達だと思ったけど、支配とか侵略とかミツバちゃんのおメメの桃色な内はそんな事はさせないんだからね!」


 ミツバはまたフォー! と両手を広げポーズを取る。

 すると、拙者の右手が突如軽くなる。


「……ぬ?」


「ニャー」


 と鳴き声を上げ現れた白猫に退魔の剣が奪われたでござる!

 魚ではなく剣を盗むとは不思議な猫でござるな……何やら理由があるのでござろうか?


「またあの白猫ね! アオイ! 大丈夫!?」


「退魔の剣を奪われたでござる。この室内なら捕まえれば何とかなるでござろう。それにしてもあの白猫……まるで気配が無かったが妖怪でござるか?」


「おそらく妖怪すねこすりの仲間でしょうね! 私はただの白猫のシロって呼んでるけど! ……って、もう逃げられちゃうわよ!」


「わ、わかったでござる!」


 シュタタ! と逃げる妖怪白猫を追いかける。

 どこから入って来たかわからぬが、二階の方へ逃げたでござるよ。

 その白猫はミツバの寝室に入り込む。


「待てーい!」


「待つでござる!」


 シュン! シュン! と素早く白猫は動く。

 拙者が畳んだ下着や服も荒らされるでござる。

 許せぬでござるな!

 すると、白猫はミツバの桃色のパンツを退魔の剣の先に引っ掛けた。


「コラ! 私のパンツも盗んだ!」


「コラ! ミツバの下着は拙者が洗濯して毎日、茶色い汚れを落としているのに汚すなでござる!」


「は!? そんな汚れがミツバちゃんにあるわけ無いじゃない!」


「いや、あるでござる。拙者が洗濯をしてるのだから間違いない」


「ないわよ」


「あるでござる」


「ない」


「ある」


「いな!」


「るあ!」


 互いに譲らぬ二人はギュ~っと頬をつねり合う。

 すると、白猫はすでに姿を消していたでござる!


「ミツバ……夫婦喧嘩をしてる場合じゃないでござる!」


「そうね……て、夫婦喧嘩じゃないし!」


「確かにそうでござるな」


 照れるミツバと共に追いかけた。

 一階に下りる階段でバナナの皮に引っかかり二人はコケる。

 ゴロゴロゴロ! と転がりミツバの股間に顔をうずめる拙者は罠をしかけた妖怪の姿を見る。


「ニャニャニャ!」


 白猫は笑っているでござるな……。

 もう許せぬ。

 血ート剣客モードで行くでござる。


「ミツバ……血をもらうでござるよ」


「え? マジで? しょがないな……」


 ねっとりと舌を這わせ、ねちょねちょとミツバの首筋に吸い付く。

 ペロペロペロ……と舐め、首の肌を刺激し、愛撫してからその唾液を吸う。


「あ……」


 ミツバも相当感じている。

 そして軽く甘噛みし、微かな血を吸う。

 舌先を小刻みに動かし、血と唾液でミツバの全身を快楽へ誘う。

 そう……もっと感じろ。

 その悶えと興奮が拙者の血ート剣客モードを更に強くする。

 腰をミツバの尻に押し付け、左手でヘソを刺激し、右手で頭を傾けて固定する。


「行くぞ……」


「はぁ……ああっ! ああああっ!」


「……はうう……って! こんな猫に使うものじゃないでしょ!」


 ミツバのツッコミによって拙者は正気に戻る。

 夜は血が猛るから我を忘れそうになって困るでござる。

 そして拙者は居間にて白猫を追い詰めた。


「もう逃がさないでござるよ白猫。冷静になった拙者には勝てないでござる」


「ニャニャニャ!」


 と、何やら余裕、余裕と言ってるような鳴き声でござるな。

 その瞬間、ミツバは頭の上に豆電球が浮かび一つの策が浮かんだでござる。


「ピッカーン! こ、これよ! 流石ミツバちゃんは天才ね!」


「ほー……ほ!?」


 突然、拙者の下半身が肌寒くなる。

 ミツバは拙者の赤褌をロープのように投げた!


「それーーーっ!」


「ほーほー……何という策でござる。まさかこんな事に拙者の赤褌を使うとは……」


 拙者の赤褌に巻き付いて白猫を捕まえたでござる。

 その白猫は言葉を喋った。


「く、臭いニャ」


「ほーほー……臭くはないでござる。嘘はいけない」


 ギュ! と白猫をつねる。

 そう、嘘はいけないでござる。

 すると、赤褌を触るミツバは液体のついた指の匂いを嗅ぎながら言う。


「何か、アオイの褌ヌルヌルしてるね。おしっこ漏らした?」


「漏らしてないでござるよ。ヌルヌルは自然現象。それよりも、この白猫でござる」


 口にくわえていた退魔の剣を回収し、白猫を開放する。

 おとなしくなる白猫は茫然と拙者を眺めているでござるな。

 決して褌が臭いから意識が朦朧としてるわけじゃ無いでござるよ!


「んんっ、どんな妖怪かは知らぬが、食えぬ物を盗んでも仕方あるまい。魚焼き魚でも食うでござる」


「ありがとニャ!」


 パクパク! と白猫は残り物の焼き魚を食べる。

 そして、ミツバにくすぐられた後、外に逃がしたでござる。

 その後姿を眺める拙者は呟く。


「あの白猫妖怪。新選組の間者かんじゃでなければいいでござるが……」


「え? あんな弱い妖怪猫がスパイ? 無いでしょ?」


「この世界なら、無くはない話しでござるよ」


 そして、騒動が治まった魔法研究所の居間にて拙者達は話す。

 何と、ミツバは血を直接吸わなくても〈血ート剣客〉になれる方法を編み出してくれたらしい。


「血の問題も解決できそうだよ! リスクはあるけどね!」


 何やら透明なカプセルに入った赤い錠剤を渡されたでござる。

 ついでに説明書も渡され、それを読んでいるとミツバは言う。


「それにしても、一国を動かすほどの魔力を秘めた魔力秘宝・クリスタルか……。噂では聞いていたけど、本当にあるんだ。でも、国王しかその在り処はわからないはずよ。もし王族の人間が知ってるなら、あのタカスギが黙ってるはずないし、絶対に人妖戦争で利用してたはずだからね」


「確かに……それだけの力があるならば、タカスギが使用するのは至極当然。カツラ国王しか知らぬのは道理でござるな」


 拙者はカツラ国王に聞いても、おそらくはクリスタルの在り処は教えて貰えぬだろうからもしもの時はカツラ国王の側にいる事にした。それがクリスタルを守るには一番の近道でござろう。

 そして、クリスタルとスザク王国を守るには新選組のアジトを見つけ、その場所で倒してしまうのが手っ取り早いでござる。拙者はミツバと共に、新選組のアジトになる場所であろう痕跡を辿る事にした。

 翌日、城下町で聞き込みをしていると、最近スザク王国との交流が途絶えた街があるらしい。

 恐らくそこが新選組のアジトでござろう。

 こちらから先制して出向き、退治しに行くでござる。





 新選組がいるらしい街へ行く事にした拙者とミツバは、おそらく裏で新選組が支配しているエイプリルの街に到着したでござる。このエイプリルの町はそれなりに大きく、東西中央に三つの風車がある。何故か最近、物資も全て届かず途絶えているものがあるので、この町が怪しいのは間違いないでござろう。入口に立つ野菜のカゴを担ぎ、帽子をかぶる拙者はミツバに言う。


「ここでじっとしていてもラチがあかない。どかにいるでござろう。進むでござるよ」


「オッケー!」


 拙者達は野菜売りに化けて進入したでござる。

 この街は普段通りに生活しているようだが、どうにも住人の顔色は優れず市場にも活気が無い。とりあえず空いてる場所に荷物を降ろし、拙者とミツバは地面に布を敷き、野菜を並べた。りあえず野菜売りをしながら、住人に情報を引き出すでござる。隣の魔法石を売る老人に話を聞く。


「ご老人。拙者達はスザク魔法王国から来た野菜売り。ここで野菜は売れる需要はありそうでござるかな?」


「魔法王国から来たのか……ならばもう、この街の物資が魔法王国に輸送されて無い事もわかるよのぅ?」


「あぁ、わかるでござるよ。何か、言いたげな顔でござるな。拙者で良ければ聞こうか?」


「いや、いい。……今はやめとく。とりあえずキャベツ一玉もらうとするかの……」


(……嫌な視線を感じるでござるな)


 遠くから、確実に数人の視線を感じる。

 どうやら、この市場を監視してる者がいるな。

 おそらく、この市場には新選組の監察方が売り子に化けて潜伏しているでござる。

 その人間がこの場所での会話を逐一聞いてるのだろう。


(確かにこれでは喋れぬな。おそらく、他所の場所から来た人間と密告した人間は始末されている……ならば策は一つしかないか)


 このままではラチがあかない。

 新選組監察に監視されたこの場所は確かに厄介だ。

 しかし、裏を返せば新選組隊士と出会えるチャンスでもある。

 観察部最強忍であるザキヤマが動く前に動いてやるでござる。

 奴は出し抜いてやらねばならぬからな。

 バッ! と拙者は変装を解き、立ち上がる。

 ホゲ! とミツバは驚く。

 ゴミ箱の中で監視していたザキヤマは瞳を細めて、どこかへ消えたらしい。

 そして拙者は叫ぶ。


「こうなれば堂々とした方がいいでござるよ。出てこい! 新選組!」


 すると、その市場から人が一気に消えるでござる!

 ズザザザザッ! と蜘蛛の子を散らすように商売人がいなくなり、周囲は閑散とした場所になったでござる。するとミツバは、トマトをかじりながら言う。


「あーれま! 一瞬で消えたね。残ったのは掃除の人だけだね」

「そうでござるな。敵も拙者の出方に驚いたのかもしれぬ……?」


 すると、その清掃の人物の後姿に何か違和感を感じた。

 ホウキをサッサッと動かす仕草は早く、手馴れているでござる。

 ミツバの前に立ちその後姿を警戒をしながら拙者は思う。


(ザキヤマが動いてきたか……いや、奴がこんな堂々と姿を現すはずがない……! あれは! あの掃除姿の男は!)


「ん? これはこれはアオイさん。こんな所で会うとは奇遇ですねぇ」


「沖田殿……」


 ホウキを持って掃除をしていた沖田総司殿が現れたでござる。

 沖田殿は霊体になっても起きて掃除をしていた。


「沖田殿の日課は起きて掃除だった……相変わらずでござるな」


「フフフ……起きて掃除は当たり前ですよ。朝はすがすがしく目覚めて気持ちよく始めたいですから。血の雨を、降らせるにはね」


 言うと、沖田殿はホウキを投げ捨て、スタタッ! と現れた忍から白鞘の刀を渡され腰に帯びる。

 その忍ザキヤマは拙者の方を向いてバーカと口を動かしていたでござる!

 ムカツク!

 ……いや、今はそれどころではないでござる。

 拙者は新選組一番隊組長・沖田総司殿と戦う事になった。


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