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異世界血ート剣客 拙者・葵光剣は異世界に貢献するでござる!  作者: 鬼京雅
一幕・人妖戦争の闇 タカスギ・シンクウ一派との戦い編
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闇の主 タカスギ・シンクウとの戦い2

「散れ! タカスギ・シンクウ!」


「散るかよ!」


 血ート剣客モードになる俺の清流刀せいりゅうとうがタカスギの首筋を捉えた。

 しかし、そこにもタカスギの覇王武具はおうぶぐ盆暗煙管ぼんくらきせるの煙が現れ防がれる。

 全くダメージを与えられてないわけでは無いが、致命傷には程遠かった。

 タカスギは全身に纏う煙を上手く利用し、防御からのカウンターを仕掛けて来る。

 先の先を狙う俺と、後の先を狙うタカスギ――。


「いつまでもそんな煙が通じると思うなよ!」


「煙に巻かれるのも乙なもんだぜ」


「言ってろ」


 瞬間、高速移動術・瞬歩しゅんぽにてタカスギの眼前に現れた俺は清流刀を大きく振り抜いた。

 タカスギは胸元を斬られ、背後の壁に激突する。

 そして無言のまま立ち上がるタカスギに言った。


「このまま無双してやるぜ」


「ケケッ、愉快、愉快、不愉快! ってんだろ? いいぜ、いいぜ……俺もどこまでやれるかがわかって来た」


「タカスギ……この状況で自分の力を試してるのか? そこまでの余力があるとは思えないがな」


「お前さんには感謝してるぜ。俺の奇兵軍の軍勢を突破しここまで辿り着いた。褒めて使わす。お前が俺の腹心としてバクーフ大陸を支配する尖兵となるのだ。盛大に喜ぶがいい」


 ケケッ……と笑い、タカスギは盆暗煙管を吸い言う。

 赤い前髪をかきあげ呆れる顔をした俺は、


「頭沸いてんのかタカスギ? 俺はオメーをブッ倒しに来たんだよ」


「そう焦るなよ。所詮、戦争など金の力が左右するもの。俺の軍勢は壊滅したが、ここで学んだ事がある。タカスギ奇兵軍には一騎当千の猛者がいないということだ。モンタは金策担当だし、シュンは政治担当が一番向いてる。つまり、組織のナンバー2に当たる人間と俺の強さに開きがありすぎるという事実をお前に教えられたよ。そして、俺を超える強さの猛者がいないと言う事にもな」


 タカスギはこれからバクーフ大陸全土を支配する為に、組織のナンバー2の力を重要視する事にしたらしい。この世界に点在する一騎当千の猛者は金か自分の力でねじ伏せれば問題無いと感じていたが、この血ート剣客である俺の動きを見てタカスギは考えを改めたようだ。

 唯我独尊のタカスギの考えを変えさせる人物は稀な存在であったらしい。

 その人物である俺は赤い髪の頭をかき言う。


「その考えはいいかも知れないが、俺はあくまでこの世界の平和に貢献する血ート剣客だ。支配や混乱をもたらす奴に手を貸すつもりは無い」


「ここで俺を支えればこれからの仕事も面倒を見るぞ? これから世界は大きく変わる。外の世界は鉄鋼業を中心とした商業社会に変貌始めていて、戦争という手段はもちろんあるが、金勘定の取り引き戦争が基本のようだ。それなら、血も流れずに平和じゃねーのかい? お前さんには工場、事務、経理、営業……どの部署でも最高の仕事をさせてやる。このタカスギ・シンクウの右腕として働けアオイよ」


「貴様の戯言は聞き飽きた――」


 もう決着をつける。

 この男の話を聞いている限り、スザク王国だけではなくバクーフ大陸そのものが大きく変貌し、人間同士の戦争を起こすキッカケになってしまう。カツラ国王には悪いが、国王の息子でもここで始末するしかあるまい――。


清流鬼神流せいりゅうきじんりゅう! 華厳けごん突龍しりゅう!」


 確実に相手を殺す突き技の華厳けごん突龍しりゅう

 これにて、終わらせてもらう。

 すでにタカスギの盆暗煙管の煙の防御力は理解しているからこの突きで確実に倒せる。

 ミツバも寝ている事だし、このままこの館ごと燃やして全ての悪を俺が背負えばいい。

 カツラ国王には悪いが、この盆暗息子は悪意そのものだ。

 生かしておけば、いずれバクーフ大陸全土が混沌と絶望の渦に陥るだろう。

 故に、俺は新選組・闇の武時代と同じように心を鬼にし、こやつを殺す。


(終わりだタカスギ――……!?)


 しかし、その必殺の突きはタカスギの心臓を貫く事は無かった。


「……タカスギ、貴様。器用な事をするな。愉快、愉快、不愉快だぜ」


 俺の突き、華厳の突龍はタカスギの左胸を軽く刺しただけで止まっていた。

 盆暗煙管の煙が刀の切っ先を防いでいたようだ。


「ケケッ、盆暗煙管の煙を一箇所に集めなきゃ死んでたな。心臓を狙う突き技って事は、俺を殺そうとしたな? いいぜ、いいぜ。それでこそ戦いってもんだ!」


「死ぬのが遅れただけだ。すぐに始末してやるよ」


「おう、やってくれ。俺は肉体の力を試させてもらうぜ。チート能力に対して、この覇王武具である盆暗煙管がどこまで対抗出来るか試す」


 ふと、タカスギがどこでその盆暗煙管を手に入れたのかが気になった。

 タカスギの腹心のモンタは自分で手に入れたらしいが、このタカスギはどうやって手にしたのか?


「その覇王武具は貴様が自分で覇王ダンジョンを見つけ攻略し、手に入れたのか?」


「この盆暗煙管は親父からもらった。覇王迷宮ダンジョンは時折このバクーフ大陸のどっかに現れる。親父やモンタから聞く限り命懸けの迷宮らしいぜ。モンタなんぞ、首から下はなます斬りにされて大変だったようだ。ケケッ」


「カツラ国王から!? あの女装国王がそんなダンジョンをよくクリア出来たな……」


「親父も昔は、まともだったんだがな。母親が死ぬ前まではな。まぁ、あれが本性なら仕方あるめぇよ。人間はそれぞれだ。それぞれが面白く、生きればいいのさ」


「なら……」


「なら、何だ棒切れ侍?」


「か、刀が!?」


 瞬間、俺の清流刀が紫の褌に奪い取られていた。

 煙に巻かれた紫の褌に――。

 どうやら、戦闘の初期に俺の血ートパワーに驚き、小便を漏らしたから褌を捨てたわけじゃなく、俺の刀を無くす為の罠だったようだ。

 やってくれるぜタカスギ……!


(清流刀はタカスギの背後か。すぐに取り戻すのは無理だな)


 どうやらタカスギは素手での力比べをしたいらしい。

 俺は素手では弱いと思われてるのか?

 阿呆が!


「なら、望み通り素手でやってやるぜ。これで負けたら貴様はただの盆暗だ」


「ボンクラのボンボンの力を見せてやるよ。……アームド・オン」


 シュパアァ! とタカスギは白銀に輝くダイヤモンドのような甲冑を見に纏う。

 アームド・オンという能力らしい。

 覇王武具である盆暗煙管の使用過多で相当に疲れてるんだろう。

 額の汗と息切れが物語っている。

 そのタカスギは覇王武具の使用から切り替え、金持ちのボンボンとして言う。


「一億を出して購入したダイヤモンドシリーズの攻撃力、防御力の前ではたとえお前さんの速さが閃速でも無意味なのだ。どれだけスピードが早かろうが紙切れのようなものだぞ」


 ガシィン! と両拳を叩くタカスギは言う。このダイヤモンドシリーズの価値はバクーフ大陸でも高く、極大魔法や攻撃でさえ傷一つつかない実績があった。俺は首を鳴らし、拳をガッ! と鳴らし宣言する。


「よーし、決めたぞ。その金の装備をブチ抜いてお前の生身をブン殴る」


「所詮この世は金の力こそが絶対正義! 俺は金の力で世界を無双する!」


「ごちゃごちゃ五月蝿いぞ成金ボンクラ」


「その血ートの拳ですらまず無意味だと悟らせて心を折ってやろう」


「後で泣きべそかくなよ!」


 ガスッ! と決めた一撃がきかない。


「ほーほー。本当かよ……」


「圧倒的性能のこのダイヤモンドメイルの前ではどんな敵も敵ではない。金の力は偉大だろう? 全ての人間は金の為に生き、金の為に魂を売り、そして殺人さえ行う。人の心も金が全てを動かしている」


 億単位の金額であるゴールドシリーズの攻撃力・防御力共に高く、俺の拳もほぼ無効化されてしまう。

 ガガガッ! と数度の打撃を俺は浴びた。


「……くっ!」


 だが、敵が強ければ強いほどこの俺は興奮し、更なる力を出せるんだぜ。

 それが元新選組・闇の武の俺の力――。


「いいじゃねぇかダイヤモンドシリーズ。貴様に勝って、俺はお前の金にまみれた心を折る」


「ケケッ、ピヨってるお前さんが言う事かな?」


 頭に数個の星が浮かぶ俺にタカスギはニヤリと笑い言う。

 そしてガッ! と拳を叩き合わせ、ニッ……と笑みを浮かべ、類稀な殺気を放つ俺達は最終ラウンドへとボルテージを上げる。

 楽しく……なって来たぜ!



 

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