白く吠えるは獅子の声、黒く迫るは蟲の牙
本日の投稿でス、あの…ホントすみません、最近マジで2本目が投稿出来てない作者です…すまない、本当にすまない。
か、書こうとはしてるんです…途中で凄まじい睡魔に襲われてですね……と、取り敢えず本編!
――ドボォ!――
「ッオイオイなんだなんだァ!?」
「コレはッ、〝黒妖虫〟…!?」
シュテンとヴォルフ、ドクターとチサトの攻防は、その刹那…己等の狭間から溢れ出した大量の〝黒〟によって、強制的に終わりを告げる。
――カチカチカチカチカチカチッ!――
不愉快な音を掻き鳴らしながら、黒は天を登り…ニュートの街…その空を覆い尽くしていく。
「――コレが…〝切り札〟…?」
「――…マジか、だがコイツァちと可笑しいぜ?」
魔獣の指揮官は、己等を避けて進む〝蟲の群れ〟を前にそう言い…聖獣の指揮官は黒の濁流から逸れ、街に飛び交い、生命を貪ろうとする〝逸れ者〟達を処理しながら…その異様に言葉を紡ぐ。
「こんな数ッ…何処に隠していた…!?」
「……いや、それより…この数は…不味いな」
思わず紡いだその言葉に、答えが返ってくる事はない…二人の視線は、頭上へと向けられ…その視線は更にその中心…凄まじい魔力の渦巻く〝黒い繭〟へと向けられていた。
○●○●○●
――ドクンッ――
ソレは、新たな〝肉体の鼓動〟である。
――ドクンッ――
ソレは、王たる獣の生誕である。
――ドクンッ――
数多の眷属が、王の為にその身を捧げ…その生命は、唯一つの〝個〟へと、存在を昇華させる。
――ドクンッ――
胎動と拡縮を繰り返す黒き繭は…その瞬間…繭を突き破る様に伸ばされた〝腕〟によって、その役目を終える。
「〝我は災いである〟、〝我は滅びである〟」
――ブブブッ、ブブッ…ブブブブブッ!――
繭から響くのは、傲岸さを隠す気すら見せない、男の声…その声は繭を破りながら繭から這い出すと赤黒い粘液をその身から振り落として…その姿を世に晒す。
「――〝飢えの災い〟、〝貪り喰らう牙〟――〝終末の代行者である〟」
その姿は、その背に4対の蟲の羽を背負い…整った顔に生気のない蒼白い肌をした、貴族風の男…その男は赤い視線を眼下の街並みに注ぎながら…粛々と、自らの口上を紡ぎ…その身から溢れんばかりの悍ましい魔力を吹き荒らす。
「〝人よ、聖獣よ〟――〝我の対なる、秩序と善の走狗共よ〟」
その魔力は瞬時に周囲の虫達に伝播し、魔力に充てられた虫達は…その瞬間一斉に街へ降り注ぐ。
「〝我が眷属の血肉となって死するがいい〟」
その瞬間……悍ましく暗い魔力が、ニュートの街を包み込んだ。
●○●○●○
「おぉ…コレはコレは…遂に相手も〝本気〟を出して来た訳だな!」
天の魔を見上げながら、地の聖はそう言い…迫り来る〝小さな貪食〟を、その身その力で塵芥が如く処理して行く。
「うむ、であれば成る程…俺が倒すべきは〝奴等〟か…〝アーク〟…〝この男〟を任せたぞ!」
周囲の虫達を、その剣戟で切り捨てて居た男は…背後のレリックと、アークを尻目にそう言い…その瞬間…一層速く得物を振るい…周囲の虫共を鏖殺する。
――ドクンッ!――
「『〝昂れ、獅子の鼓動〟!』」
そして、男の宣言と共に…男の体からは凄まじい魔力が放たれる…ソレは、周囲の不浄の従僕を容易く吹き飛ばし…男はその身を屈め…脚に力を込め…剣を構える。
「行くぞ、〝我が友〟よ!」
――ドッ!――
その瞬間、男の姿は消え…大地を穿つ〝白き影〟は…暗き街を駆け巡る…その場、その空間に犇めく不浄を踏み潰して。
――『グルルルルッ!』――
その猛進する〝魔力〟は…金毛を靡かせる獅子の姿を象り…大地を飛び上がると〝不浄の中心〟へ目掛けて牙を向く…その瞬間。
――『ズドォォォンッ!』――
地面を、空を…震え上がらせる程の轟音が、街全体に響き渡った。
○●○●○●
――ブブブッ!――
「ウワァァァァッ!?!?」
「誰か、誰か助k―」
魔獣達に打ち壊された民家から、隠れ潜んでいた人々が溢れ出る…場はまさに地獄絵図、人と獣の骸が入り乱れるそそ戦場には常人の精神への配慮など有ろう筈もなく…赤黒く染まった〝かつての日常〟が、彼等を喚き叫ぶ肉人形に変える…そして、その先の末路など…大抵悲惨なもので。
――ズオォォッ!――
突き抜ける〝黒い濁流〟が…刹那、彼等を物言わぬ骸に変える…それだけならまだマジだろう、一瞬の内に生命を絶たれたのだから。
――ザクッ、ザクッザクッザクッ!――
「ヒィッギッ、ァァァッ!?!?」
その四肢を切り裂かれ…抵抗の余地無くじわりじわりと殺される者達が居た。
「来るな、来るなァ!」
「「「グルルルルッ…!」」」
狡猾な獣に追い詰められ、徐々に精神を侵される者も居た。
当然、不浄とて死に、殺されよう…だが、その場には確かに…〝民の悲鳴〟が響き渡っていた。
「フフッハッハッハッハッ!…良い、良いなぁッ…魔物、魔獣たるもの〝こう〟でなければ!」
その光景を眺め、悦に浸るベルゼは…まるでオーケストラの指揮者の様に身振り手振りで悲鳴を聞き…醜く笑う…まるでこの舞台の主役に立ったかの様に。
「ベルゼ――お楽しみは結構だけど、此方の〝仕事〟に戻って下さる?」
そんな彼へ、私はそう告げると…彼はピクリとその動きを止め…小さく非難するように私をその目に捉える。
「フン、風情が無いな貴様は…折角の〝盛り上がり〟を楽しまぬのは無粋であろう」
「――生憎、〝この状況〟を楽しむ感性は持ち合わせていないもので…それより、速く〝種〟を寄越しなさい…その為に場を整えたのよ?…時間を無駄にしないで」
「――全く…貴様は顔は良いと言うのに、中身はまるで鋼の様に冷たい女だな」
「生憎〝興味の無いモノ〟に熱くなれる人種じゃないの、私はね」
し飽きたベルゼとの軽口を片手間に…私はベルゼの手から生み出された〝ソレ〟を受け取り…懐に仕舞う。
「――それでは、後の事は任せるぞ〝マオ・ディザイア〟」
「えぇ、後は私の管轄ね…それじゃあ」
「うむ――では、我は早速〝奴の相手〟をするとしよう…!」
そして、私とベルゼが其々の目的を持って動き出そうとした…その刹那。
――ゴォッ!――
「『〝唸れ、戦獅子の咆哮〟!』」
凄まじい魔力の〝予兆〟が私達を包み込み…その瞬間…私とベルゼは其々の〝最適解〟を弾き出す。
――バッ!――
「『〝従僕よ、我に生命を捧げよ〟』」
ベルゼの言の葉に、周囲の〝蟲〟が収束する…ソレはベルゼの右手に寄せ集まり、集約し…〝群〟から〝個〟へ…その生命を〝圧縮する〟…。
「『〝貪り喰らえ、昏き牙よ〟』」
そして、その瞬間…空を焼きながら迫り来る〝荒々しい白の濁流〟に対し…ベルゼは、その祝詞と共に、抑留していた〝魔力〟を解き放ち…〝黒の濁流〟を正面に振るう。
――ズドォォォンッ!――
ソレは数秒の間もなく衝突し…凄まじい爆風と轟音を奏で…〝相殺〟される…そして。
「ハッハッハッ!――久しいな〝ベルゼ〟!」
「やはり貴様が【聖獣の王】か、〝レオナルド〟」
黒と白の【王】は…この戦場初の邂逅を果たした。




