蟲の魔人と共謀者
本日の投稿…どうも皆様こんにちは、泥陀羅没地に御座います。
昨日は投稿出来ずに申し訳ない…言い訳になりますが風邪を引き申した…ユルサレヨ…ユルサレヨ…。
今の所体調は落ち着いてるので本日は2本目を御期待下さい…3本目は…どうだろう。
――ザワザワザワッ――
騒乱に暮れる冒険者達の、遥か地中…彼等の目が触れることの無い僅かな〝隙間〟を縫うように…黒い虫達は一点へと向かう…。
――ザワザワザワッ!――
其処は、古く朽ちた…打ち捨てられた〝下水道〟…街の発展と共に忘れ去られた下水道の一区画…その遥か最奥のガラクタ山で…虫達は〝羽音の声〟を奏でる。
「「「まさか、まさか…聖獣共がこうも早くやって来るとは思わなかった」」」
その声はそう言いながら、徐々に集る虫達を〝統合〟し…黒い虫の〝人型〟を作り始める。
――ブブッ、ブブブブッ――
「「それに存外、〝厄介な賓客〟も居るようだ…」」
その人型は独り言にしてはやや大き過ぎる声量でそう言い…自らの身体に〝人の皮〟を被る。
――ギョロッ――
「――〝何者〟だ?…〝お前〟は?」
そして、〝着替え〟を終えたその〝男〟はそう言うと…その視線を、一点へ向け…そう問う。
『……』
しかし、その問いに答える声は無く…無言、沈黙が満ちる状況に…その男は顔を顰めながら再度問う。
「――〝貴様〟だ、まさかバレていないとは思っていまい…我が眷属に混じり、我の後を追っていた〝小蝿〟よ…姿を現さぬなら、そのまま叩き潰すぞ?」
――ゾォッ――
そして、男がそう言い…自身の身体から黒い魔力を仄めかすと…遂に、〝声〟が紡がれる。
「――止めた方が良いんじゃない?…下手に魔力を出すと上の連中に勘付かれるでしょ?」
「ッ!」
その声は背後から紡がれ…その声に男が振り向くと…ガラクタ山の中腹に、〝声の主〟は居た。
「はぁいミスター?…中々良い部屋ね?…湿っぽい臭いが偶に傷だけど」
その顔には薄い笑みと…悦楽に溶けた赤い瞳が貼り付けられ…赤い視線が男へと注がれていた。
○●○●○●
「…さて、貴様は〝何者〟だ?」
私を見て、彼は問う…その問いに答える前に…私は〈看破〉で、彼のステータスを覗き見る。
――――――
【ベルゼ】 LV48/50
【下級魔人】
HP:24800/24800
MP:19800/19800
満腹:45%
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――――――
《〈看破〉のレベルが上がりました!》
「――無駄だ、貴様如きの看破では、我が力の一端すら暴けまいよ…なぁ、〝マオ・ディザイア〟?」
「――えぇ、そうみたいね」
当然の如くレベルが上がる看破が、私と彼との〝差〟を強調する…そして、相手は私が格下である事を理解したのか…余裕を顔に出しながら私へ告げる。
「――さて、互いに名を知った所で…改めて問おう、貴様は何者だ?…よもや人間の味方ではあるまい…〝此方側〟で有るのだからな…とは言え、貴様は先刻…確かに〝人間〟を守った…〝邪悪の獣〟で有りながら…貴様は〝何方〟だ?」
「生憎、私は聖獣も悪獣もどうでも良いのよねぇ…ただ、何方が私の利益になるかを考えて動いてるだけだもの…結果的に人を殺すし、利益になれば人を助けるだけ…それだけよ」
私は、彼にそう答えながらガラクタ山から降り…言葉を紡ぐ。
「――だから、貴方の前に姿を現したのも〝ソレ〟が理由…人間側だったら、貴方の住処を暴いた時点で人間達に知らせてるわよ」
その言葉に、彼は少しばかり納得した様に頷きながら…私へ探る様な目を向けて問う。
「ふむ…では、我に何を望む?」
「――私の〝作戦〟への協力を…見返りとしては、そうねぇ――」
その問いに、私は待っていましたと言わんばかりに、彼との距離を更に詰め…耳元で囁く様に、〝報酬〟を告げる。
「〝街の人間〟の半分はどうかしら?」
「――ほぉ…大きく出たな〝小娘〟…詳しく聞かせるが良い」
その、余りにも大きな報酬に…彼は一瞬驚きを浮かべながら…私を見て、その目を邪悪に輝かせる…。
「――えぇ、〝勿論〟よ♪」
そうして…私は第一の〝役者〟を、舞台に引きずり込むのだった。
●○●○●○
「――〝貪食のベルゼ〟?」
薄暗い下水道から打って変わって…其処は質素で無骨な冒険者ギルド…その中で、誰かがその名を紡ぐと、その言葉に白い鴉と白い梟は深く頷く。
「〝魔獣〟に属する〝彼方の獣〟の中でも、指折り数えて厄介と言える相手だ…まさか裏で糸を引いているとは思いもしなかったが…」
アークがそう言うと、その言葉を引き継ぐ様にドクターが言葉を続ける。
「〝私達〟のコミュニティでも彼が何をしたのかは記録されているよ、魔獣の例に漏れず…彼は〝人に害を成す存在〟だ…だが、その被害規模はそんじょそこらの〝魔獣被害〟とは比べものにならない代物だ」
彼がそう言うと、皆の間に緊張が走り…その緊張が高まる中で、ドクターは〝ソレ〟が齎した唾棄すべき災害を語る。
「〝ベーシス〟と呼ばれた街が有った…その街の人口の〝3割〟が、奴の手によって殺されたよ…僅か1日でね」
「我々が急行し、仕留めた時には街の半数が貪り食われた姿で発見された…奴程、積極的に人を襲う〝魔獣〟は居ないだろう」
そう言い締める二羽の聖獣…そして、重苦しい沈黙が、場を支配する中…ギルドマスターのレリックが、二羽へ問う。
「――それで、俺達はどうする…〝アーク〟、〝ドクター〟」
「奴の捕捉が急務だね…だからこそ――」
その問いに、ドクターはそう答えながら…その視線を己の隣りに居る少女へ向ける。
「〝彼女の使い魔〟が…我々にとっての切り口になる…さて、Ms.レイナ…君は我々に協力してくれると言う認識で良いのかな?」
「…はい、その為に此処に居るので」
その問いに少女がそう答えると、ドクターは頷き…それから皆へ行動の指針を告げる。
「――それじゃあ諸君、敵の正体は明かされ、我々が成すべき事は明らかになった事だ…キリキリ働くとしようか…ギルドマスター殿、冒険者への指揮は任せるよ、アーク君は私と共に周辺の聖獣に呼び掛けて、この街に戦力を集めよう」
――バサッ――
「さぁさぁ急ごうか諸君…〝時限爆弾〟の秒針は動き出したが、リミットが何時かは分からないよ」
そしてそう言い残すと、ドクターはアークと共に飛び去り…冒険者達はギルドマスターの指示で散開する…その光景を。
「……」
少女はただ見据え…そして、掲示板のコルクボードに貼り付けられた情報を食い入る様に見詰めながら…思考の海に潜ってゆくのだった…。




