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怪物達の狂想曲〜彼方の獣達は電脳の夢を見るか〜  作者: 泥陀羅没地
第三章:魔人と魔女と人街の悪夢
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夜風に混じる羽音

本日の投稿…本当は昨日出す予定だったけど力尽きました…畜生。


本日は2本投稿予定、気が乗れば3本目があるかも知れせん。

《〈契約〉のレベルが上がりました!》

《経験値の譲渡が発生しました!》


「――ニュッフッフーッ♪…いやぁ良きかな良きかな!…順調に〝契約〟が取れて気分がいいわねぇ♪」


自身に供給される経験値の表示に笑みを零しながら…私は夕暮れに染まった街を行く。


――ザワザワ…ザワッ――


夕暮れともあってか人の行き交う頻度も減り、街道のタイルがその面積を増してゆく。


「――取り敢えず〝六枚〟は契約が済んだ…後は様子見ね」

(一応、契約の履行は約印を通して判別出来るみたいだけど…細かい位置情報何かは分からないから、監視は難しいわね…)

「――私も〝契約書〟の作り方は覚えた方が良いかしらね」


またレイナから聞いておきましょう…そんな風に考え事をしながら街の中を進んでいると…ふと、私は周囲の気配に気付き…足を止める。


「ん?…アレは―」


――バサッ!――


「――アーク?」


空を見上げれば小豆色の空を泳ぐ白い鳥…その身に纏われた魔力と、脳に強く焼き付いた〝その姿〟に私はそう呟き、そして周囲に現れ始めた〝一風変わった人達〟へ目を向ける。


――ザッ…ザッ…ザッ…ザッ…――


其処には、戦士とその身体に巻き付き周囲に目を配る黒蛇が。


――コンッ…コンッ…――


またある所には怪し気な魔女の様な、妖艶な見た目の魔術師と、その側を悠々と歩く白い長毛の猫が。


弓使いに蜥蜴が、槍使いに犬が、密偵に白鳥が…明らかに〝常人離れ〟した雰囲気を纏う人種と〝知性を帯びた獣達〟の集団が、黄昏の街に出没し始める。


(〝冒険者〟と〝プレイヤー〟ね…そう言えばイベントの後から人の街に〝聖獣のギルド〟が発足したんだっけ?)


確か、聖獣登録されたプレイヤーが冒険者と一時的な契約をして依頼をこなすとか…コレもその一環かしら。


(とは言え、こんな街中で…それもかなりの数が夕暮れから活動し始めるなんて…何か〝匂う〟わね)

「――ま、今は兎も角レイナと合流しましょうか」


新しい〝玩具〟の気配を感じながら、私は鼻歌交じりに夕暮れの街を歩く…。


――カァッ、カァッ、カァッ!――


赤焼けた空が照らす街は…まるで血のように朱く染まっていた……そして、〝夜〟が訪れる。



●○●○●○


――ザッ…ザッ…ザッ…――


「――クソッ、クソッ…クソォッ!……あの、化物め…!」


夜の街を、ある男がブツクサと悪態を吐きながら練り歩く。


「――後一匹…あと一匹〝殺さないと〟駄目だ…!」


目は血走り、顔には冷や汗が流れ…彼は焦燥と内に込み上がり身体中を満たす恐怖に駆られ…得物を片手に人気の無い街を歩いていた。


「クソッ…こんな時に限って誰も居ねぇ…何だってんだよ…何で、俺だけがこんな目に遭うってんだ…!」


その様は紛うこと無き不審者で、身勝手なその物言いは醜悪の一言に尽きた…とは言えそんな事を幾ら言ったとて彼に張り付く死の影が取れる事は無い…だからこそ彼は死への恐怖に悪態を吐きながら、街を駆け回る…そして。


――カッ…カッ…カッ…――


「ッ――居た!」


そんな〝ならず者〟の双眸が…夜道を歩く女の後ろ姿を捉えた。


○●○●○●


「右よーし!」

「左よーし!」

「「異常なーし!」」

「オイオイ…もうちっとカッチリ気を引き締めてくんねぇかなぁ…オジサン不安だよ?」


不穏な空気が街を駆け抜けるその頃、そんな街とは裏腹に、まるで緊張感の欠片もない2匹の〝スライム〟に、周りを囲まれながら…1人の中年男性がそう言い溜息を吐く。


「何を言ってるのさー〝ロビン〟!」

「そーそー、僕達コレでも真剣、本気と書いて〝マジ〟で犯人捜査してるのにさー!」

「「酷いぞ酷いぞー!」」


そんな中年男性…〝ロビン〟にそう言いながら、2匹のスライムは抗議するようにぴょんぴょんと男の周りを周り、そう叫ぶ。


「いやさ?…流石に街中の殺人事件の捜査をしてるってのにそんな能天気な口調で周りをうろちょろされっと、どうも気が散るんだわ…せめてもう少し、気が引き締まる雰囲気ってのを出して欲しいワケ」


その言葉にロビンがそう言うと、一匹はロビンの肩に乗って反論する。


「そーは言ってもさー、〝僕〟達以外にも冒険者と聖獣達は居るしー」

「基本の探知系能力は持ってるけど、どっちかって言えば僕ら〝戦闘系〟だからねー?」

「「戦いが来るまでお払い箱ー!」」


もう片方はそう言いながら、周囲の地形をぴょんぴょんと飛び回って確認する。


「ハァ…だったらせめて静かにしてちょーだいよ、オジサンの耳元で喋られると音が聞き取れないでしょーが!」

「「うぐぅ…反省しまーす…」」


2匹と1人はそう言い合いながらも歩を進め…街の巡回を続ける…そんな最中。


――ブブッ…――


「ん?…何だ――」


ロビンの耳がその異音を捉えた…その瞬間。


「ロビン危なーい」


――グシャッ!――


肩に乗っていた一匹がそう言いながら、触手てわ〝ソレ〟を掴むとま…そのまま握り潰す。


「ッ……虫?」


そして地面に放り捨てられるソレをロビンは確認し…そう言葉を紡ぐ。


其処には、黒く艶のある甲殻に…4枚の翅を持ち、複眼と鋭い牙を持った六足の虫が…身体を拉げさせ、息絶えていた。


「――〝魔物〟だねー、〝黒妖虫〟だって―!」

「知らない魔物だねー…虫系は湿地が多く居るけどー…こんな魔物は発見例が無いよー」


そんな黒い虫の姿を見ながら、2匹のスライムはそう言い、その死骸を突く。


「……コイツがこの殺人事件の犯人か?」


そんな二人に、ロビンはそう問うと…二人は首を傾げる様に粘体の身体を伸ばし…言葉を紡ぐ。


「どーだろうねー…襲って来たからその可能性は有るけどー、コレの生態が分からないから、断定は出来無いなー」

「取り敢えずコレ持って帰ってギルドマスターに調べてもらおーよー!」

「……そう、だなぁ…此処で調べてもさっぱり分かんねぇし、そうするしかないかねぇ」


その言葉にロビンも頷き…死骸を回収してその場を後にする。



夜の街に惨劇が起き…数日…闇夜のヴェールに包まれ、手を伸ばせども闇霧に溶けて掴めなかった〝事件〟が…漸くその姿を晒し…停滞していた事件解明の歯車が、微かに噛み合い始める。


――ブブブッ――


その裏に、不気味な羽音を響かせる〝何か〟の存在を仄めかしながら。

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