魔女とニンゲン
どうも皆様、泥陀羅没地で御座います。
さてさて、今話で第二章は終幕…え?早くないかって?…ま、まぁ…元々2章目は主人公陣営の強化イベント的な構想だったので…ね?…。
《レベルが上がりました!》
《新たな【称号】を獲得、【殺人鬼】を獲得しました!》
――ポイポイポイッ…――
程なくして、村に静寂が訪れる…なんて事は無い、ただ村に生きる生命、その全てを鏖殺せしめただけの事だ、ソレはこの村の中心に寄せ集められた死体の山が証明してくれる。
――ザッ…ザッ…ザッ…――
男女、子供大人、老いも若いも皆等しくその命を啜り…私は、最後の仕上げにレイナの元に訪れる。
「〜〜〜♪――レーイナ♪…そっちの調子はどうかしら――って、あら」
濃い死の匂いが満ちたレイナの方に顔を出すと、其処には中々惨たらしい光景が広がっていた。
「――新鮮な死体がひーふーみー…返り血も傷もなく殺すなんて大した腕じゃないレイナ♪」
「ッ…マオさん…もう戻ったんですか?」
私の声に反応して、四肢を切り離されて呻く人間の首を刎ねながらエレナは振り向く。
「――うん、村の連中は見える範囲で全員殺したし…後はレイナの殺した人間を回収すれば〝最後の仕上げ〟に入れるわ♪」
「そうですか…じゃあ、持って行きましょう」
私がレイナにそう言うと、レイナは魔術を行使し、周囲の肉塊を集めて一纏めに〝圧縮する〟と、ソレを浮かして運ぶ。
「〝魔力の掌〟ね…面白いのを使うわね」
「ついさっき使える様に成りました、中々便利ですよ」
「へぇ、じゃあまた今度教えてもらおうかな♪」
そんな話をしている内に、私達広場に辿り着き…コレで準備は整った…。
「それじゃ――〝頂きます〟♪」
――ドロッ――
寄せ集められた死肉の山を前に…私は自分の身体を崩し…元の不定形な粘液に姿を変えると…そのまま、その身体を死肉の山と同化させる。
――ゴクッ、グチャッ、グチャッ――
《レベルが上がりました!》
既に何度も聞いたアナウンスを無視して、只管に取り込んでゆく。
――バクバクバクッ、ムシャッ、ゴクンッ――
捕食し続ける度に、私の身体が〝形〟を変え始め…屍の山が平らげられたその時…私は、遂に求めていた〝アナウンス〟を耳にする。
《〈健啖家〉のレベルが上がりました、〈戦技:栄養貯蔵〉を獲得しました!》
《〈模倣〉のレベルが上がりました、〈戦技:外皮模倣〉を獲得しました!》
《〈模倣〉が最大レベルに到達しました、【能力昇華】を実行しますか?》
「当然〝YES〟よ♪」
その瞬間…私の身体を熱い血液の様な物が駆け巡り…私の身体が急速に〝変形〟し始める。
《【能力昇華】が実行されました、〈模倣〉が新たな能力…〈生物変形〉に変化しました、〈戦技:変形記録〉を獲得しました!》
○●○●○●
――ドクンッ――
心臓の鼓動をそのまま大きくした様な、そんな鳴動と共に、肉塊が大きく伸縮を繰り返す…。
「―――フフッ、ウフフッ♪」
そんな鼓動を響かせながら、愉しげな声が私の耳に届き…胎動する肉塊の中に、何か薄暗い影が見えた様な気がした…その時。
――ヌゥッ――
肉塊の中から伸びた手が、私の肩を掴み…更に目と口が生えると、その目は私を捉え…愉しげな言葉を紡ぐ。
「――良いわね、以前よりずっと〝触覚〟の精度がいい、視界も明瞭で、匂いも聴覚も良好…味覚は…またおいおいね♪」
――ヌゥゥッ――
両腕から更に肉塊から人の身体が浮かび上がり…遂には上半身が露出すると…その〝人〟は、黒髪を掻き上げ…赤い視線を私に向ける。
「実際にこうして〝自分の身体〟でこの世界を歩くのは…中々どうして感慨深いものなのかしら?」
そう言うとその人は下半身を肉塊から這い出させると…残る肉塊片手を押し込み…その全てを体内に吸収する…。
「――フゥッ、ねぇレイナ…貴方の目から見て、どうかしら?…私の姿の出来栄えは、貴方と同じ〝人間〟の物かしら?」
血溜まりの中を裸足で歩くその人は、私に近付き手を掴むと…その顔に、肩に、胸にと私の手を触れさせながら笑う…そんな、陽の陽射しとは違う…何処か仄暗さを感じさせる怪し気な笑みに…私は一瞬目を奪われ…それから、その人…〝マオ〟さんに言葉を掛ける。
「はい…とても綺麗です…けど…」
「けど?」
その言葉に、マオさんがコテンと首を傾げさせる…どうやら自覚が無いらしい。
「…服は…作れなかったんですか?」
「へ?」
私は、マオさんにそう指摘すると…本人は驚いた様に自分の恵まれた肢体を見下ろし…呟く。
「…取り敢えず、服を探しましょうか」
「……手伝います」
●○●○●○
――バサッ!――
「あら…この服動きやすくて良いわね」
「外套が有ったのでコレも着て下さい」
取り敢えず、〝原始の姿〟から適当な衣服に着替えると…私は、改めて手に入れた能力を確認する。
――――――
【マオ・ディザイア】
【イビル・スライム〈人間:槍使い〉】LV20/30
HP:3100/3100
MP:3500/3500(3300/3300)
満腹:181%
筋力:D(D−)
速力:D(D−)
物耐:E
魔耐:D+(D)
知力:D+(D)
信仰:F−
器用:D−(E+)
幸運:F
【能力】
〈狩人の軽業〉LV4、〈健啖家〉LV5、〈生命の炉心〉LV4、〈変形〉LV5、〈生物変形〉LV1、〈無属性魔術〉LV3、〈契約〉LV1/10
【称号】
〈兎狩り〉、〈小鬼狩り〉、〈野蛮な獣〉、〈貪食〉、〈大物狩り〉、〈殺人鬼〉
――――――
――――――
【装着済み装備】
・〈粘獣一式(無色の魔石/癒しの毛皮/魔除けの骨飾り)〉・・・MP+200/知力&魔耐補正(小)/自動回復(小)
――――――
――――――
【称号】
〈殺人鬼〉 レア度:☆☆☆★★
多くの〝人間〟を討伐したモノに与えられる称号。
効果1:人間種への攻撃力上昇、〈ヘイト(小)〉を獲得。
効果2:自身のレベル以下の人間種へ〈威圧(小)〉を付与。
――人殺し、ソレは人と言う知性体の中では忌むべき邪悪な行いである…さりとて、獣に人法に従う道理もありはしない――
――――――
――――――
【能力】
〈生物変形〉 レア度:☆☆★★★
生物の構造を理解し、種族そのものに変化出来る〈模倣〉の上位互換、〈模倣〉より遥かに優れた擬態技術を持ち、その五感、膂力に至るまでを完璧に模倣出来る。
効果1:擬態時、擬態先の種族から敵対されない(看破時は例外)、同レベル以下の〈看破〉を無力化する。
効果2:擬態先の種族のステータスを自身に付加する事が出来る。
レベルアップ時:正体を看破されにくくなり、擬態時のステータスが上昇。
――おめでとう、何者でもない君は何者にもなれる力を得た…けれど、決して本当の自分を見失ってはいけないよ?――
――――――
――――――
〈戦技:栄養貯蔵〉
能力系統:常時型
満腹度を超過した分の栄養を体内で貯蓄しておく力、貯蔵した栄養は満腹度を全て消費した時に放出される。
現在の満腹度・貯蔵状況:181%(0/50)
――――――
「――うん、コレなら最低限〝人間〟に正体が露見することはなくなったと見て言いわね…コレで漸く、私達の本来の目的に移行できるわね♪」
私は、膝の上に乗せたレイナを撫で回しながらそう言い…立ち上がる。
「そうですね…今から行くのですか?」
私の言葉にエレナは私を見上げながらそう問い…ソレに私は頷きで返す。
「〝勿論〟!――〝第二エリア〟にカチコミよ♪」
そうして、私達は既に用済みになった村から、貴重品の幾つかを接収すると、その場から立ち去る…。
《特別クエスト:冤罪の魔女狩りをクリア――〝エンディング:2〟…〝偽りは真へ〟…報酬:5000z/闇色の魔石を獲得し、しま、しまシ――》
――ブブブッ――
《特■■■■ト――〈■■■ノ■■■■■■〉――進捗増加――〈災いの魔女レイナ〉をシナリオに追加――シナリオ始動まで――残り…〝4人〟》
○●○●○●
――パカラッパカラッパカラッパカラッ――
とある少女と、ある魔物が発ってから半日後…数頭の馬車と1つの荷馬車が、血の匂い立ち込める無人の村へと入り込む。
「うっ…何だこりゃ…すっげぇ匂いだな…!」
「うん…この村全体から…濃い腐った血の匂いがする…」
「――近隣の村も同じ状況のようで、村人全員が殺害されたか連れ去られたか…行方が知れず…大量の血痕と争った後だけが現場に残されていたようです」
馬車から続々と降りてきた兵士達が村の中を駆け回り、其処に広がる赤黒い血の匂いに顔を歪める。
「――〝鬼の心臓〟のニック…この状況をどう見る?」
そして、その中でも一際偉そうな兵士と見るからに正規兵とは言えない野性的な出で立ちの冒険者達がこの村の惨状に話し合う。
「どうったってなぁ…どー見ても山賊か、魔物の襲撃だろこりゃ…まさか仲間内で村が滅びるまで殺し合うって訳じゃねぇだろうしなぁ」
「――詳しい討論は後になさい、先ずは情報収集よ…何もかも分からない状態でマトモな推理なんて出来無いでしょ」
「――ん、それもそうだな…失礼した」
「あ、いや…謝らないでよ兵隊さん…怒ってる訳じゃないんだから…」
そんな彼等を差し置いて、2匹の〝魔物〟…〝白い鳥と黒猫〟が村の中を駆け回る。
「――地上からはどうだ、〝ルー〟」
白い鴉…アークは空の上から、遠くを見通せる眼でもって村の周囲と外壁を調査する。
「うーん、特に目ぼしい痕跡とかは見つからないにゃー〝アークぅ〟…余程進捗な山賊なのかにゃ?…死体も運送する山賊ともにゃるなら、中々奇妙な奴等にゃね、一番有り得るのは〝山賊の襲撃〟と〝魔物の来訪〟…複数の事件が絡み合った結果、この状況が生まれたとかにゃ」
そんなアークの言葉に対して、黒猫…〝ルー〟と呼ばれた黒猫はそう言いながら大地に目を光らせ、周囲を捜索する。
「成る程……複数の事件が重なり合ったか…可能性としては充分な根拠だね」
「ニャフッ、照れるニャ…」
「他に考えられる点としては――ん…」
「んにゃ?…どうしたにゃアーク」
そんな中、白鴉…アークはふと、言葉を留め…門の外壁にある〝一点の傷〟をジッと見詰める…。
「――〝金銭の強奪〟、〝住民の殺害及び死体の処理〟…ソレ等を、行う事でメリットを得られる存在…つまり、〝魔物側のプレイヤー〟が…村を襲った…とか?」
「……まさか、何か根拠があるのかにゃ?」
「憶測だよ…でも、もしそうなら…推測は絞り込めない…〝街に魔物が入り込んだ可能性〟も…視野に入れておかないとね行けなくなるね」
其処には、まるで〝人間の掌〟の様な感覚で木に刻まれた〝爪痕〟が、壁の頂点にまで点々と続いて居た…ソレを見ながらアークは推測を紡ぎ、思考の海に嵌りそうだったその思考を切り替え、更なる調査を続ける…この村に起きた…恐ろしい真実を追い求めて。
第3章は何を書こうか…そろそろ〝アレ〟を出すのも良いかな?…まだちょっと早いかな?…クククッ、この世界の構想が複雑過ぎて上手く調理出来るか不安だぜ…でもチョー楽しい。




