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怪物達の狂想曲〜彼方の獣達は電脳の夢を見るか〜  作者: 泥陀羅没地
第二章:画して、少女は魔女となる
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怒れる森の熊

本日の投稿、もう一本投稿できれば良いなぁ。

――ザワザワザワッ――


森が騒がしい…否、何時も喧騒に明け暮れ弱肉強食の摂理が盛んに行われていたが…今日は異様な程、不気味な騒々しさを纏っていた。


――グルルゥ…!――

――キィィィッ、キィィッ――


兎が駆ける、鳥は羽搏く様に空に逃げ…野猪は脇目も振らずに、雑木林に飛び込む…肉を食む狼達でさえ、〝其処〟から放たれる気配に息を潜めて逃げ帰っていた…。


――ザッ…ザッ…ザッ…――


其処に居たのは、森の獣道を進む一人の少女と…その隣を跳ねるように進む〝赤黒いスライム〟の姿…。


「魔物達が、皆逃げていきますね…どうします?」

「殺サナクテ良イヨ、ドウセ大シタ経験値ジャナイカラ魔力ノ無駄…ソレヨリ、見ツケタ?」


二人はそんな風に、極平然と会話を交わしながら獣道を進んでゆく…その穏やかさがより一層、恐怖の満ちたこの森の中では〝歪さ〟を強調し、嫌でも逃げ惑う彼等は、その二人を認識する…そんな、一幕の中――ふと、彼女等の前に立ちはだかる者が居た。



「ブルルゥッ!」


ソレは一匹の大きな男鹿…雄々しく巨大な角に幾つもの蔦を垂れさせながらその男鹿は悠然と立ち塞がり二人を…特に、赤黒色のスライムに敵意を向ける。


「マオさんッ」

「ウン…ヤル気ミタイダネ」


その視線に少女がそう言い、スライムは戦闘態勢に入る少女を制しながら一歩前に出る。


「――其処ヲ退イテクレナイカナ?…逃ゲルナラ見逃スケド?」


そしてスライムはそう言い、ジェスチャーで男鹿に逃げるよう伝えるも…男鹿は頑として道を譲らず…それどころか戦意を剥き出しにスライムを睨む…そして。


「ソウ…無駄死ニネ」

「ッ―――!」


その言葉がスライムから発せられた瞬間、男鹿はスライムへ急接近し…その前足で踏み潰さんとする…しかし。


――ズドンッ――


「――〝ツマラナイ〟」


男鹿が前足を上げていざ踏み降ろさんとしたその瞬間スライムの身体が膨れ上がり…何重もの触手の槍と刃が現れて、男鹿を貫き切り刻んでゆく。


――ボトボトボトッ――


一瞬にして肉塊に成り果てた死肉と、無残に抉り、切り裂かれた男鹿の半身を喰らいながら…すは言う。


「――サ、行クワヨレイナ」


やがて、其処に有った死肉も…血の一滴もを食い尽くすとスライムは少女にそう言い再び獣道を進んでゆく…やがて、二人の姿も気配も消えた頃…森は再び以前の喧騒を取り戻していくが…それは、二人の〝強者〟には預かり知らない事であった。



●○●○●○


――ポヨンッ、ポヨンッ!――


かれこれ1時間…私とレイナは森の中を練り歩いていた…住処である〝深奥の森〟から出て、森の浅瀬を練り歩き…時偶立ち塞がる〝同郷の魔物(他プレイヤー)〟を適当に処理しながら森中を練り歩いて居た…無論ただフラついていた訳じゃない。


「――マオさん…」

「ん…〝見えた〟わね」


目の前に居る〝ソレ〟に、挑む為に森の中を進んでいたのだ。


其処は…開けた森の中…と、言うよりは〝拓かれた〟と言った方が良いのかしら?…根本から抉り取られた様な切り株とその上に育っていただろう樹木の残骸が散乱し、無理矢理に開けた土地を作られている…そして、その中心には…小さな山の様に大地に寝そべり眠りこける〝ソレ〟が居た。


《〈看破〉のレベルが上がりました!》


―――――

森眠熊(ガイア・ベア)】LV28/30

HP:4900/4900

MP:3400/3400

満腹:89%


筋力:C +

速力:D+

物耐:C−

魔耐:D

知力:D

信仰:G +

器用:E

幸運:F−


【能力】

■■■

――――――


ソレは毛深い茶色の毛皮に、身体中苔を生やした巨大な熊…ソレが陽の光を目一杯に浴びて、寝息を立てていた。


「――私よりも強いわね、この子」

「ッ…」


眠りこける熊の彼を見ながら私がそう言うと、レイナが顔を強張らせて杖を強く握る。


「あら、怖がらせたかしらレイナ…でもまぁ、何時迄も弱い敵と戦ってばかりじゃ居られないし…此処辺りで〝格上〟と戦うのも慣れておかないとね♪」

「ッ…はい!」


そんなレイナに私が宥めるようにそう声を掛けてやり…過度な緊張を解しながら、レイナへ告げる。


「基本は何時も通り私が相手の気を引くから、レイナは遠距離から魔術で攻撃…ソッチにヘイトが行ったら防御に専念、私がヘイトを稼ぎ切るまで攻撃しない…今回は相手が格上だから魔力壁に割く魔力は出し惜しまない、魔力が切れたら私を無視して撤退…オーケー?」


それは、何時もとは少しだけ勝手の違う〝作戦指示〟…その指示にレイナは不満を言うでもなく首肯し、私を見る。


「はい…分かりました…〝死なない事が最優先〟…ですね」

「ソユコト♪――私達と違って貴女の生命は一度きりだからね、ソレを忘れない様に…さ、事前準備も済んだ事だし…そろそろ〝行きましょうか〟…♪」


私はそう言うと、レイナと共に〝境界〟の様に区切られた草むらから開けた広場に歩を進め…レイナに攻撃を指示する。


「さぁて、相手はまだグッスリお眠りみたいだし…先ずは寝起きの〝一発目〟…ド派手にかましちゃいましょうかッ!」


――ゴオッ!――


レイナの魔力が膨れ上がり…彼女の杖の先から轟々と燃え上がる炎の球体が現れる…。


「〝破壊たる炎よ〟――〝我が敵を焼き尽くせ〟――〝火球〟!」


その炎の球体は、レイナの祝詞によって更なる熱を増し…その祝詞が紡がれたと同時に、レイナの意思によって〝熊〟へと放たれる。


――ゴッ――


放たれた火球は、やはり何の問題も無く宙の空気を喰らいながら突き進み…衝突と共に、収縮された炎を撒き散らして、熊の巨体を覆い包む。


「――今のは〝詠唱〟?…いつの間に手に入れたのかしら…」


その光景と、レイナの〝詠唱〟に驚きつつ…私の視線は炎の中の熊へと向けられる。


「――それはさておき…見た所火力は中々素晴らしいわね」

(倒し切れるとは思ってないけど…多少は削れていて欲しいんだけど…って)


そして、淡い期待を込めて…炎の中で〝動く〟…ソレの体力を視る…しかしらそんな私を嘲笑うかの様に私の目に飛び込んで来たのは――。


――――――

【森眠熊】LV28/30

HP:4900/4900

――――――


一欠片のダメージも負っていない、ボスの体力バーの姿だった…。


「〝戦闘開始前は無敵〟って…そんなの有りなの?」

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