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魔女と魔術

どうも皆様こんにちは、泥陀羅没地に御座います。


本日の1本目、今日中に2本目を投稿する予定で御座いますので少々お待ちを。

(勝利の為の前提条件は大きく分けて〝3つ〟)


〝1つ〟…レイナが〝魔術〟を獲得する事。


(レイナは〝魔術師見習い〟であると同時に〝魔術〟を1つ持っている…そして、ソレは〝使用不可〟となっていた)


ソレは何故か?…〝知らない〟からだ。


(レイナ含め、この村の人間にはステータスを見ることが出来ない…〝看破〟の類の【能力】を持ち合わせていない為に、自身の素養を知る事が出来無いのだろう)


レイナの場合、魔女として糾弾されていた…加えて独り生きて行くのでやっとの生活だ…魔術の素養を養う暇は無かった筈だ。


(だから、魔術を利用する事は出来なかった…だが、私はエレナが魔術師の卵であると知っている…だからこそ、レイナの働き次第で魔術を扱う事が出来る筈)


コレが最大の運要素、レイナが魔術を自力で習得出来るのか否か、出来たとしてどれだけの時を要するのか…コレを彼女の素質に賭ける…そして、その為の担保として〝2つ目〟


(〝時間稼ぎ〟が要る、その為にこのゴブリン達は極力殺さないで生かし続ける)


私の攻撃に抵抗させ、打ち勝たせ…傍目に私が押されているように演技する。


(触手の破壊で削られたHPは〈再生〉で回復…ダメージを最小限に抑えながら、出来るだけ時間を稼ぐ)


けれど…〝3つ目〟の条件を満たす為に、この演技にリソースを割き過ぎる訳には行かない。


「〝私が戦闘可能な状態〟で、〝1つ目〟を達成する事」


レイナの魔術を活かすために相手を足止め出来る戦力が要る、この場合私以外は居ないから、必然的に私がその足止め役になる。


「――だから、演技も塩梅が重要…!」


ただやられたフリをするだけじゃ、ゴブリン達が調子付く。


――ゴッ――

――グワンッ!――


「ギャッ!?」


時折小突く事で、ゴブリンをビビらせる…そうやって時間を引き延ばし続ける。


後はエレナ次第…。


「――色んな意味で任せたわよ、〝レイナ〟」


私は背後のレイナにそう言いながら、只管触手を動かし、拮抗を演じる…その裏で。


○●○●○●


(魔術師…〝魔術〟…使い方は…どうやるの…)


目を閉じて、考える…魔術の使い方を…。


(……分からない)


とは言っても、私自身今までやった事のない事を、こんな時にいきなりやれと言われても…無理だ。


(――〝無理〟じゃない、やらなきゃスライムさんも私も死ぬの!)


考える、考える、考える…〝魔術師〟について、〝魔術〟について…。


(魔術は…凄い力で、魔術師は…その力を操る人)


〝凄い力〟って言うのは…どんな力?…。


絵本で見たことが有るのは…何も無い所から〝火〟を作り出す男の人、水を操って雨を降らせる人…地面を操って大きな壁を作る人。


(色んな人が居て…色んな〝魔術〟が有る…)


私は…どんな魔術が欲しい?…。


(スライムさんを守る力、私を守る力…そして)


〝敵を倒す力〟…。


ソレを得るには…何が要る?…。


(――〝魔術〟を操る力)


どうやって、絵本の魔術師はその力を得たの?…。


(……確か、目を閉じて――〝魔力〟を掴む)


●○●○●○


「ゲァァッ…」


〝遅い〟…余りにも、遅い……戦闘を傍観していた小鬼の剣士は、目の前の戦闘に苛立ちを覚え始めていた。


「ギィ!」

「ゲギャッ!」


敵は〝弱っている〟…だと言うのにこの程度の攻撃に手間どる手駒共に剣士は苛立ちを覚え始めていた。


始めは…直ぐに片が付くと、そう考えていた…だが。


「――ミィッ!」


存外に、獲物が粘る…所詮スライムの木っ端だと考えていた…だから、直にくたばるだろうと…だが。


――ブンッ――


このスライムは…何かが〝妙〟だと、剣士は思慮する…あまりにもしぶとい。


『手駒共では長引くか』


剣士の視線が、スライムの背後に立つ娘を捉える…あの娘は、捕らえたい…巣を存続させる為の胎として、使えるだろう。


「…ゲァァ(仕方無い)」


――チャキッ――


業腹だが、己が片を付けるか…そう、思い…剣に手を掛けた…その時。


「――〝ミィ〟」


スライムの動きが…変わった。



○●○●○●


「チッ……そろそろ〝時間切れ〟ね…!」


私は、戦いを俯瞰していたソードマンが剣に手を掛けたのを見て、この〝茶番劇〟の終わりを悟る。


(――なら、此奴等はもう用済みね)


その瞬間、私は殴り潰されそうになった触手を収縮させ…同時に駆け出す。


――ゴプッ――


「「ゲァッ!?」」


そんな私の行動の変化に、2匹のゴブリンがそう驚き、立ち止まる…その瞬間を、私は逃さない。


――ズドッ!――


2匹の頭蓋を、私の触手が貫く…貫かれた二匹は、間抜けな声を上げて即死すると、力無く倒れ…その身体を使い、私はソードマンに死体を投げ付ける。


「ギィッ!」


――ザザンッ――


ゴブリンの死体が二分割され、地面に転がる…やはり、ソードマンにはこの程度の質量では効果が薄い…ソレは〝分かっていた〟…。


「――〝問題無い〟…!」


切り飛ばされた触手を戻しながら、此方に刃を向けるソードマンに肉薄する。


「ゲァァ!!!」


ソードマンは、剣を上段に構え…迫る私に一方踏み込みを入れて剣を振り下ろす…しかし。


――ポヨンッ!――


大振りな上段は、軌道が分かりやすく、避けるのに苦労はしない。


「ミッ!」


避けたと同時に、触手を1つ槍に変え…ソードマンの頭蓋目掛けて突き出す…しかし。


――ヒュンッ!――


凄まじい勢いで放たれた触手は、顔を逸らすことで躱され、私達は互いに攻撃を外す。


「両方躱した…!」

(躱されたなら、今度は〝対応〟する筈)


仕切り直して2戦目…先手のソードマンが再び私へ刃を振るう…今度は上段この大振りではない…軽く…素早い連撃。


「チッ…コレがキツイ…!」


単純な攻撃だが、早く密度の有る攻撃は躱すのが難しく、必然的に私の肉体は削られる…この場合、私がするべきは〝被害を最小限〟に抑える事だが…私は敢えてその〝選択肢〟を取らなかった…。


――ザンッ!――



振り下ろされた鉄の錆びた剣が、私の身を切り裂く…その一撃は確かに直撃し、私のHPを大幅に削る…だが。


「クフッ……その分、一瞬〝油断〟する…!」


――ゴポッ――


切り裂かれた身体、赤く染まったHPと視界を見ながら、私はそう言い…ソードマンにズイッと近付く。


「〝剣〟は私を貫いた、この至近距離なら防御は間に合わない…そして――」


その身体は泡立つように音を立てて蠢き、その身体からは無数の波紋が生まれ…ソレはその姿を表す。


――ゴポッ、グニィィッ――


「〝触手〟は回復した…!」


ソレは凡そ6つかはなる触手の槍…ソレの全てがソードマンの手足、胴、頭を捉え…一斉に放たれる。


――ドドドドドドッ!――


「ゲギィッ!?」


至近距離から放たれた槍は、その初速を以てしてソードマンの防御を置き去りに、その身体に食い込む。


「――クフッ、フッ…コレで仕留められなくても良い…致命傷さえ、与えられれば〝最悪〟は回避出来る」


ソードマンの身体を、触手の槍が貫いていく…そして。


「ゲァッ、ゲァァァァッ!!!」


――――――

【小鬼の剣士】

HP:158/1400

MP:664/800


――――――


6つの穴が腹に空いたソードマンは、その重体でありながらもまだ生を保ち…その苦痛に激怒の叫びを上げながら、私を地面に叩き付けた。


――ドッ――


「ガハッ……ハハハ、フフフッ…良い顔ね、ソードマン?」


私は、血走った目で私を睨み付けるソードマンにそう言いながら、嘲笑を込めて見上げる。


「フーッ…フーッ…!……ゲギィ、ゲゲラァッ、グラァッ!」


そんな私に、ソードマンは自身の言語でありったけの罵倒を吐いているのだろう…怒りと憎悪を目一杯私に注ぎながら、振り落とした己の剣を拾い上げ…空に振り上げる。


「ゲギャァ!!!」


そして、その剣を私目掛けて振り下ろし…呪詛を吐き捨てた…その瞬間。


「〝魔弾〟」


そんな声が響いたと同時に…ソードマンの顔に何かが直撃すると…ソードマンの顔が爆ぜ、振り下ろされた剣は…私のすぐ隣に突き刺さる…。


 「――……フフッ、上出来よ…レイナ」


その光景に、私は一瞬呆けた後状況を理解し、少し離れた場所でへたり込み息の上がったレイナの姿を見て、そう呟いた…。


――――――

【レイナ・ハーレー】

【人間】

【見習い魔術師】LV4/10

HP:150/150

MP:300/300

満腹:41%


筋力:G−

速力:G−

物耐:G−

魔耐:F−

知力:F−

信仰:G+

器用:F−

幸運:G−


【能力】

〈魔力探知〉LV1/10、〈無属性魔術〉LV1/10、(精神強化)LV1/10

【称号】

〈追放者〉、〈冤罪の魔女〉

――――――

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