夢引くは混沌の舞台へ
私の…2本目の投稿…です…受け取って…下さい…伝わって…下さい…(ガクッ)
《レベルが上がりました!》
《レベルが上がりました!》
《〈触手〉のレベルが上がりました、〈戦技:斬撃〉を獲得しました!》
《〈生存強化〉のレベルが上がりました!》
「さて…危うい所は有れど、何とかなったわね!」
私は自身の身体を再生しつつ、頭の中に鳴り響くアナウンスに、自身のステータスを確認する。
――――――
【マオ・ディザイア】
【ビッグスライム】LV18/20
HP:1400/1400
MP:1100/1100
満腹:148%
筋力:F
速力:F
物耐:F
魔耐:G
知力:G+
信仰:G−
器用:G+
幸運:G
【能力】
〈再生〉LV3、〈触手〉LV7、〈生存強化〉LV4、〈突進〉LV2、〈跳躍〉LV3、〈雑食〉LV4
【称号】
〈兎狩り〉、〈野蛮な獣〉、〈貪食〉
――――――
「あら、もうレベル上限付近…これなら、洞窟の魔物を掃討したら直ぐかしら?」
それ以外は特に変わった様子も無し…私はステータスを閉じると、座り込むレイナに歩み寄る。
「約に、立てたかな…スライムさん」
「上出来も上出来よ…本当に〝良くやったわ〟…レイナ」
私はそう言い、レイナの頭を撫で…彼女を立ち上がらせる。
「ッ…えへへ、有り難う…!」
撫でられた事に、レイナはそう言い頬を朱に染める…年相応な笑顔を見せる彼女の身体からは、先程まで感じられなかった〝魔力〟の放出が見られ…ソレは彼女が〝魔力の操作〟を会得した事を意味していた。
(システム上、私達プレイヤーは〝魔力の操作〟を可能な状態でこの世界に送られてきた…だから、〝魔力の操作〟の感覚を掴むのは難しくない)
けれど、レイナは真っさらな状態から〝魔力操作〟を物にした…齢10歳の娘っ子が…〝0を1にする〟と言う途方も無い偉業を成し遂げた。
(益々、この子を拾って良かったわ)
コレなら、早い段階で魔術を会得出来そうだわ…。
「それじゃあ、引き続き洞窟探しを始めましょうか、序にレイナのレベリングと使える魔術を調べるわよ!」
そうして、私とレイナは再び小道を歩き出す…私達の〝住処〟を求めて。
●○●○●○
――ギィィィッ――
「おや?……もしかして、待たせてしまったかな?」
其処は白く…非現実に満ちた空間…其処に有る扉を明け放ちながら現れた機械仕掛けの頭を持つ男は、その無機質な歯車の顔に似合わない愉しげに浮ついた声を上げながら、数多の視線を一身に受け、歩を進める。
「やっと来やがったか、遅えぞ〝13〟」
「そりゃあ、僕は君と違って多忙な身だからね〝7〟…定刻通りに来て欲しければ、1時間前に私を呼ぶべきだと思うけどねぇ?」
そんな彼を咎めるように、赤いローブの人間がそう言うと、時計頭の男は悪びれる事無く彼に嘲りを紡ぐ。
「あぁ?…テメェ「さぁさぁ、そんな事は野良犬にでも食らわせるとして!…コレで全員揃ったのだろう?…ならばさっさと用件を伝え給えよ!」
そして、まだ食って掛かる赤いローブの男の言葉を遮って、己の座に腰を下ろすと…時計頭の男の言葉に、一人の男が賛同の意を示す。
「――そうだな…〝7〟…お前が〝13〟と仲が悪い事は知っている…だが、我々はあくまでも〝同僚〟だ…協力はすれど蹴落とし合うものではない」
「チッ…わぁったよ!」
「……それでは、早速本題に入ろう……〝観測者〟から、〝通達〟が有った」
その賛同者…〝白のローブ〟を纏った男がそう言うと、その瞬間場の空気が一気に騒然とし、男の言葉の続きに皆が注目する。
「通達の内容は…〝イベントを発足させる〟との事だ」
「あぁ!?――そりゃ無理だろ、まだ〝プレイヤー〟の平均レベルは規定値に達してねぇぞ!?」
「このまま〝第一イベント〟を起こすのは今後のこの世界への〝アプローチ〟としても下策では?」
そして、紡がれたその内容に…赤が、青が、その他の面々が口々に否定的意見を出す…唯一二人だけ。
「…」
「〜♪」
土色のローブを来た者と、時計頭の男だけが…その言葉に異なる反応を見せていた。
「――〝落ち着け〟」
そんなざわめきの中、白いローブの男はそう言うと、その言葉は空間を木霊し…ざわめく騒乱を鎮火する。
「――無論、現段階で〝第一イベント〟を実行する事のリスクは〝観測者〟達も重々把握している」
「なら――」
白の説明に、青のフードを来た女がそう疑問を口にしようとした時。
――チリリリリンッ♪――
けたたましいベルの音と共に、時計頭の男が皆に届く様な声でその疑問を遮った。
「――つまり、とどのつまり〝第一イベントの為のイベント〟を観測者は求めているのだろう?」
「そうだ」
「…どういう事だ?」
――タンッ――
男がそう言うと、皆に疑問が浮かぶ…ソレに対応する様に時計頭の男は皆に向けて説明を始める…少しの嘲りを込めて。
「同じ〝情報処理システム〟を有していると言うのに、随分思考の巡りが遅いのですねぇ…あぁいや、あくまでも〝環境学習型〟である為、其々に知性能力にバラツキが有るのは道理か…おっと失礼、それでは僭越ながら僕が分かりやすく話を纏めよう」
その言葉に場の空気が険悪になるが…男はソレを無視しながら説明を始める。
「現在…さっきも話に出ていたが、〝プレイヤー〟の平均レベル推移が、規定値に届いていない…予想外にプレイヤーの育ちが難航していると言うのが現状だ」
その声と共に、皆の眼前に無数のグラフと、情報が提示される。
「コレでは観測者が企画した〝第一イベント〟の実行は求められた成果を得られない…あくまでもこの第一イベントの主役は〝プレイヤー〟であり、彼等が其処で活躍出来なければ意味が無いからだ」
――カンッ――
「となると、上記のプレイヤーのレベル問題は早急に対応しなければならない問題となる…だが、ただ第一イベントを万全に機能させる為だけに、何の前触れ無くプレイヤーに補助を与えるのは宜しくない…だから、観測者は我々に〝イベントと言う名分でプレイヤーの強化を図れ〟と言う指示を出したのだろう…そうだね?…〝1〟」
「そうだ」
其処まで説明すると、漸く全員が理解した様子で沈黙する…そして、そんな中で時計頭の男はその口から熱を帯びた声を上げて、皆に言う。
「実に――愉快ッ、これぞまさに〝案内人冥利に尽きる〟と言うもの!…我々は我々の主の望みがために、この世界をより刺激で満たす為に〝舞台〟を求められ、其処に至る道筋を整える!…正しく我々の本領ではないかな!」
カタカタと男の体から金属の噛み合う音が響く…男は歓喜に震えながらもそう言い…ふと、落ち着いた様に居住まいを正し…皆に告げる。
「――さぁさて、そんな素敵な〝要請〟…どう応えようか…実は既に僕は1つ…〝面白いタネ〟を持っているのだけど…どうだろう?」
そして…男はそう言い…自らの口から、1つの案を紡ぎ上げた…ソレは――。




