沿岸洞窟の怪物
くそぅ、遅くなってしまった…!
はい、拡大解釈的に2本目です…ハイスミマセン。
ちゃ、ちゃんと明日も投稿するから…!
――カツッ…カツッ…カツッ…――
「〜〜♪…ボス戦後は、ご褒美部屋が相場だよな〜♪」
「えぇ、そうね♪」
ご機嫌に進むドルの声に、私はそう答える…彼等の背後から。
「レア装備とか、眠ってたりすんのかな?…ウェズはどう思う?」
「…ん、まぁ金は有るだけ良いし、レア装備なら性能次第って感じじゃね?」
「ヒュウッ、現実的〜♪」
――フワッ――
二人は進む…ボスエリアの更に先にお宝を求めて…暗がりを揺らすランタンと松明の灯りに照らされた二人の姿を私は見つめながら…彼等へ問う。
「二人共…体力と魔力はどう?…少し休憩挟んだとは言っても、完全に回復したって訳では無いわよね?」
その問いに、彼等の視線が私を捉え…二人は言う。
「ん…まぁ俺は雑魚から貰ったカスダメ分しか減ってねぇし、魔力は七割方回復したな」
「俺の方もだな、魔力の消費が激しいんで、6割しか回復しなかったけど、戦闘に支障はないぜ?……マオの方はどうだ?…一番ボスの攻撃受けてたし、魔力も使ってたろ?」
ドルとウェズの言葉に、私は頷き…ウェズの気遣いに私も無問題と返答を返す。
「問題無いわ、体力は万全だし、魔力も半分は残ってる…さっきみたいに大技を使わなければ魔力切れは無いわね」
私がそう言うと、二人はそうかと首肯し…再び、未知なる進路へ夢を膨らませ歩を進める…。
――カツッ……カツッ……――
それから数分程だろうか?…長きに渡る歩みの末に…不意に、私達は広く、比較的明るい空間を見つけ…その先へと踏み出した…そこは――。
――ポツンッ――
「開けた空間に……空き家?」
「砂浜…か?」
二人の言葉が示す通り…洞窟の岩肌に囲まれた…白砂の上に立つ古ぼけ廃れた小屋を中心に備えたただ広い空間だった。
「天井が…ある訳でも無いよな?…なのに、妙に明るいぞ?」
「魔術?…確かに、魔術は戦闘用と非戦闘用があるらしいけど…どういう魔術だ?…それか魔道具の類か?」
二人はこの空間に疑問を浮かべ…未知への警戒と、興味に目を光らせる…確かに、暗闇と岩肌だらけの空間に、こんなにも様変わりした異質な空間があれば、関心の一つも引くだろう…私だって〝平時〟なら其処に目が行く筈だ…しかし。
「……」
こんなにも〝広い〟…そして、こんなにも〝彼等の姿〟がハッキリと見えてしまうと……もう。
――〝我慢の限界〟だわ♪――
「――ッ♡」
●○●○●○
――ゾッ!――
二人は…この、〝静寂と退廃〟が形になった様な光景で、不意に〝悪寒〟に襲われる。
「「ッ!」」
刹那、二人は動き出し…〝背後〟から放たれた〝殺意〟へ対応し…回避と防御の行動を取る。
――ドッ、ズザザザザァッ!――
彼等がその行動を完了させたと同時に…空間が微かに歪み、掠め…或いは何かが直撃し、彼等は砂浜に投げ出される。
「グッ……オぉイ、オイオイオイッ…随分な真似してくれんじゃん…!?」
「御託は良いから構えろ相棒…!」
砂粒が舞い、二人は衝撃を殺しつつ、即座に戦闘態勢に入り…〝強襲の主〟を見る…その鋭い眼光に――。
――クスクスクスッ♪――
〝彼女〟は…心底から楽しそうに…瞳を熱で蕩けさせ、頬を染めた色香の有る笑みで彼等を讃える。
「流石♪…やっぱり〝素敵〟ね…貴方達♪」
その仕草は凡そ人を害するようには見えなかったが、己等を今、確かに襲ったと言う事実と、彼等の今まで潜り抜けた死線、数多の経験から得た知恵と、勘が…〝彼女〟を、〝危険な存在〟だと告げ…彼等の構えをより一層強固に保たせる。
「やっぱり裏切ったか…〝マオ〟…いや…〝マオ・ディザイア〟」
「フフフッ♪――なぁんだ、やっぱり気付いてたんだ?…うん、うんうん…知ってたよ、分かってたわよ…さっきからウェズ…貴方の〝視線〟を感じていたもの…♪」
ウェズの言葉に、彼女は楽しげに身体を揺らしながら…舞う…その仕草は甘い春を味わう生娘の様であり、欲を誘う毒婦の様な艶めかしさも纏っていた。
「――ん、まぁ…ウェズ程じゃねぇけど、俺も怪しいと思ってたぜ?…なんせ此処まで冒険した仲だってのに、フレンド登録どころかパーティーすら組もうとしねぇし…始めっから裏切るつもりだったのか?…此処で得たお宝を独り占めする為に?」
そんな彼女に、ドルは警戒しつつも何処か哀しげな様子で、吐き捨てる様にそう言う…そんなドルの言葉を受けて、彼女は真面目に…しかし堪えきれない愉悦に口端を微かに歪めながら、ドルへ釈明する。
「ん…フフフッ…〝始めから裏切るつもりだった〟…ね、ソレは〝正解〟♪…でも〝報酬目当て〟は〝ハズレ〟♪……本当は、貴方達に絡まれた段階で、適当に人気の無い場所で殺すつもりだったのよ?」
彼女はそう言いながら、二人を指さし…少し非難するように頬を膨らませて、言葉を続ける。
「でも、貴方達が悪いのよ?…貴方達が弱かったら、こんな裏切り方はしなかった、貴方達がもっと早くに仕掛けてくれたら…こんな真似はしなかった…貴方達が〝強い〟から…私は我慢してたのに…もう、色々と〝耐えられなくて〟♡」
その瞳は熱に潤み…赤い視線は狂気で染まりきり…二人へ紡がれる言葉には好意と悪意がチグハグに入り混じり…正しく、〝狂っていた〟…。
「だから、ね?…これでも待った方なのよ?…最低限、公平に…最大限、長く楽しめる様にね?…だから、もう良いでしょう?」
――ゾワッ!――
彼等…ドルと、ウェズへへ向けられた魔力に…彼等の顔は強張る…今の今まで散々と見て、感じて来た〝見知った魔力の感覚〟が…今この瞬間、この場所ではこの世の何よりも〝悍ましいモノ〟の様に感じられ…二人は、互いにアイコンタクトで会話を交わす。
「〝遊びましょう〟?……お誂向きに、〝報酬〟はこの先…貴方達が勝てば、報酬は貴方達の物…私が勝てば、私の物…シンプルでしょう?」
そのアイコンタクトを、彼女は眺めながらそう言い…二人の会話を待つ…そして。
――ブワッ!――
二人の身から放たれた〝魔力〟に触れると…彼女は微笑みと共に更に魔力を放出し…迫る戦火の…その〝音頭〟をもぎ取った。
「それじゃあ……〝ゲーム・スタート〟♪」
その瞬間、二人の姿が掻き消え――。
――キィィンッ!――
「〝不可視の触手〟」
空間に幾つもの魔術陣が現れ…〝静謐〟は破られた。
光のチャラ男vsヴィランムーヴ主人公、ファイッ!




