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エピローグ〜夕陽の中の誓い〜

 真っ青な空の向こうで花火の音がする。


 九月の秋の匂いを少しずつ感じ始めた朝、いつもの慌ただしい賑やかさで奏士が玄関を飛び出した。


「美雨!! 早くしろって!! 今日は遅刻できないからな!!」

 奏士は自転車跨り、今か今かと美雨が外に出てくるのを待っていた。


「ごめんね、奏ちゃん、支度に時間かかっちゃって。」

 茶目っ気たっぷりにペロリと舌を出す美雨。


「……ったく!!」

 そう言いながらも、今日は一段と可愛らしく見える彼女の姿に、相変わらずドキドキが止まらない。


「しっかり掴まってろよ!」

 自分のお腹に美雨の白い腕が絡まった事を確認して一気に長い坂を下っていく。

 二人の身体に触れる透明な風は、文化祭である今日一日の気持ちを引き締めるかのように、清々しく背中を押していく。


 そんな嵐の様に出て行った二人を見送りながら、優子と浩介は顔を見合わせて笑い合った。


「美雨ちゃんが日本に留まってくれて、本当に良かったわね!」

 嬉しそうな優子を横目に、

「本当だな。………あの二人の様子だと本当の家族になるのも、時間の問題だな」

 ハハハと笑いながら浩介が呟く。


「そうね……!!」

 優子はこれから築いていくだろう二人の未来を予想して、充実した気持ちでいっぱいになる。




 学校の校門が見え、駐輪場に自転車を止めると、手を繋いでダッシュする。

 学校のチャイムと共に教室に滑り込んだ二人。



「相変わらずギリギリね、二人とも!!」

 そう両腕を組んで仁王立ちしているのは、学級委員でもある瑠美だった。


「ほんと、反省してます……」

 小声で頭を下げる奏士の姿に、クラスの笑いが巻き起こる。


「おいおい、昨日の夜も遅くまで、美雨ちゃんとイチャイチャしてたんじゃねーの??」

 クラスメイトの男子たちが冷やかす中、美雨も奏士も頰を赤く染める。


「えっ? ちょっと待って? マジで?!」

 騒つく生徒たちをさらに煽る様に悠人が、

「二人のキッスは濃厚だったもんなー!! なぁ瑠美!」

 そう瑠美の肩に手を回した。

 彼女へ向けられた悠人の眼差しはとても優しい。


「ふふふ、そうね!!」

 瑠美は嬉しそうに笑顔で悠人の視線に答える。


「ちょっと!! マジでいい加減にしろよ!!」

 真っ赤な顔で奏士は唯一キスの目撃者である二人の会話を止めようと必死になる。


「でも、奏ちゃん、キスする時すっごく優しくてカッコいいんだよ!!」

 美雨の突然飛び出した素直な感想に、一気に教室中がヒートアップし、黄色声が巻き起こる。



「美雨!!!」

 奏士は慌てて美雨の口を塞いだ。


 そんな美雨と奏士を温かく見守りながら、

「さぁ!! クラスの熱が一気に上がったところで、今日の合唱コンクール、一位狙おうね!!」

 瑠美がクラスメイトの空気を引き締める様に気合を入れる。



「みんな!! 一位取れたら、俺、瑠美に告白するんで、頑張る様に!!」

 悠人が瑠美の手を取り突然叫んだ。


 瑠美は真っ赤に頬を染め、悠人を見つめる。


「……そういう事だから……頑張ろうな!」

 照れながら目線を合わせることができない悠人を見つめて、瑠美は微笑んだ。



 ◇◆◇◆



「美雨、ありがとな……」

 見事金賞を収めた文化祭の帰り道、いつもの坂で奏士は立ち止まる。


「どうしたの? 急に?」

 照れ臭そうな奏士を不思議そうに見つめる美雨。


「美雨のお陰で、俺見える世界が何倍にも広がった……」

 海一面をオレンジ色に染める大きな夕日が二人を包み込む。



「私だって、人間になれて……本当に今幸せだよ」

 微笑む美雨の顔も夕日にが反射してキラキラと輝きを放っている。





「……なぁ、俺、美雨とずっとずっと一緒にいたい。おじいちゃんになっても、おばあちゃんになっても……一生が終わっても」

 奏士の頬は一段と赤らんでいる様に見えるが夕日のせいだろうか?


「結婚……して欲しいんだ。」

 急に真剣になった奏士の顔を驚きながら見上げる美雨。


「まだ早いって思うかもしれないけど……、予約したいんだ。他の奴に美雨の事取られない様に」


 美雨ははにかんだ奏士のその言葉に、堪らず自分からキスをする。


 波の音をBGMに、秋風に優しく包まれ重ねた唇を通して奏士のプロポーズの返事を伝える美雨。



「私は奏ちゃんと一緒になる為に人間になったのよ。私の一生……全てがもう、奏ちゃんのものよ」

 幸せに満ち溢れた美雨の瞳に愛しい奏士の笑顔が映る。



「俺は美雨にもらった幸せ、俺の全部を懸けて返したい。だから、ずっとずっと……一緒にいられるよな??」

 もう二度と、美雨を失う悲しい思いはごめんだと、彼女の頭を存在を確かめるように優しく撫でる。



「うん……! もう二度と……離れたりしないから」

 美雨は奏士の心配そうな表情を申し訳なさそうに見つめ返した。


 そんな潤んだ瞳の美雨に、堪らず今度は奏士から美雨にキスをする。

 暖かい夕日に照らされた二人の影は、仲良く一つになった。




 坂の上にあるオレンジ色の家を指差した。

「さぁ……お家に帰ろう」

 そっと繋いだ掌に、二人はこれからもずっと続いていく未来を大切に仕舞い込んだ……





 完









今まで読んでくださった方本当にありがとうございました。途中途中自分の語彙力の無さに、自分の頭の中で見えているストーリーがちゃんと読んでくださる方に伝わっているのか、不安になる時もありましたが、なんとか完結できました。次作は途轍もなく書きたくなる設定が見つかったら、また妄想に耽ろうと思うので、いつになるか分かりませんがその時に気に入って下さった方はまた遊びに来てください!


感想頂けると本当に意欲が湧いてきますので、是非是非一言でも頂けると幸いです。

評価、ブクマくださった方もありがとうございました!!


*サブタイトルの数字抜けてましたが修正しました。

話が飛んでいたわけではないので順番にお読みくださいσ^_^;

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