3話 招待状
無理しないように着実に頑張ります。
carnivalへの招待状
これを読まれている紳士淑女の皆様、突然ですがこれを読まれている方限定で我々のカーニバルへ招待しております。
この祭典では、現在廃れつつある魔術に一定以上関わりのある方をお招きしています。そんな方々との交流も今の時代の流れとして大事なものだと思いませんか?
つきましては参加資格のある方の中から予選会のようなものを行います。
なお、メインイベントに参加し、最も優秀であった方には景品としてこの世のものとは思えないような豪華な景品を用意しております。
皆様の参加をお待ちしております。参加の際は何が起きても問題ないようにしてお越し下さい。
carnival進行役
黒い封筒の中に入っていた手紙を読んでみたものの正直意味がわからない。
そもそも参加しろと言いながら、場所と時間が書いていない。カーニバルと書いているが進行役も祭りの名前も詳しい話が一切ない。 何が起きても問題ないようになど疑ってくださいと言わんばかりの怪しさだ。
仕方がないのでどう考えても怪しいこの封筒と手紙を、ストックしている調査用の魔法陣の上に置き魔法陣に魔力を通して解析しようとする。
その瞬間置いている手紙から、荒れ狂うような魔力が間欠泉のように吹き上がり体を包んでいく。
「(まずい、罠か!!)」
そう思ったときにはもう遅く、周りのある魔力がどこかに引っ張られていく感覚があっても急激な引っ張られるような感覚に目を閉じ、気を失わないようにすることしかできなかった。
体を引き寄せる感覚がなくなり、足の裏に何かがある感覚が急にあらわれた。閉じていた目を明け、周りを確認する。
そこには前以外を石の壁で覆われ、両の壁には燭台の上でロウソクの炎がゆらゆらと揺れながら、見える限り等間隔に並び進む先を照らしている。
見落としがないようになにか仕掛けがないか数分ほど探しても見当たらない。
不気味な感じがするものの道は前にしかない。護身術程度なら修行の一環としてやっているし、身体強化をすればうまくいけば拳銃の弾すらよけられる可能性だってある。
なにか出てきた時にすぐ反応できるようにしながら進んでいく。もうどれくらいたっただろう、経った時間も怪しくなるほど歩いて心身ともにすり減り始めた頃になってようやく扉が見えた。疲れからか、狭いところを一人で延々と歩いてきたとこから解放されるからか、転がるようにその部屋に入る。
入るとそこは、まるでヨーロッパのどこぞのお城の一角ではないかと言わんばかりの調度品の数々。壁際には疲れた身体にはたまらないであろうおいしそうな果物や透明な水差しに入っている美味しそうな飲み物。いかにも飲んで、食べてくださいと言わんばかりに置いてある。部屋の中央にはこれまた豪華そうな椅子がぽつんとこちらに背を向けて置いてあり、その前にはまだ何も写っていないパネルがあった。
疲れを訴えエネルギーを欲する体を押さえ込み、椅子に向かう。椅子の上にはここにくるきっかけになった便箋が置いてあり、
お疲れ様でした。この椅子に座り、もうしばらくお待ちください。
とだけ書かれて置いてあった。疲れといらだちをぶつけるように乱暴に椅子に腰掛ける。
椅子の上にあった紙を解析してみようか。壁際にあった飲み物や食べ物を口に入れようか。などいろんなことが思い浮かぶ。
しかし書いてあったのは、椅子に座って待てという指示。待っている間は何をしようと同じかも知れない、それでもここに来るきっかけが不用意に手紙を解析しようとしたことを思い出し、ぐっと我慢する。
考えすぎなら問題ないがこの紙や壁際の飲食物に最初よりひどい仕掛けがないという保証はない。
我慢する、と決めるとなぜかまわりのことがあまり気にならなくなった。
ブゥン
いきなり目の前の画面に数字が規則正しく並んで現れたと思うと、すごい勢いでランダムに消え始めた。
感想等よろしくお願いします。