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親友の尋問 後編

ガールズトークの続きです。

 みちるに鮫島さんへメールを送れと言われ、悩みに悩んで完成したメールがこれ。




『こんにちは、お昼ですね。

 この間は楽しかったです。ありがとうございました。

 わたしは今日親友とランチです。でも明日はまたバイトです。

 鮫島さんもやっぱり忙しいんですかね?

 眉間にしわ寄せてばかりいたら、すぐオジサマからジジイですよ』





 打ち終えると横からみちるが携帯を奪い取り、画面を凝視した。だんだん表情が険しくなっていく。


「……あんたこれ、彼氏に送るメールなの? 色気もクソもないわね」


 そう言った後、勝手に携帯を操作する。しばらくして携帯を突き返してきた。


「せめてこれくらい打ちなさいよ」


 携帯画面を覗く。ぶほっ、何さ、この文面。水を飲んでいたので噴き出しかけた。





『 愛しのダーリンへ


 お仕事お疲れ様です。今日は親友とランチしています。

 素敵な彼氏が出来たって、自慢しまくってます。

 でもダーリンのこと話してたら会いたくなっちゃった……

 ダーリンはきっとお仕事で忙しいよね? わがまま言わずに我慢します。

 でもちょっとでいいからラナのこと、思い出してほしいな……

 また時間があいたらデートしようね。

 お仕事頑張って。ラブ。


 あなたのハニーより 』





「こ、こんなメール送れるかぁ! 恥ずかしい。自分の彼氏に送れ!」


 消す。こんなメール送るぐらいなら音信不通のままでいい。


 消そうと焦りまくったわたし。間違えて押してはならないボタンをポチッと……


『送信しました』


「ああっ! ……送っちゃった」

「ぷっ。あんたってお約束通りの女ね」


 噴き出す親友の態度に怒りも起きやしない。今ある感情は、コントのような展開をかます自分の落ち着きのなさに落ち込み、あれを鮫島さんに読まれると思うと顔から火が出るほど恥ずかしい、の二つだ。


「笑うなぁ! ……ヤバイ。もう会えない……」


 甘酸っぱいこの感じ何よ。『ダーリン』『ハニー』!? 呼んだことないよ。つーか絶対呼ばない。


 みちるはわたしを見て面白がっている。自分がこういうことされると、ものすごく怒るくせにさ。本当にひどい。Sですよ、ドS。今度絶対仕返ししてやるから、覚えてろよ!


 不機嫌さいっぱいで食事を終え、夕方みちるが彼氏と会うまでその辺をぶらつくことにした。デパートの中にいたとき、メールの着信音がした。鮫島さんからの返事だった。

 横からみちるが覗いてくる。コラッ、見るな!





『 かわいいラナ


 素敵なメールありがとう。とてもうれしいよ。

 仕事は忙しい方だと思う。でもラナに会うための時間はあるから。

 金曜の夜、会える? 』





 文面を見て、思わず赤くなる。あんな甘ったるいメールに律儀に返信してくれてありがとうございます。しかし、このメールも何気に甘い。


 携帯を見ながら甘い余韻に浸っていると、みちるが小声で尋ねてきた。


「あんた、彼氏とどこまでいった?」

「遊園地?」

「ぶぁか。誰がデートの行先なんて聞いてるの。キスとか、その先のことよ」

「ななな、何言ってんのよ。付き合い始めてまだ四日だから!」


 どうしてみんなそんなに展開速く考えてるわけ? わたしは遅いの? 時代遅れ??

 まだ手しか繋いでないよ。……いや、抱き締められたか。自分からも抱きついちゃったし(場所がお化け屋敷だったけど)。


「でも見合いでしょ? しかも結婚前提。半年ぐらいで結婚……なんてこともあるかもね」

「は、半年!?」

「まぁ人それぞれだけど、とんとん拍子にいったら一年以内には結婚しちゃうんじゃない? で、金曜、会うんでしょ?」

「うん。バイト夕方までだし」

「じゃあ一応覚悟はしておいた方がいいわね」


 みちるさん! 覚悟って何ですか!!


「か、覚悟って、キ、キスの覚悟だよね……?」


 みちるは無言だった。そっ、その先までですか!? キスでも無理なんですけど。心の準備ができてません!!


「む、無理無理! この前『キスしようか』って言われて挙動不審だったのに、エッチなんてできるわけないじゃん!!」

「へぇ、そんなこと言われたんだ。でも無理にしなかったんなら、あんたが『待って』って言えば、ちゃんと待ってくれる人なんじゃない?」


 そうだよね。鮫島さん、わたしが男の人と付き合ったことないって知ってるし。


「でもやっぱりキスぐらいは覚悟した方がいい。……というか、してあげな」


 わ、わたしからしろと? そんな高等テク、無理に決まってるじゃん!


 ブンブン首を横に振ると、みちるはハァとため息をつく。


「余裕があれば、……無理ね。あと、まだまだだいぶ先の話かもしれないけど、あんたちゃんと勝負下着とか持ってる?」

「あるわけないし。どこに勝負に行くのさ」

「じゃあ、今から行こうか。選んであげる」


 みちるがわたしを引きずってランジェリーショップに入っていった。これは確実におもちゃにされるよ。

 みちるが見つけてきたのは何かエッロイ感じのものだった。「そんなのはけるかぁ!」と抗議して、どうにか無難だけどかわいらしい下着のセットを二つ買った。


 それからカフェでお茶をしながら、ありがたいのかわからない恋愛についてのレクチャーを受けた。話に夢中になりすぎて、彼氏との待ち合わせ場所に行く時間が惜しかったのか、みちるは彼氏をカフェまで呼びつけた。彼氏が来たならと気をつかって帰ろうとするのを止められて、彼氏も巻き込んでさらに一時間みっちり語られた。



 ヘロヘロになって帰宅した後、鮫島さんにメールの返事をする。


 あと二日なのに待ち遠しくて、じれったい。こんなに会いたくなるなんて、やっぱりわたし、鮫島さんのこと好きなのかな??






ガールズトークって結構際どいことも言っちゃいますね。


こんなのは序の口だと思いますが…

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