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インフルエンサー失踪事件  作者: たま


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12/13

赤ひげ

戸山団地の商店街に行くと遠藤医院は動画勢以外の団地のおじいちゃんおばあちゃんでごった返していた。

「すごい繁盛だね。」結局向かいの喫茶店で夕方まで待ってくれと言われて待った。

「先生は診療だけだと金取らないからね。

病気と分かって治療するまではタダだから。健康に不安がある団地のジジババは助かるよ。」と喫茶店の70代くらいのオーナーから説明を受ける。

「それで成り立つんですか?どうなってるんだ?」鬼丸は驚く。

「医院は空きテナントだったから、病院なら助かると自治会が無料で貸してるんだよ。器具類や注射は大学病院の余剰在庫を回して貰ってるらしい。

薬も今は薬局だしね。病気を見つけて貰って大きな病院に紹介状を書いて貰えたら、大病院でお金余計に払わなくて良いし、待ち時間も縮められる。先生はつなぎの医者なんだよ。」と。


「すまんね。え〜と、あの死体の事件だよね。

あの死体はダメだ!人を人と思ってない!多分、あの女の人はすごく苦しんで長い時間を耐えて亡くなって言ったと思うよ。

殺し方に良いも悪いもないが、アレはダメだ!」遠藤医師が首を横に何度も振る。

「元々ここは陸軍の人体実験所があった場所だしね。

捕虜の扱いの条約を日本は守らず、ここで人体実験していたんだ。まあ、もう捕虜を食べさせる事も出来なかったんだけどね。細菌兵器を作って敗戦寸前からの一発逆転を狙っていたんだ。

多分それと同じ様な目に、あのインフルエンサーは遭ったんだよ。かわいそうに。」遠藤医師が手を合わせて拝む。

「そんな昔じゃないですよね?確か1990年くらいに土中から100体もの日本人では無い人骨が出たとか。敗戦時に大急ぎで処理したものだとか聞いてます。

それだけ見つかるとヤバい事がこの辺りで行われていたとか?」さすがにそれは潤も知ってる。

「潤さん、スゴいじゃん!」と鬼丸が驚くが…

「いや、だって…」と言いかけたがヤメた。芝生広場に浮浪者は座ってるが、彼らは立ち尽くして皆下を向いてずっと痛がったり苦しんでいた。頭にドライバーが刺さったままの人もいる。

「ふふっ、ここは都内最大の心霊スポットだからね。

色々見える人には恐ろしい場所らしい。」遠藤医師がイタズラっぽく笑う。

正義感の強い赤ひげだけでは無いようだ。

「お話は、僕達を雇っている明智弁護士から遠藤先生の事件への見解を聞いてこいと言われてきました。

遠藤先生は、やはり第2の犠牲者が出ると思いますか?」鬼丸がストレートに聞く。

「うん、十中八九、次の標的を漁ってると思うよ。殺された人は、やはり目立つほどスタイルが良かった。

そんな風に美しいパーツを持った人間を探してる猟奇犯罪者の仕業だと僕は思うよ。」遠藤医師が鬼丸と潤の目をヒタッと見ながら話す。

2人はすでに会っている。その猟奇殺人犯に。

美しい緑川夫人に。

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