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ジェネラリーナイト  作者: 星芽龍英
第1章 始まりの竜
7/70

第6話 名誉士爵

お待たせしました!


今回は前回の宣言通り四千文字くらいです!



それでは第6話をお楽しみください。




 





「主と……そこのエルフの人?が知りたがってる……このホーク?……だけど、アルミの能力で作った……こんな風に」



 そう言ってアルミスは手に持っているフォークを一旦消して、エドバとアルメリアに見せる様にフォークを両手の上に出した。それを見たアルメリアはアルミスの能力に得心が行ったのか冷や汗を垂らしながらエドバに向けて言った。



「エドバ君。どこまで強くなるつもり?」



 アルメリアのその問にエドバは躊躇なくこう答えた。



「世界を敵に回しても、()()()2()()()()()を守れる程の力が手に入るまで」



 その言葉を言うエドバの様子は何かに誓う様であり。エドバはそしてと続けた。



「家族とありふれた日常を……いいえ、違いますね。私は家族が生きている限り力を求め続けます………もうあんな思いは、したくないですから」



 そう言ってエドバはアルメリアに微笑んだ。その微笑みはアルメリアから見たらひどく悲しそうで過去を悔やんでいる様に見えた。アルメリアはエドバの過去を知っている、そうなった経緯もその後の事も知っている。知っているからこそ、その言葉にアルメリアはごめんなさいねとしか言えず、こんな時気の良い言葉を掛けられない自分が情けなくなり目を伏せた。2人の間に重苦しい沈黙が流れるが、そんな中2人が話し終わるのを待っていたのかアルミスはエドバに向けておかわりと言った。



「まだ食べるの?12人前くらい頼んだ気がするけど」



 そう言ってアルメリアは積み上がった皿を見上げた。



「ん。もう少し食べたい」



 その言葉にエドバとアルメリアは互いに顔を見合い、ふふっと微笑み先程の重苦しい沈黙は霧散して笑い合いながら追加の注文をした。





 食べ始めてから数十分が経過し個室の外が騒がしくなって来た。事業が終わり生徒達が食堂に来たのだろう。追加注文してから終始食べ続けているアルミスはと言うと最後のデザートを食べている、流石竜と言うべきかなんでも食べ特にマシュマロが気に入ったのかエドバにもっと食べたい!っと言うほどである。そんなアルミスにエドバは後でねと言い現在進行形で土下座をしているアルメリアに目を向けてハァーっと溜め息をこぼした。



「アルメリア学院長そろそろ土下座を辞めてくれませんか?」



 それを聞いてもピクリともしないアルメリアにエドバはなぜこうなったと思わずにはいられなかった。


 ことの発端は数分前、エドバが改めてなぜ自分をソヒィスティア王立学院に呼んだのかアルメリアに聞いたら無言で今日2回目の土下座である。話せない何かがあると見ていいものか、はたまた土下座の体制で寝ているのか……考えても仕方ないと思いエドバは強行手段を使う。



「今から5秒づつ魔道書を1つ燃やします。5ーー」

「土下座やめますからそれだけはやめてください!」



 カウントダウンが始まるとアルメリアはバッ!と勢いよく顔を上げた。上げた顔はまだ眠たそうにしていてゆっくり頭をコクコクと上下している。この仕草から土下座したまま寝ていたのが確定した。



「(ただ今は寝ていたのを言及するのは後回しにして一刻も早く土下座の体制をやめてほしい。これを生徒や教師に見られればなにを言われるか分かったものではーー)」



 などとエドバが思考していると個室のドアがバンッ!と勢いよく開かれた。驚いてドアの方向を見ると1人の女子生徒が喋りながら入ってくるのが見えた。



「誰ですの!(わたくし)のスイートルームを使っ…………」



 その女子生徒は個室に入ってくるや否や個室の状況に言葉を無くす。そして数十秒経ちなんとか言葉を発した。



「な、な、なんですの……この状況……我が学院の誇り高きあの……学院長が……ど、どげ………」

「「「キャアアア!!!レンスレッテ様がお倒れに!!!」」」



 個室の状況をなんとか言葉にしたレンスレッテと呼ばれた少女は現状の整理が追い付いて来ず倒れてしまったのだろう無理もないと内心で同情するエドバはこの騒ぎを引き起こした元凶に向けてどうにかしろと目で訴えるのだった。




 ✳︎✳︎✳︎




 あの騒動から数十分。騒動の元凶(アルメリア)の指示でエドバは学院長室である人物を待っていた。と言うより待たされていた。そのアルメリアはレンスレッテを医務室に連れて行くと言ったきり学院長室に戻ってこない。そのため今学院長室はエドバとアルミスの2人だけ、落ち着いて話が出来ると思い、エドバはアルミスと交わした契約の話をしていた。



「アルミの能力は……鉄武作製(アイアンクリエイト)……決まった質量を超えない限り……鉄でなんでも作れる」

「その能力は私でも行使出来る?」

「なに言ってるの主?……使えるに決まってる……」



 エドバは改めてアルミスの能力を聞き、その能力を自身で使えるかアルミスに聞いたところ不思議そうに使えると断言して、あ、言い忘れたと呟き、改めてエドバの顔を見て話した。



「今使える……質量は800グラム……だよ主」



 今使える……か。と思いつつその言葉にエドバはありがとうとアルミスに言い、自分がどこまでその能力を使えるか試すため、まずアルミスが作っていたフォークから挑戦してみようと思い、頭に立体的なフォークのイメージを思い浮かべ能力を行使する。そうするとゆっくりではあるが空中に思い浮かべたフォークが少しづつ出来上がっていく。


 数秒後フォークが出来上がり、出来上がったフォークを掴んでエドバはフォークをあらゆる角度から見てなるほどと言った。



「流石主……初めてなのに綺麗に出来てる……経験あったの?」

「経験か……ないよ、強いて言えば魔法で剣を作ったことがあって、その応用かな」

「そうなんだ……」



 アルミスと話し合っていると学院長室のドアがコンコンコンとノックされた、それにエドバはどうぞと言いながらソファーから立ち上がった。


 失礼しますと入って来たのは30代前後の美丈夫で引き締まった肉体と幾つもの戦場を駆けた強者特有の雰囲気を纏っていて、茶色のローブの胸元には銀色に輝く勲章を付けている。その美丈夫はエドバを見た瞬間跪こうとしてエドバがそれを制止して座る様促し、美丈夫が座ったのを確認してからエドバもソファーに座った。


 重苦しい空気の中先に話したのはエドバだった。



「お久しぶりです。バリスホート士爵」

「ええ、お久しぶりです。エドバ……さん」



 エドバの挨拶にバリスホートと呼ばれた美丈夫は困惑しながら挨拶を返した。それに対してエドバはふふっと微笑み畏まらなくて良いですよと言い、手元の紅茶を飲んだ。ちなみにアルミスはバリスホートが入って来る前に契約印に戻ってもらった。



「無茶を言わないでください、貴方様はこの国をーー」

「それは過去の話です。どうか昔の様になさってください」



 そう言われたバリスホートは溜め息混じりにわかったと言ってエドバに改めて挨拶をする。



「久しぶり、エドバ君」



 それを聞いたエドバはええ、お久しぶりですと返し微笑んだ。



「君も相変わらずだな、力を手に入れてもそれをひけらかすこともない。昔と変わらないな」

「そう言って頂けて光栄です。してバリスホート士爵はアルメリア学院長に学院長室を訪れなさいと言われてここへ?」

「ああ、まさか君がいるとは思わなかったがね」



 それを聞いたエドバはアルメリアが間接的に自分に説明を押し付けて来たのを理解し内心で溜め息をこぼして、バリスホートに話した。



「レンスレッテ嬢が気絶して倒れました」

「……は?娘が気絶して倒れた?」



 エドバは的確かつ直球に話し、それを聞いたバリスホートは唖然とした。なにしろレンスレッテはバリスホートの娘である、自分の娘が気絶して倒れたと聞かされれば唖然もするだろう。バリスホートはエドバに眉間を揉みながら説明してくれと言った。



「アルメリア学院長が土下座していたのが原因かと」

「ど、土下座ってアルメリア殿が土下座する程の人はいな……」



 そこでバリスホートは目の前の少年に目を向ける。エドバは視線を向けられたと気付きまぁそう言うことですと気まずそうに言った。



「それは……まぁ、うん、レンスレッテはアルメリア殿に憧れを持っているから余計にショックが大きかったのだろう。今娘はどこに?」



 何が起こったのかわかったのだろう、バリスホートはレンスレッテに同情しながらエドバに居場所をを聞いた。



「今は医務室にーー」



 エドバが居場所を言おうとしたら学院長室のドアがバンッ!と開かれた、それにエドバは既視感を覚えながらドアの方向を見ると話していたレンスレッテの姿があった。



 「見つけましたわ!さぁ(わたくし)と勝負なさい!」



 ズンズンと進んでエドバの近くまで歩いて来てレンスレッテはエドバを指を差して声高らかに言った。それを見ていたバリスホートは頭を抱えながらレンスレッテを止めるべく立ち上がり、娘の前に立った。



 「やめなさい、レンスレッテ」

 「あら、お父様、ご機嫌様、今日はどうして学院にいらして?」



 不思議そうにレンスレッテは自身の父親を見る。それに対しバリスホートは溜め息をこぼした。



 「アルメリア学院長から至急学院に来るようにと連絡があってね、ここに来たら倒れたと聞いて心配したよ、起きたばかりなんだろう?今はゆっくりしていなさい」

 「ご心配をおかけしました、ですが!この不届き者を地に伏すまでは大人しくしていられませんわ!」



 説得、もとい誘導が失敗して、すみませんと言ってくるバリスホートにエドバは苦笑を返し、どうしようかと悩み始めようとした時、開いたままのドアの方向から足音がして目を向ければアルメリアが入って来た。そしてエドバに向けて言った。



 「その勝負受けても良いんじゃないの?エドバ君」

 「「え?」」

 「まぁ!」



 エドバとバリスホートはアルメリアのその言葉に困惑し、レンスレッテはアルメリアに感激した。


 アルメリアはもう訓練所を確保しておいたわと自慢げに言ってエドバの近くまで歩いて来て耳元でこの機会の重要性を話した。



 「学院の生徒と戦える機会はそうそうないからこのチャンスを活かさない手はないでしょう?」



 そう言ってアルメリアはウインクをし、レンスレッテと共に先に訓練所に向けて歩いて行った。まぁ良いかと思いエドバは申し訳なさそうにいるバリスホートに行きましょうかと言い、アルメリア達の後を追った。








いかがでしたでしょうか。


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次回は4月15日の17時を予定としております。

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