第24話 その3
「D4C連続爆破テロ事件とは今からだいたい28年前この島でとある怪物の力を得た宗教団体によって引き起こされた史上最悪の事件だ」
「世間では体内にC-4を飲み込むことで行われた史上最多の自爆テロとしても知られているがその実態は怪物の力によるものだ」
「この事件をニュースで一度でも見ていたものは忘れることは無いだろう、総件数は確定したものだけでも56件、総死者は二次被害及び犯人自身を含めるなら300を超え、負傷者はその数倍を下ることはない」
「その悲惨さからニュースや特番として放送するだけでテレビ局にはクレームが殺到するほど、もはや歴史から学ぶことによる防止よりも存在したことを全人類が一刻も早くそれを忘れるべく務めることを望まれるほどだ」
「正直我々としてもその選択はありがたかった、なぜなら使われている爆弾が特殊ゆえ対策のとりようが無かったのだから」
「どんな爆弾なんですか?」
マルキメイラが問う
「………全てだ」
その問いに局長はそう答えた
「?」
「全てが爆弾だったんだ」
「全てが、あらゆる爆弾だったんだ」
「放置されたぬいぐるみから道を歩く老婆、人を運ぶ列車、空を飛ぶ鳥、あくびする猫、全てだ!」
「地雷のように時限式のように遠隔式のように、手榴弾や空爆のように!」
「全てがあらゆる爆弾に変えられる!」
「怪物イグニッションが種を埋め込んだ万物は爆弾となるッ!」
「その威力は無生物ならば最大でその質量分のC-4に相当し、生物ならばその者に本来残されていた寿命が威力に変換される!」
「爆弾は起爆するまで生命に一切の影響が無く、鳥はスイッチを押されるまではばたくことを止めず、鼓動は打ち続け、血の流れは妨げられない!故に当時はあらゆる手段を通してもその種は爆弾である確証は……観測できない、尻の穴をかっぴらこうとな!」
「いかなる身体検査も金属探知機も爆弾の予防策とはなり得ない、人がAIが不審者を検知しようにも知らずに爆弾にされてれば意味をなさない」
「大きさを材質を形を選ばない故に、電車も、講演会も、工場も、学校も、ショッピングモールだって爆破に巻き込まれる」
「奴らの目的が人を殺すことである以上未然に場所を予想しそれを防ぐことすら不可能だ」
「そんな怪物の力を!」
「なんで!?」
「許可なく復元したんだ華家来輝照!」
「貴様あんなことになったのに、まさか奴の力の脅威を忘れたわけではあるまいな!」
威力を述べ、あの惨状を思いだし、怒りをつのらせ、本来傍観者的立ち位置にいるべき機械人形は声を荒げ机を殴る。
「………強力故に、脅威故に今度は良いことに使うべきだと思っていた、今に思えば実に考えの浅いこと、深く謝罪申し上げる」
華家来輝照は立ち上がり頭を下げる
「…………まぁ、気持ちはわかるんだ」
「あの威力、魅せられる気持ちは」
「だから今日まで私はお前を攻めることが無かった、今になって攻めるのは卑怯だったな、すまない」
局長は頭を下げ
そして全員を見る
「教団の奴らに取ってあの力は主の奇跡だ、手に入ると知れば例え他人が持っていようと強奪に動くだろう」
「必ず確保するぞ、可能な限り早く」
「奴らは太陽を信仰している」
「奴らの目的は太陽が出ているときに人を殺しその魂を太陽にある楽園に送ることで自身が善行を積み、自身も太陽の楽園へ行くこと………故に
バン!
局長が言葉を紡ぎそれ以外のすべてが静かな会議室に扉が勢いよく開く音がする。
「おい!幹部会議は機密事項だぞ、入ってくるな!」
「まぁまて、何だね、怪物かい?」
5班の2人が問う
「そ、それが………本郷局員が!」
「出血悪化、火傷が深刻です!」
「息は………ありますけど、これは……」
「止まるな!直ちに止血、輸血パックを早く持って来い!」
「彼は一般人なんだぞ、こんなところで死なせるな!」
「ひどいなこれ……生きてるのが奇跡だ」
担架で意識を失ったまま早太は運ばれていく
「ど、どういう状況だ!?」
「そ、それが……」
抱えて飛んできたのか真っ赤に染まった羽と服で下河は先ほど起こった出来事を伝える
「………老婆の自爆?」
「仇の子、遅かったか………!?」
「全局員一斉配備………いや、他の組織にも協力を仰げ、全力だ、全力で奴らの狂行に対処する!」
「これは最高権力権限による命令だ、いかなる任務、研究もも停止、拒否は許さん」
「暗部全体にI.P.権限発行!」
「奴らは太陽の出ている間しか行動しない、捉えられるタイミングはその短時間だけだ!」
「全力で、草の根分けても、コンクリに穴を掘っても探し出せ!」
「悪夢が来るぞ!」
全員がその命令と共に動き出す
全ての戦闘員からドローンまで総動員で
研究班は解析班に加わり島中の監視カメラに片っ端から目を通していく
そうして本郷早太の治療を行う手術室の前で数名だけが残されていた。
「…………」
執刀を終え
専属の医師が手術室から出てくる。
「………どうかね?」
局長が医師に問う
「それが、奇妙なのです」
「奇妙?」
「手の施しようが無いのです」
「そんな!?」
下河は借りた病院着の姿で声を上げる
「は、早太君は助からないんですか!?」
アルドナープが焦ったような表情で問う
しかし医師はそれを補足する形で否定する。
「い、いえ、違うのですよ」
「言い方が悪かったと申しますか……」
「手を施せないというのもですね」
「再生してらっしゃるんですよ、彼」
「「「………は?」」」
運び出された彼を見る
確かに、さっきまであった深い傷が少し浅くなっている。
「ゆっくりとですが治りつつあります、骨なんてもうほとんど元の形に戻りつつあります」
「何もせずともこの再生速度なら今日の日没には体は完全に修復されるでしょう」
「もう何がなんだか」
「………とりあえず、回復してるんだな?」
「はい」
「じゃぁ……まぁ、一旦は良かったと喜んでおこう、再生ができなくなってしまっても困るからとりあえず解析も検査もしない、放置だ、今回の一件はとりあえず早太抜きで対処すると連絡しておくことにしよう」
「最も有効な戦力はマキナだが」
「………しかし、大丈夫かねぇ」
「今回の、件の、あの教団は………葉黄恵縁、いや、HAシリーズを作り出した存在、つまり彼の最初の主であり、彼らにとっての神だ」
「吹っ切れていればいいのだが」
「……アルドナープ、彼が治り次第出撃して貰う可能性がある、病室で待機していてくれ」
「はい」
「あの、僕は!」
「下河君、君もそばにいてやってくれ」
「局長さんは?」
「………この体ではなぁ、情報収集と統率に専念する」
そう言って局長は待機室を去っていった。
Dirty Deeds Done Dirt Cheap(通称D4C)
元は海外のことわざとか洋楽の題名だったりするそうなんですが
私は正直ジョジョのスタンドでしか知りません
どうもGoogle翻訳さんもそうらしくってどう翻訳しても「いとも簡単に行われるえげつない行為」としか翻訳してくれませんでした。
漫画が翻訳にまで影響を与えるとはすごい話ですね。
今回で何故この事件がD4Cと呼ばれているのかを書こうと思いましたが勢いで書いていた結果挟めなかったのでここで説明します。
率直に言うとD4Cとはテロ事件で使われた爆弾の世間での俗称であり、正式名称は潜伏するプラスチック爆弾を意味するDiver C-4(通称DC4)だったのですがネット内で信者たちが自身の命を使って引き起こすそのいともたやすく行われる惨状を「これじゃぁDC4ではなくD4Cだ」と投稿したことで爆発的にこの言葉が認知されたため世間ではこの名の方が広く知られています。
と言い訳を述べましたがホントの事を言えばただ単にキラークイーン以外の題名が思いつかなかった結果最近頭から離れなかったスタンド名をそのまま使っただけです。
好きなんですよねD4C
なお欲しいスタンドはエニグマですね便利そう




