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耐性がついてきた

 谷竜稲荷(ろくりょういなり)に着いた後、(しば)しの休憩(きゅうけい)

 外は吹雪(ふぶ)いているが、流石(さすが)は新築の(やしろ)(きし)む音もない。


 私は、


「そろそろ、祝詞(のりと)を上げますか。」


と提案した。だが、古川様から、


「まだ、・・・氷川が来てない・・・わ。」


と指摘。そういえば、合流予定だった。

 私は、


「先に始めるのは、宜しくないのですね。」


と確認すると、古川様は、


「そう・・・ね。」


と肯定。私も、


「分かりました。」


(うなづ)いた。

 だが、そうすると手持ち無沙汰(ぶさた)だ。

 私は、


「ならば、亀でも作りますか。」


(わら)のある方に移動しようとしたのだが、古川様から、


「それは、・・・祝詞の後・・・かな。」


との事。私は、


「ならば、何かやる事はありますか?」


と確認したものの、古川様も、


「特に、・・・ない・・・わ。」


と困った回答。私は、


「分かりました。」


と答えたものの、これでは、瞑想(めいそう)するくらいしかやれる事はい。

 私は、


「ならば、瞑想でもしていますね。」


と伝えると、古川様は、


「そうね。」


と肯定。これは、やっても良い様子。私は、


「はい。」


と返事をして、早速、瞑想を始める事にした。



 棚の前に移動して鏡と向き合い、目を(つむ)る。

 (しばら)くすると、目の前に何かいる事に気付く。

 正面には、(てのひら)の大きさの女の子と男の子。その横には、白狐(びゃっこ)(ひか)えている。

 勿論(もちろん)女の子のは稲荷神の()御霊(みたま)で、男の子は禍津日神(まがつひのかみ)の分け御霊だ。

 並び順が変わっている事に、若干の違和感を感じる。


 今朝、(うわ)ついた心を(しば)る術を解いてもらった後、逃げるように起きた事を思い出す。

 私は、何となく後ろめたさを感じつつ、


「本日も、(よろ)しくお願いします。」


挨拶(あいさつ)をしたが、稲荷神の分け御霊は、


「うむ。」


と気にしていない様子。ほっと、胸を()()ろす。

 私は、


「では、お願いします。」


と術を掛けるように依頼したが、稲荷神の分け御霊は、


「今は、問題ないようじゃ。

 そのままで良いぞ。」


勘弁(かんべん)してくれた。

 私は、


「分かりました。

 ありがとうございます。」


と軽く頭を下げた。

 白狐が、


<<湯たんぽ。>>


と一言。ドキドキするが、徐々に耐性がついてきたようだ。

 私は白狐にからかわないように言おう思ったのだが、先に稲荷神の分け御霊から、


「白狐。」


とお(しか)りを受けていた。

 白狐は、


<<人は、何度も思い出す事で徐々に慣れていくものです。>>


と反論。からかっていたのではなく、私の事を思っての行動だったらしい。

 だが、稲荷神の分け御霊は、


「四半分は、そうであろうな。」


と苦言。すると白狐は、


<<申し訳ありません。>>


と謝った。(ほとん)ど、からかいたかっただけだったようだ。

 稲荷神の分け御霊は、


「うむ。」


と頷いた。

 白狐が上を見て、


<<そろそろ、着くようじゃな。>>


と話を変える。私は、


「氷川様ですか?」


と確認すると、白狐は、


<<そうじゃ。>>


と肯定。私は、


「分かりました。

 では、そろそろお(いとま)します。」


と挨拶をすると、稲荷神の分け御霊から、


「今年は、亀作りで手一杯じゃろう。

 じゃが、来年はそうはならぬ。

 氷川とかいう者の動き、しっかり見て覚えるのじゃぞ。」


と助言をくれた。私は、


「分かりました。」


と答えたものの、1年も覚えていられないだろうなと思いつつ、目を開けたのだった。


 本日所要にて短めです。(--;)

 今回もネタを仕込みそこねたので、それ以外で一つ。


 前回の後書きで「天文方」というのが出てきましたが、こちらは江戸幕府が設置した天体観測と(こよみ)の作成を行う機関となります。

 (こよみ)については、江戸時代以前は朝廷の陰陽寮(おんようりょう)宣明暦(せんみょうれき)という中国から輸入した暦を運用していました。しかし、色々と不具合があるということで、貞享暦(じょきょうれき)が作られ、この時に天文方も作られたのだそうです。その後、朝廷が暦の主導権を取り戻し宝暦暦(ほうりゃくれき)に移行、宝暦暦は精度が悪いということでまた幕府が主導権を取り戻し、西洋の暦の考え方も取り入れて寛政暦(かんせいれき)天保暦(てんぽうれき)(所謂(いわゆる)旧暦)へと進化させていきました。

 ちなみに天保暦は、例えば2033年に月が決まらないという問題を抱えているものの、実は現在使われている太陽暦よりも誤差が小さいという最強(?)の暦なのだそうです。


 余談ですが、天文方の流れを受けてか、国立天文台にも「暦計算室」というものがあり、ここで暦の算定ならびに提案を行っているのだそうです。


・天文方

 https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E5%A4%A9%E6%96%87%E6%96%B9&oldid=98621068

・陰陽寮

 https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E9%99%B0%E9%99%BD%E5%AF%AE&oldid=100332208

・宣明暦

 https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E5%AE%A3%E6%98%8E%E6%9A%A6&oldid=97911926

・貞享暦

 https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E8%B2%9E%E4%BA%AB%E6%9A%A6&oldid=99985088

・寛政暦

 https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E5%AF%9B%E6%94%BF%E6%9A%A6&oldid=101932700

・宝暦暦

 https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E5%AE%9D%E6%9A%A6%E6%9A%A6&oldid=99983187

・国立天文台

 https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E5%AF%9B%E6%94%BF%E6%9A%A6&oldid=101932700


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