↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/99

1章.11 拡がる世界

はじめてのおつかい(16)

里の入り口にまだ薄暗いにも関わらず見送りに集まってくれた。


里長、母さん、ルシウスさん一家が並ぶ。


狩りの時と違い、みんなの顔が固い。当たり前だ。


これから俺と父さんは、エルフの里を守る為に斥候の任務に向かう。

混乱を防ぐ為に、俺達の家族と一部の関係者以外にはまだ野盗の件は伏せられてる。


それだけ危険な任務という事だ。

ただ、俺は人間の街に行けるかも?という不純な動機もあるので、こんな神妙な顔で見送られるのは罪悪感が凄い。


複雑な気持ちでいると、母さんが最初に俺達の元に来た。ルルは既に涙でぐしゃぐしゃになっている。


「モウラ、ウルド…どうか、無事で…。」


「ウルド兄!嫌!外に行くなんて危ないわ!」


母さんは送り出しに慣れているのだろう。

優しく俺達を抱きしめてくれる。


ルルは泣きながら俺の足にしがみ付き、行かせまいと必死だ。

詳細は伝えていないが、ルシウスさん達の表情を見て何かを察したのだろう。


「ルル。俺は里のみんなを、ルルを守りたい。傷付く姿を見たくないんだ。それに父さんも一緒だからいつもの狩りと変わらないさ。安心して里で待っててくれ。」


諭す様に話すとルルはわかってくれたのか、スッと離れてルーセリアさんの元で再び泣いている。


ルシウスさんが俺達に話し出す。

ルルを宥めながらルーセリアさんも一緒に。


「モウラ、リーリエを悲しませる様な事ないようにな。ウルド、お前が死ぬとルルとルーセリアが悲しむ。死んでも帰ってこい。」

「モウラさん、リーリエは私に任せて。どうかご無事で。ウルド君、ルルを宥めるの大変なのよ?ルルが森を飛び出す前に帰ってきてね。」


二人の言葉に俺達は、ありがとう。と伝え、里長に顔を向ける。


里長は後ろで腕を組み、言葉にはせず一度だけ頷いた。


俺達は頷き返し、森の外へ続く道に向かって歩き出した。


前世とは違う。


俺を受け入れてくれた、みんなを守る。


しかしルルなら本当に森を飛び出しかねないな。

なるべく早く帰って来なくちゃ。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




里からエルフしか知らない道を進み森の中を進んでいくと、16年間一度も出た事のない森の外に出た。


ここは街道らしく、この道を進むと人間の街があるらしい。


俺は魔力探知の範囲を最大まで広げた。

もし街道から外れた所で複数の反応があれば、それは魔物か野盗の集団である。たぶん。


父さんと街道を進むと、魔力探知に複数の反応がある。しかも、相当数が多い。


まだ魔物の可能性もあるけど、どちらにしろ危険な事には変わりない。


しかも位置的に里にも人間の街にも適度な距離だ。


俺は父さんに伝え、隠密スキルを最大で使いながら二人で獣道を進む。


「ウルド、そろそろだ。野盗や魔物はいなかった、ていうのが理想なんだが。」


父さんも数からして危険と判断したのだろう。

そんな言葉を漏らした。


「父さん、その理想叶わないみたいだ。この先の洞窟に魔力反応を感知した。多分50はいる。」


さらに警戒を強めつつ、父さんに告げる。

父さんは深い溜息を吐き、前を見据えた。


「残念だ。もう少し近づくぞ。情報は多いほど有利になるからな。」


俺達は洞窟まで50mぐらいまで近付いた。


人間だ。武装をしてるけど統一感がない。

それに、昼間だというのに酒の匂いがする。


野盗だ。俺と父さんは目視で確信した。


どうやら流石に見張りはいるみたいだな。


「見張りが2人、か。ウルド、洞窟内の反応はどうだ?」


「やっぱり50人以上いるね。結構広い洞窟みたいだ。父さん、どうする?」


父さんに確認する。流石に2人で50人は無茶だから戦う選択肢はないはずだ。


「勿論撤退だ。このまま近くの人族の里に行き、冒険者ギルドに行こう。時間が惜しい、急ぐぞ。」


父さんの言葉に無言で頷き、その場を離れる。

しかし、これだけ近付いてもバレないとは…

こいつら一人一人は大した事ないな。


これなら何とかなる。


俺と父さんは無事に洞窟から離れて街道まで戻った。

ずっと隠密スキルを最大で使っていたので思った以上に疲れたが、陽が完全に落ちるギリギリまで街に向かって駆けた。


街までもうすぐらしいが、夜は羽橋が上がるから入れないらしいので、俺達は野営して夜明けと共に街に向かう事にした。


街道といっても全く人とすれ違う事がなくて、これから行く街の想像がつかないな。


前世で俺が住んでた田舎よりショボいんじゃないか?



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




圧巻、とはまさにこの事をいうのだろう。


「で、でかいね父さん…」


まるで城砦だ。高い壁は魔物は勿論、戦争の為もあるんだろうな。


俺が街の外観で驚いていると、父さんが笑い出した。


「ハッハッハ!ウルドは人族の里に行くのは初めてだから驚いただろ!こんな状況じゃなければゆっくり観せてやりたいんだが…」


「父さんありがとう。とっとと解決して俺は自分で観に来るとするよ。」


ちなみに本気だ。


「そうだな…。お前も、もうすぐ独り立ちってここだな。子供の成長は早い物だ。さて、この先の交渉などは俺が話す。お前は黙って見ていてくれ。」


「わかった。父さんよろしく。」


俺はエルフ以外と喋った事ないし、正直助かる。


門の近くまで着くと、武装した兵士の一人が声を掛けてきた。


「止まれ。エルフ族の方々とお見受けする。今日はどうなされた?」


意外だった。

交流が全くといってないので、敵対してないにしても邪険に扱われるぐらいは覚悟していたからだ。


父さんがいつもと違う雰囲気で対応した。


「緊急の依頼を出す為に里から降りてきた。代理だが里長の印もある。冒険者ギルドのギルドマスターに話を通してくれ。モウラが来たと言えばわかる。」


父さんが首飾りを見せる。あれが里長の証だったのか。初めて知った。


「成る程、承知致しました。おい!お前は先行して冒険者ギルドに行き、緊急の案件だと伝えてくれ!

」


「はっ!了解致しました!」


若い兵士が駆け足で去って行く。


対応が慣れているので、隊長さんかな?

若いのかおっさんなのか分からないな。


「では、冒険者ギルドまでご案内します。」


そう言うと、無精髭の兵士は俺達を連れて歩き出した。

 

暫く人通りが多い道を進んでいると兵士が何かを思い出したように振り返る。


「ああ、そうだ。こんな時に言う事ではないですが、ようこそ。辺境の城砦都市、ザガルタへ。」

下書きの手直ししてたら爆睡してました…

3話ぐらい公開するはずががが。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。