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魔法でよくね?  作者: 富士見の娘
洗脳警察24時編
46/54

警官の呼び出し

-第46説 警官の呼び出し-


午前7時、すっかり雪の無くなった通学路を、選也は携帯をいじりながら、上機嫌に歩いていた。


「ああ、最高だ! 」


悠斗がくれた魔道書には派手ではないが、役に立つ魔法ばかり書かれている。水の浄化、植物の成長、雨避け、傷の治療、書籍の簡易コピー…………。


勿論、今回の目的に利用できそうな、《知識譲渡の魔法》なんてのもある。


これでもう秀真の追試の心配も、雨の日の傘忘れの心配もない。


選也は些か興奮していた。


しかし、あまり調子に乗ると録なことにならないのは何処の世界も同じ、選也は携帯に熱中するあまり、人とぶつかり、その拍子に、携帯を落としてしまう。


コンクリートと金属がぶつかる乾いた音、選也は慌てて尻餅をついた相手に謝罪した。


「ごめん、大丈夫? 」


今心配すべきは、携帯よりも、自分の不注意で転ばせてしまった、彼女のほうである。


ぶつかった相手は、茶髪ショートの快活そうな女の子で、見慣れない制服を着ている、知らない子だ。


彼女は不機嫌そうに口をへの字に曲げると、大きな声で選也を怒鳴る。


「大丈夫なわけないでしょ! どこ見て歩いてんの! 」


彼女の指摘に、選也は返す言葉もない。

だから、言い訳はせずに、今度は頭を下げて謝った。


「本当にごめん。」


すると、彼女の方も不要に続けることはせず、


「こっちこそ言い過ぎた、ごめん。」


と意外にも大人の対応。

どうやらこれで話は済んだらしい。

選也は歩き出した彼女にもう一度頭を下げてから、携帯を拾って、自分の学校へと足を向けた。


※


ホームルーム、一限、二限………。


夏休み前の授業は淡々と過ぎる。

やることは殆んど無いし、生徒も教師も暇なのだろう。


昼休みは直ぐに来た。


「秀真、明日は俺の家にこいよ。」


選也が授業から寝ていたであろう、怠け者を揺り起こすと、彼は選也に少し嫌そうな目を向ける。


「また、勉強の話かよ。嫌だって言ってるだろ。俺には俺のやり方があるんだから放っておいてくれ。」


相変わらずの態度、選也はため息をついた。


「いや、放っておいたら絶対赤点だよ。勉強する気ないじゃん。」


「まぁ、そうだけどさ。」


もう何度目か分からない、いつものやり取り。勿論、行き着く先も同じで、結局、なんだかんだゴネた後、秀真は折れてくれる。


「大丈夫さ、今度は魔法がある。」


選也は落ち込む秀真を笑って、昼を食べに行こうと誘った。


しかし、それは叶わない。

直後に鳴り響いたのは、休み時間を終わりを告げる鐘。


「え? 」


選也は混乱した。

まだ時間は昼休み中、鐘が鳴るなんておかしい。


「これって、チャイムの故障? 」


選也は秀真に聞いた。

すると秀真は、きょとんとした顔で選也の目を見返すと、意外な答えを言う。


「え、なんで? いつも通りじゃん。」


いや、秀真だけではない。

誰一人疑問をもたず、着席し始めているではないか。


「俺が………おかしいのかな。」


廊下に出て、他のクラスを覗き込んだがそちらも同じ、皆、当たり前のように席についている。


どうみても、異常なのは自分の方だと思わざるを得ない状況。まだ納得がいかないながらも、選也は諦めて、教室に戻ることにした。


しかし、とりあえず教室に戻ろうとした時、教師に呼び止められる。


「狭間くん、ちょっときてくれ。」


選也は教師の言葉に冷や汗を流した。

怒られるかもしれないと思ったからだ。


「すみません、直ぐに教室に戻りますから、罰則は勘弁して下さい。」


教師は選也の言葉を聞くと、大きく首を振る。


「いや、別に私は君を注意しにきたんじゃないよ。会いたいと言っている人がいるから、職員入り口まで行って欲しいんだ。」


その目に嘘は感じない。

選也は不思議に思いながらも、教師に逆らうのは良くないと、彼の後をついていった。


まさか、そこで待っていた警官姿の男に、こんなことを言われるとは思わずに。


「狭間選也、署まで来て貰おうか。」



つづく。

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