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彼氏が猫と入れ替わったようです‥偽装恋人の時よりカワイイのですが?  作者: ノーネアユミ


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2/2

2 順調すぎて


 私は、混乱しているらしいザイオンに質問の意図を伝える。


「これからつき合うにあたって、私が惹(ひ)かれたポイントは押さえておきたいじゃないですか」


(この人のここが好きって、言えるようにしなくちゃね)



 私にしては至極当然な疑問だったが、令息は顔を手で覆っていた。


「そこからか‥まあしょうがない‥」




 彼の長所は猫好きで猫を飼っていることだった。


 現在我が家では飼っていないので、つき合ったら猫を可愛がれると言うのは大きなメリットだ。



 それに初めは分からなかったが、彼は話しやすい。


 まあ2人とも勉強バカだったし。


 魔術への興味が半端なかったので話題に欠くことがない。

 仲はどんどん深まる。


 ザイオンは普段の1人称は『私』だけど興奮すると『僕』に変わるとか、やりたい研究のためには多少無茶もするとか、少しずつ彼のことが分かってきた。


 危惧していた女生徒のやっかみはあったが、私の友人は妬(ねた)まないタイプばかりだったのが助かった。


 私が恋人の件でつるし上げされても、友人の誰かはついて来てくれたし。


「彼氏が金持ちのイケメンだと苦労するんだね」


「彼氏じゃないって」


 友人を騙すのは心苦しいから、ただの友人とごまかす。



(期間が過ぎたら、ちゃんと説明しよう)


 実際、やっていることは友達と変わらない。


 一緒に勉強しながら猫の話をしたり、買い物に同行して猫グッズを買ったり、家に遊びに行って猫をモフりまくったりと、色気なしの交流だから。




 1年間、それなりに充実した生活を送った。


 最初は小さな子猫だった彼のベンジャミンが、すっかり大人の猫になるくらい。



「シャーロッタを選んだのは正解だったな。卒業しても友人でいてくれないか?」


 本物の恋人への進展は一切なかったが、親友の1人と言えるだろう。




 問題は‥親同士が盛り上がってしまったことだ。


 婚約の話が進んでしまうほど。



「父から、君との婚約を認められてしまった」


 ある日、暗い顔のザイオンから告げられた。


「ええ、どうしましょう?」



 貧乏男爵家の娘なら、絶対に伯爵家の嫁として認められないって確信していたのに。



「く、学生時代は自由にさせて欲しいだけだったのだが」


「まさかあなたのご両親とまで仲良くなるとは思わなかったのよ」



 私もザイオンも慌てふためく。



「ああ、別に君が嫌なわけではないぞ」


 急いでフォローする彼だが、気持ちは分かっている。


「結婚したい方の好きじゃ、ないんですよね」


「そうなんだよ! どうしよう‥」




 だから、2人とも必死に婚約しなくてもよい理由を探していた。


(ザイオンのことは大好きだけど、そっちの好きで見たことはなかったのに!)




 2人とも婚約の予定を解消する方法を探していた。



 それから2週間後くらいのことだ。

 私が魔術学院から帰宅するとすぐ、父に呼び出された。


 普段の父は会計士として働いているから帰りも遅いのに。


 今日は所属事務所からの帰宅が早い。


(まさか婚約が正式に決まったとかじゃないわよね)



 手汗をかきながら書斎に向かうと。思ったより父は深刻な顔をしている。



「今日はネコット伯から連絡が来た。‥お前の婚約を見直すかもしれない」


 父から告げられたのは真逆の内容だった。

 突然のことだが、私はハッとする。これはザイオンに何かあったのだ。


「なぜでしょうか」


 私は父の言葉に備える。いつでも辛そうな表情を作れるように。



(やっと分かれる理由を作れたのかしら)



 どうにか無難に別れられそうで安心したけど、親まで騙していたことはバレたくない。



「あ、お前に瑕疵(かし)はないからな。安心しろ」


 父はあわてているが、私は悲しい顔を作るので精一杯。


「それなら先方に何かございましたのね」



 浮気でも画策した? それとも下手に遊びまくった? まさか借金?


 しかし、父の口から告げられたのは、予想外の理由だった。


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