第三十七話 グイグイとクール
「つむぎさん、好きです!」
「ふ、ふーん……」
「ボクのこと、どう思ってます?」
「そんなの、ハルキちゃんに関係なくない?」
「はぁ……」
目に見えてヘコむハルキちゃん。
こうなった経緯は、今朝にまで遡る。
◆◇◆◇◆
「おはようございます!」
「うん、おはよう。ハルキちゃん」
「つむぎさん! 久しぶりに、なんかしませんか?」
「……というと?」
「ボクたちは両思いになりました」
「うん」
「お互いに想い合う関係にもなりました」
「そうだね」
「なので、前のように『あえて』変わったことをしませんか?」
「いいね! 例えば?」
「そうですね……どんなのでしょう?」
「私に聞かれても……」
なんかいいアイデアがないかな?
うーん……
「そうだ! いいのがあるよ?」
「はい?」
「それはね、『かまってちゃんとクールに受け流す系』的なやつ!」
「おおっ! グイグイ系とクール系ですね!」
「そうそう。よく漫画とかであるよね!」
「好きです!」
「私も好き!」
「……なんか、朝っぱらから告白したみたいになりましたね……」
「だね……いや、私はハルキちゃんのことが好きだから、間違ってはいないけど」
「では、まずは不良三兄弟に試してみましょう!」
「反応を見るんだね? じゃあ、私から話すね!」
「はい!」
こうして、私たちは不良さんたちのもとへと向かう。
「「「おはようございます!!」」」
「よう、不良三兄弟」
「おはよう、不良さんたち」
「では、お願いします」
「うん!」
そして、ハルキちゃんに話しかける。
「ハルキちゃん、今日も可愛いね!」
「そうですか?」
「うん! あっ! でも、カッコいい部分もあるから、安心してね?」
「はぁ……」
「それでね、それで……」
「どうかしましたか?」
「ハルキちゃんに冷たくされるの、結構傷つくなぁ……って」
「すみません! やり過ぎました!」
ハルキちゃんが謝っていると、不良さんたちがツッコミを入れる。
「あの、なんスかこれ?」
「いつもはイチャついてんのに」
「またそういうプレ……シチュエーションを楽しむ的な感じスか?」
「そう! そうなんだけど、ハルキちゃんが冷たいのは見たことないから……」
「いやいや……」
「春木は教室だと、いつもこんな感じっスよ?」
「姐さんは見たことないっスもんね」
「へぇー、そうなんだ。可愛いね!」
「いえ、つむぎさんほどでは……」
「「「結局イチャついてるし……」」」
「じゃあ、本番はお昼休みね!」
「はい! では、またあとで!」
◆◇◆◇◆
というのが、ことの真相だ。
「でも、そういうところも好きです!」
「うん、ありがとう」
「でも、ボクのことなんて、なんとも思ってませんよね……」
「そ、そんなこと言ってないし」
「では、手を繋いでいいですか?」
「か、勝手にすれば?」
「では……」
そう言って、手を繋ぐハルキちゃん。
「どうだったかな?」
「うーん、結構ダメージを喰らいますね」
「だよね!?」
「でもボクは、つむぎさんを信じてるので!」
「そっか。ありがとう!」
「じゃあ、もう一度やってみましょう」
「うん! じゃあ次はハルキちゃんがクール系をやって? 結構上手いから」
「はい!」
こうして、再度クール系を担当してもらう。
「ハルキちゃんハルキちゃん!」
「なんですか?」
「す、好きだよ?」
「……ボクも好きです!」
「こら、それじゃあ普通の関係になっちゃうでしょ」
「すみません。素の自分になっていました」
「じゃあ、もう一度やるね?」
「はい!」
こうして、もう一度試してみる。
「ハルキちゃん、好きだよ?」
「そうですか」
「ハルキちゃんはどう思う?」
「嫌いではない……とだけ」
「そっか。嫌われてはいないんだね?」
「勝手にそう思っててください」
「うん! それでね、抱きついてもいいかな?」
「ダメです」
「えっ……?」
「そういうのは、二人きりのときじゃないと」
「そうだね。もっとイチャイチャしたいもんね」
「べつに? ボクはどっちでもいいです」
「じゃあ、今日はやめとく?」
「そんなこと言ってませんけど?」
「そうだね! じゃあ、放課後ね!」
「はい……」
「で、放課後はなにしよっか?」
「……べつに、好きなことをすればいいのでは?」
「そうだね! じゃあ、ハルキちゃんの好きなことにする!」
「勝手にどうぞ」
「うん! 勝手にする!」
こうして、一旦終わる。
「……ふぅ、ハルキちゃん上手いね!」
「はい。いつもやっているので」
「でも、私以外にはやらないでね?」
「当たり前です! ボクはつむぎさん以外、眼中にないですから!」
「そっか。で、どうだった?」
「もどかしいですね。ボクには合いません」
「私は可愛くって割と好きだったよ?」
「いえ! それでも、傷つける関係性を持ちたくはないので!」
「それもそうだね」
「それで、ハグはいつするんですか?」
「えっ? ああ、あとでね?」
「はい!!」
大声を出すハルキちゃんをよそに、不良さんたちに声をかける。
「不良さんたち、どうだったかな?」
「ただのプレイ……スかね」
「イチャイチャするためのシチュエーションって感じっスね」
「まあ、平和な感じでよかったんじゃないスか?」
「そう? よかった!」
「つむぎさん、これからも一緒ですよ?」
「うん!」
「「「結局普段どおりイチャつくんだな……」」」
こうして、久しぶりにシチュエーションを変えてみた。
けど、素直じゃないハルキちゃんも正直悪くなかった。
なんて思ってしまうのは、私がハルキちゃんのことを好きだからだろうか。
そう思いつつ、今日もハルキちゃんとイチャイチャする私だった。




