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外れスキル翻訳でチートに  作者: 幻影十夢
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今すぐに

突如現れた2人の魔王の登場に驚きながらもどうにか協力関係を結ぶことができた俺は心の底から安堵する。

「あ、危なかった………………」

一触即発。下手していたらここが戦場になっていた可能性もあった。そうなれば俺達はともかく他の皆に被害が出ているところだった。

アリアの仕事の手伝いで交渉の術を学んでいてよかったと本気で思った。

脱力する俺………………周りを見渡せばイサベルもセシルも先ほどの重圧から解放されて一息ついている。

「あれが………………魔王………………」

「こ、怖かった……………」

終始無言だった2人だけどその実は魔王の重圧に当てられて言葉を発することができなかったみたいだな。

無理もない。俺だって緊張したし、あの重圧には驚いた。

正直、レベル差がなかったら俺も2人同様に言葉すら発することが出来なかった自信がある。

「何があったの!?」

そんな俺達にアリア達が装備を身に付けて中庭まで駆け付けて来てくれた。

「ああ、アリア…………………実は」

異常に気付いて駆けつけて来てくれたアリアに俺は先程の事を話した。




「なるほどね…………………結晶の魔王と冥府の魔王が」

落ち着いて話をする為に中庭から居間に移動した俺達は中庭に魔王がやってきてその目的について説明するとアリアは深刻な顔で顎に手を当てる。

「ああ、あの2人の魔王は戦争を望んでいない。いや、自分達に矛を向けられるのを嫌がってる。だから戦争回避できるのならそれに協力してくれるのだけど、アリアはどう思う?」

俺はアリアの意見も聞こうと尋ねると。

「難しいが本音ね」

アリアはそう答えた。

「でもリブロ、貴方の判断は正しいわ。もしあの場にいたのが私でも同じことを言っていたはずよ。問題を起こした簒奪の魔王と烙印の魔王の領地を他種族の説得の材料にするのもいい考えだわ。それに万が一に戦争になったとしても六大魔王全てを相手にする必要性がなくなったのも大きいわ。これなら戦力を集中させることができるもの」

アリアの言葉に俺は自分が間違った判断をしていなかったことに安堵する。

少なくともあの2人の魔王は戦争には否定的だった。後は混沌と愛欲の魔王はわからないが、なにもしてこないということは中立の立ち位置を取っているかもしれない。

「それでも難しいわね」

「あの、何が難しいのですか?」

アリアの言葉にセシルは首を傾げながら尋ねた。

「魔王を倒すこともそうだけど、まず説得の材料がその魔王の領地であることなのよ。つまり魔王を倒さないとその領地は手に入らないのよ」

「あ…………」

「けどさっきも言ったようにリブロの判断は間違っていないわ。どの国も領地は欲しがるはずだから説得の材料としてはこれ以上にないものよ。だからこそ武勲をあげようと躍起になる種族もいるわ」

アリアの言葉に俺も頷く。

どの種族も領地を欲している。領地欲しさに他種族と足並み揃えずに独断専行する種族も出る可能性がある。得られる領地は2つ。それを手に入れることが出来る種族は二種族。

だからこそ武勲をあげてその領地を獲得する権利を得ようとする奴だっている。

この場合、一番の武勲は……………………。

「魔王、討伐だな…………」

それが仮に戦争になった時の一番の武勲になるだろう。

「リブロの言う通り、魔王討伐が一番の武勲になるわね。だからこそどの種族もこう考えるわ。なら自分達が魔王を倒す、と。セシル、実際に魔王に会った貴女に聞くわ。貴女なら1人で魔王を倒せるかしら?」

「………………………たぶん、無理です。師匠かイサベルさんが一緒なら話は変わると思いますが」

顔を少し俯かせながらも正直に1人では勝てないと告げるセシルにアリアも同意するように頷く。

「そうでしょうね。だからこそ私達は手を取り合う必要がある。欲に目を晦ませている場合ではないわ。相手が魔王なら尚更ね」

アリアの言葉に俺もイサベルもセシルも頷く。

協力しなければ魔王は倒せれない。けどアリアの言う通り、欲に目を晦ませる輩は必ず出てくる。そうなればさらなる被害者が出てくる可能性だって生まれる。

すると、俺はここでふと気づいた。

「そういえばアリア、リスティアはどうした?」

この場に1人、リスティアがいないことに気づいた俺はアリアに尋ねる。

そういえば中庭にも顔を出さなかったな……………………。

するとアリアは呆れるような溜息を溢す。

「あれほどの重圧がこの屋敷全体に当てられていたのよ? レベルが低い人や戦闘経験のない人は魔王の姿を見ていなくても意識を失うわよ。私だって一瞬とはいえ意識がとんだほどよ?」

な、なるほど……………………つまりは気絶中というわけね。道理で屋敷が妙に静かで……………………あれ、そういえばリヴァイはどうした?

「リヴァイなら食材の下処理をさせているわ。介護なんてできるとは思わないもの」

「確かに」

働かせていたのか、それなら納得だ。

そもそもあいつの場合は強い者には弱いから大人しくしていた可能性もあったな。

まぁ、リヴァイのことは別に置いておいて………………。

「大変なことになってきたな………………」

戦争のことやその為の会合のこと。予想だにしなかったことが起きて大変の一言に尽きる。

異世界に転生して特典が‶翻訳〟だからスローライフをしようと思っていたら奴隷にされて、奴隷から解放されて金を稼ぐために冒険者になったら公爵令嬢のアリアの婚約者(フィアンセ)になって、色々な事件を解決していったら今度は魔族との戦争について他種族が集まる会合に参加することになった。

二度目の人生はなんともまぁ、大変の一言だ。俺、一応まだ13歳なのに………………。

「もはや、悠長に事を構えている暇はないわね……………………」

深刻な顔でぼそりと言葉を漏らすアリアは俺達に視線を向けると。

「セシル、イサベルそしてリブロ。今すぐに吸血鬼族の国に向かいなさい」

驚くことを言った。

「いや、だけどそれは……………………」

「問題を抱えたまま貴方は魔王と戦えるの?」

「!?」

「正直に言えばね、魔王を倒せる可能性があるのは貴方達だけだと思っているの。それにリスティア様の件について本当は今すぐにでも動いてどうにかしてあげたいのでしょ? だけど私やこの国の為に貴方はここに残る方を選んだ。違う?」

…………………間違っていない。

吸血鬼族の国を救ってもその間にこの国が滅ぼされたらと思うと俺は動きたくても動けない。

でも…………………。

「距離はどうする? それに会合のことだって……………………」

俺が吸血鬼族の国に行けないのは単純に距離があるからだ。だけどアリアは。

「ここにやってきた魔王はその場で消えたのよね? なら恐らくは転移系の魔法かスキルを持っているはずよ。協力関係であるのならその力を貴方達の為に貸してくれるはずよ」

…………………確かに、冥府の魔王マトハルは転移魔法のスキルレベルが8だった。ならその魔法を使えば吸血鬼族の国の近くまで転移させてくれるかもしれない。

「会合の件もまだ問題はないわ。まだ会合場所も決まってはいないし、集まるにしてもまだ時間がかかる。だからその間に吸血鬼族の国を救って肩の荷を下ろしてきなさい。大丈夫、この国は私がどうにかするわ。一応、リヴァイもいるから最悪の事態は回避できる、いえ、してみせるわ。だから今の内にさっさと解決してきなさい」

「アリア……………………」

「私はいずれ貴方の妻になる女よ? だから私を信じて行きなさい」

改めてアリアは本当にいい女だと思った。

最初は不可抗力とはいえ、アリアの唇を奪った事に責任を感じていたけど、アリアと同じ屋敷に住み始めて少しずつ俺はアリアに惹かれていったのかもしれない。

異性を好きになるってこういうことなのかな……………………?

まぁ、でも許しは得られた。なら後はさっさと吸血鬼族の国を解決してここに帰ってくる。それだけだ。

俺はクリスタルノヴァから預かった水晶を取り出して協力を求める。

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