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外れスキル翻訳でチートに  作者: 幻影十夢
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協力関係

「私達は魔族と他種族の戦争を止めに来たの。その為に私達に協力してほしい」

突如現れた2人の魔王。

その魔王の口からは俺達が予想だにしなかった言葉が出て来て俺達は驚きを隠せずにいた。

「………………………どういう意味だ? それならどうして魔族は他種族を襲う?」

なんとか平静を装いながら疑問を投げるとクリスタルノヴァがそれに答える。

「魔族も一枚岩じゃないの。人間である貴方は知らないのも無理はないけど私達魔王はそれぞれ領地を分けてその領地を統治している。私は私で、そして彼女は彼女の領地、つまり私達にとっての国を治めているのよ」

…………………なるほど、つまり六大魔王は全員で一つの国を纏めているのではなくて領地を分断させてそれを自分達の国に見立てて収めているのか。

しかしそれが他種族を襲う理由にはならない。

「それぞれの魔王によって経済も政治も納税も何もかも違う。けど、それでいい。私達は魔族、自分のやり方でないと気が済まない種族だからそれに不満はない。本当に気に喰わないのなら強さを示せばいいだけだし」

実力主義。それが魔族の矜持のようなものか……………………。

「だけどリスティヴィオとスティグマ。2人の魔王が他種族を襲い始めたの。その理由まではわからないけどリスティヴィオは他種族の侵略を、スティグマは他種族の支配を企んでいる」

リスティヴィオとスティグマ。簒奪の魔王と烙印の魔王が……………………。

「本来であれば私達は無関係と言いたいけど、他種族にとってはそんなことどうでもいいこと。魔族だからという理由でこっちにまで矛を向けられるのは避けたい。だから私達は戦争を止めたい」

自分の為それと自分達が治めている国の為に戦争だけは回避したい。

それならこの2人が戦争を止めようとする理由については納得できるけど……………………。

「どうしてそれを俺達に言う? 俺達に協力を頼まなくても同じ魔王なら魔族内で解決できるだろう?」

それを俺達に頼む意味がわからない。

「それができたら私達もここまで来ない。私達魔王はそれぞれの協定を結び、互いに手を出すことはできない条約を結んでいるの。手を取り合うことはできても出すことはできない。だから私達には協力してくれる他種族に頼む以外に手はない」

「………………………それが俺達か?」

「ええ、リスティヴィオがエルフを侵略しようとした際に偶然にも私は貴方達を知った。《クリスタルビジョン》」

その魔法名と共に突如空中にクリスタルが出現してそこに映像が流れる。そこには俺達が3万のモンスターに圧倒している光景が映し出されていた。

「どうして陸にいるリヴァイアサンを除いてここにいる3人、特に貴方の実力を見込んで頼んでいるの。そちらも戦争は回避したいでしょ? なら互いに利害は一致している。私達に協力して」

一方的な物言いではあるもののこの魔王達も戦争は回避したいのはわかった。その為にどうして俺達に協力を求めたのかも理解できた。

―――――だが

「協力と言ったけど具体的にはどう協力すればいい? その魔王を倒せばいいのか? それとも戦争が起きない様に他の他種族を説得すればいいのか?」

協力するにあたっての方法が分からない以上は迂闊には首は縦には振れない。

「そしてもう1つ。俺達がお前達に協力するとしてお前達は俺達になにができる?」

「どういう意味?」

「ただお前達に利用されるだけはゴメンってことだ」

「………………貴方は戦争がしたいの? 少なくとも私達と同じで戦争は避けると思っていたけど?」

「いや、俺も戦争はゴメンだ。だけどこちらにメリットがない。それに他種族を説得できる材料もない。既に魔族によって被害がでている種族もいる。同盟が結ばれればこちらは魔族に攻め入る大義名分が得られる。そうなれば戦争は始まる」

「………………………」

無言になる結晶の魔王。その顔は気に入らないと顔に出ているも理屈は通っているから黙って俺の話に耳を傾けている。

「ついでに言えば俺はただの冒険者だ。身分も地位も持っていない一介の冒険者の言葉に他種族どころか同族だろうと信じてくれるとは限らない」

「なら貴方の種族の王に直接交渉するわ」

「できるのか? 少なくとも魔族、それも魔王の言葉に耳を傾けるとは思えない。最悪、その時点でお前の国も狙われる理由になるんじゃないのか?」

「それは…………………」

言葉を綴ろうとするもそこから先の言葉は出てこない。

大なり小なり、そう思っている自分がいるのだろう。

「俺は身分も地位も持っていない一介の冒険者だけど、他種族との信用は持っている。エルフ、魚人族、後はそこにいる竜人族とも交渉次第では戦争回避に協力してくれるかもしれない。そしてなにより、俺は同盟を結ぶ為の会合に参加する資格を持っている」

「…………………それは本当?」

「ここでこんな嘘をつく理由があるか?」

「いえ、ないわ………………」

「だけど何度も言うが俺は一介の冒険者だ。その会合にお前達が戦争を回避したいと言っても既に被害が出ている種族や国が戦争回避だけで納得できるとも思わない。少なくとも戦争回避してもいいだけの材料が必要だ」

ただ言葉を尽くしたところでそれで戦争回避に納得できるとは思わない。既に被害が出ている種族や国なら尚更同盟を結んで魔族を滅ぼそうとするだろう。

「……………………その材料を私達が払えと? ただ魔族というだけで他の魔王の尻拭いなんて嫌よ」

「他の魔王の尻拭いをしろとまでは言わない。要はお前達は自分達の国には手を出して欲しくないだけだろ? 他の魔王や領地とかではなくて」

「ええ」

「なら他種族の説得の材料は問題を起こした2人の魔王の領地でどうだ? 魔族の領地が2つも手に入るのなら納得できるとまで言わないが、首を縦に振らせる交渉材料になると思うが?」

「…………………リスティヴィオとスティグマはどうするつもり?」

「それは会合に参加する他種族次第だ。俺個人でどうこうできる問題じゃない」

とはいえ、相手は魔王だ。その魔王の相手が務まるのが恐らくは俺ぐらいなものだろう。

「戦争を回避したいその気持ちは俺達も同じだ。だから協力するがお前達も俺達に協力してもらう」

「………………………ええ、わかった。癪だけどその方が面倒事は少なくてすみそう」

渋々といった感じで同意するクリスタルノヴァは水晶を取り出して俺に投げ渡す。

「通信用の水晶よ。そこに魔力を込めれば私に繋がるから必要なことはそれを通して伝えて」

そう告げるとクリスタルノヴァとマトハルに視線を向けるとマトハルは頷くと、2人の魔王の足元に黒い闇が出現して広がっていく。それは2人を捉えるとずぶずぶと沈ませていく。

「貴方、名前は?」

闇に沈んでいくなかでクリスタルノヴァが俺の名前を訊いてきた。

「リブロだ。リブロ・リーベラ」

「そう、リブロね。その名前覚えておくから」

そう言い残して2人の魔王は闇のなかへ消えていった。

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