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外れスキル翻訳でチートに  作者: 幻影十夢
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変異種

リスティアの使役魔法の練習を実験を兼ねてリスティアに懐いてきたスライムを使役することに成功したその日の夜に衝撃的な展開が待ち受けていた。

それはスライムが俺の部屋に置いてあるアダマンタイトを食べてその身体をアダマンタイトのように硬くした。それは別に驚くことではない。

前の世界のファンタジーモノの小説や漫画でもスライムは食べた物によって身体を変化するぐらいの設定はあったし、その設定がこの世界にあっても不思議ではない。

驚いたのはそこから更にスライムはリスティアが使っている拳銃の姿へと擬態してあまつさえ銃弾を発射させた。

それはこのスライムが銃の特性や仕組みを理解しているからできた芸当だ。つまり、このスライムは他のスライムとは違って知性があるということ。

食したものに肉体構造を変化させるのはスライムの特性だ。だけど、そこから擬態することができるなんて普通のスライムではまずできない。

そこで俺は翻訳スキルでスライムに会話を試みて、実験をした結果、ある事実が証明された。

「このスライムは変異種だ」

俺の部屋に集まって貰ったアリア、セシル、イサベル、リスティアの全員にその事実を告げると真っ先に疑問を口にしたのはアリアだ。

「スライムに変異種なんているの?」

それはある意味当然の疑問。スライムはスライムだ。それ以上でもそれ以下でもない。だが。

「ああ。正確には変異種になったが正しい」

「変異種になった、ですか? 師匠」

セシルの言葉に頷く。

「これは俺の推測でしかないけど、恐らく変異種になったきっかけはリスティアの使役魔法が影響していると思う」

「わ、私ですか? ですがどうして…………………?」

「本来スライムは生まれて1番最初に食べたものに肉体構造を変化させる特性を持ち、食べたものを捕食するモンスターだ。毒を食べたスライムがポイズンスライムになるように」

「それならアダマンタイトを1番に食べたってことはアダマンタイトスライムになったの? でもそれなら擬態能力はどうやって?」

イサベルの言葉に俺はリスティアに視線を送る。

「このスライムが1番最初に食べたのはリスティアの魔力だ」

「どういうことなの?」

誰もが首を傾げる中で俺は説明する。

「どんな魔法にも魔力が込められている。リスティアの使役魔法。あれも使役する対象に魔力を送ることで対象モンスターの魂に魔力で形成された鎖で拘束する。それによってモンスターは使役者に従う魔法だ」

「へぇ…………………」

「だけど当然、自分より弱い相手に使役されるほどモンスターも柔ではないから確実に自分より格下のモンスターでないと使役することはほぼできない筈なんだが、驚くことにこのスライムはリスティアの使役魔法の影響を受けていない。自分の意思でリスティアに従っている」

「「「「え?」」」」

俺を除くこの場にいる全員が驚きの声を上げる。

うん、その気持ちは俺もわかる。

「それならどうして……………あ、もしかして」

「そう、こいつはリスティアのことを親だと思ってる。だから言うことを聞くんだ。使役魔法を施そうとしたあの時にこのスライムはどういうことかリスティアの魔力を捕食して変化した。どうやったのか理屈はわからないけどな」

本当にこのスライムは魔力なんてどうやって食べたんだ? 

「それで変異種ってことね。それならこのスライムはマジックスライム?」

「え、それならスライムが魔法を使えるようになるんですか?」

「いえ、その前に1つ解決できていない問題があるわ。このスライムが魔力を捕食したのはわかったわ。けどそれならアダマンタイトを捕食したり、銃とやらに擬態できた理由にはなっていないわ」

「いや、アリア。イサベルのセシルの意見が正しい。このスライムは魔法が使える。名付けるのならイサベルの言葉を借りてスライム変異種、マジックスライムだ。アダマンタイトや銃を食べたのも擬態したのも全てが魔法だ」

「え………………? うそ」

驚くことに事実なんだよ。

「魔力を食べたことによってこのスライムは2つの魔法が使えるようになった。1つは食べた物を吸収して取り込む吸収魔法それと姿を変化させる擬態魔法。この2つの魔法が使える」

「まさにマジックスライムですね………………」

「ですが、師匠はどうやってスライムが魔法を使えるようになることがわかったんですか?」

「ああ、それはなセシル。叡智の精霊の力だ。この精霊の力はこの世界に存在するあらゆる情報、知識を俺に教えてくれる。そして過去に数例だけど似たようなスライムの存在も確認できた」

でもこの力、頭が痛くなるからあんまり使いたくないんだよな…………………。

「へぇ、つまりグー○ルね」

「まぁ、そんな感じだ」

「グー○ル?」

転生者である俺とイサベル以外は首を傾げるも話を続ける。

「けど魔法は魔法だ。使えば魔力を消費する。それはスライムだろうと変わらない。吸収魔法で吸収した物の特性は消えないようだけど魔力が切れれば普通のスライムと変わらない」

今ではもう先程のアダマンタイトのような身体から普通の流動性のあるスライムに戻っている。恐らく魔力切れだろう。

「それでもこのスライムに色々なものを吸収させればそれだけリスティアの力になる。リスティア自身のレベル上げも兼ねてこのスライムも鍛えていけばリスティアにとっていい戦力にもなるだろうし」

ぴょーんと跳ねながらリスティアの膝の上に止まるスライムにリスティアは可笑しそうに笑みを浮かべながらスライムを撫でる。

明日からはこのスライムもレベル上げに参加だな。

「ということでこのスライムは変異種だとわかった。リスティアに懐いている以上は害はないと思う」

「………………………そうね。モンスターが屋敷にいるのはおかしな感じだけど、害がないのならいいわ」

屋敷の持ち主からの許可も下りたことだし、これでこのスライムもこの屋敷にいられるな。

「けどスライムとはいえ一応はモンスターだからリスティア様には責任を持ってそのスライムを管理して貰いますが、よろしいですよね?」

「はい。皆様には決して危害を与えたりはしません」

スライムを責任を持って管理することになったリスティアはスライムを持ち上げて名を与える。

「スラリン。これからもよろしくお願いしますね」

王女様のネーミングセンスは…………………うん、まぁ、いいと思う。

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