ライコウモリを説得しよう
ラスクがライコウモリの親玉を捕まえているのを見たためそのままラスクの元まで近づいていると、ラスクから話しかけてきた。
「捕まえてやったから、あとの説得はお前がしろよ。」
そうラスクから言われた瞬間に疑問が生じた、今ライコウモリは小型化しているこの状態では脳が小さく、人間レベルの知能があるとは到底思えない。説得も何も会話をすることが可能なんだろうか?それに大型化する魔法を使用することができないのではないか?
「今の状態でもそのライコウモリと会話をすることができるんでしょうか?」
ラスクは少し考えてから答える。
「多分だが会話をすることはできるはずだ、生まれ持った性質として知能の高さを持つ個体だったから構造変化の魔法を使用することができたはずだからな。」
確かに考えてみればそうだな。本来であれば生得的に使用することができるのは雷の魔法だから、構造変化の魔法を普通は使用することができない、それなのに使用することができる。つまり魔法に関するある程度の理解をすることができる知能が必要だということか。
ラスクと魔法について少し話したが、これでライコウモリは自分を殺す以外の目的が俺たちにあることを察したはずだ。こいつは生存することを優先するが最後まであらがおうとするのか、こいつは生存しようとしてもあらがおうとしても死ぬだろう、だけど生存する道はある。生存する道を選べるかな。
「貴様らは何の用で我を生かしている。さっさと殺せばいいだろう。」
急にコウモリの姿のまま話し始めてびっくりした。その状態でも発音できるのか、コミュニケーションを取りやすそうで楽だな。
「俺はお前を殺したい気持ちの方が強いんだけどな、事情はあいつが全部話すから。じゃ、あとは任せたぞ。」
ラスクが俺を指さしながら言ってくる。ラスクはそりゃ殺したい気持ちの方が強いか、別にどのくらい時間がかかってもいいから船で移動してもいいんだからな。俺のために配慮してくれているのには感謝しよう。
「ラスクさん一対一で話させてください、これは私の要件です。何かあったらすぐに連絡しますし、ライコウモリも私を殺した瞬間自分が死ぬとわかっていると思いますから。」
「分かった。」
ラスクはそれだけ言ってライコウモリを捕まえていた手を離して、その場から少し離れた。ライコウモリが俺をまっすぐに見てくる。その眼には理性が宿っており、少し恐怖を抱いた。
「簡潔に用件を言おう、ライコウモリの親玉俺に服従しろ。」
「ふざけているのか、我は貴様らの種族にとって害悪な存在だぞ。」
そりゃふざけているように聞こえるか、服従するなんて口でいくらでも言える生かしておくメリットよりもデメリットの方が明らかに多いだけどそれはこの世界の住民に限った話だ。
「俺はな、別の世界から来たんだよ。この世界の奴なんてどうでもいい、服従は俺が元の世界に帰るまでの間だけだ。その間はこちら側からお前を殺さないことを約束しよう。」
さすがにライコウモリもこれには予想外だったらしく、言葉が急に止まる。
「その提案を私が飲むことは絶対にない。元の世界に帰るのは貴様だけだろう、貴様は我を殺すつもりがなく化け物は我を殺したいと思っている、貴様が帰るなら意味がないではないか。その提案を飲んだ場合我はどうせ化け物に殺されるだけだ。」
俺の思考がばれた完璧だ、本当は俺もラスクも納得できるこの案が良かったがしょうがない、こいつは生存することができる道を選ぶことができたみたいだ。こいつと俺ならあれができるはずだ。
「俺からお前に質問がある。ラスクは俺の仲間だと思うか?」
「貴様と化け物が仲間?ふざけたことを言うな、それとも私の知っている仲間とは違う意味なのか?貴様の仲間という言葉は。」
その通りだ、俺とラスクは仲間ではないラスクにはラスクの俺には俺の目的があって行動している。だけど俺とこいつには仲間になる方法が一つだけある。俺は魔法によりある文字をこいつに見せる。
ラスクを一緒に殺さないか?
「そうだ、俺とラスクは仲間ではないけど、それはまだあったばかりだからだこれから協力して異世界に戻る方法を探すうちに仲間にもなれるだろう。お前も同じだ。」
ラスクに悟られないために普通の会話と見せかけるようにしてこいつと話す。
「それに賛成だな、我が無害であると化け物も一緒に旅をすれば知ることができるだろう。」
ラスクと呼ばれている化け物を殺す算段はあるのか?
ライコウモリは地面に文字を浮かび上がらせる。秘密裏に会話をすることが簡単にできそうで安心だな。それに俺の提案に乗ってくれるということだろう。この提案はあいつにとってメリットしかない受けない手はないからな。
今はないだけどそれはラスクの詳しい能力詳細を知らないからだ。ラスクの能力さえ理解できれば必ず殺せる。
「それにお前は、俺に服従しないならどうせ死ぬだけだ。それと比べればどっちがいいかなんて考える必要はないだろう。」
ラスクは無敵に見えるが実際はそうではない、あいつも生物だ。急所がないはずがない、あいつを殺す方法を考え続けよう。
「分かった、服従してやろう。その代わり後でたくさん会話をしよう。我の無害さを伝えるためにも。」
俺の提案に乗ってくれるらしい、だけど後でいろいろとまだこの契約の詰めるべきところを詰めようということだろう。
「賢い選択だ。これからもその選択をし続けろよ。」
俺とライコウモリのラスクには秘密の契約が終了した。俺はラスクではなくこのライコウモリを選んだこの選択は正解か不正解か。さてどっちかな。




