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終わらない青春の中で  作者: 白月 海
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5話 叔父との電話

「ふぅ...」


自分の試合が終わり、最後のチームの試合が始まった。


「お、お疲れ。東仙寺君ってバスケ上手いね!」


そんな中、声をかけてきたのは結城だった。

それともう一人...


「おう!お疲れ転校生!」


「ん?えっと...」


いきなり声をかけてきた生徒の名前が分からない。

先程試合をしていて目立っていたから人物だから顔は分かるのだが...

そんな表情をしていると、ハッと思いついたように言った。


「自己紹介がまだだったな!俺は烏山 大地。大地って呼んでくれ!ついでにバスケ部な!」


元気なこの烏山は、笑顔が似合う人物だ。

その明るい表情の背後には何故かキラキラ光るものが見えた気がした。


「あ、ああ。俺は東仙寺 真琴、呼び方は何でもいい。」


「オッケー、それじゃ真琴って呼ばせてもらうな!」


背中をパンッと軽く叩き、彼はチームの元へと戻っていった。


(あれはクラスの人気者的な立ち位置なんだろうな)


今の自分とは程遠い扱いに、苦笑いするのであった。


「あ、そういえば何か言った?」


烏山の登場に影が薄くなってしまった結城はボーッと立っていた。


「え!?い、いや何でもないよ!!」


そう言うと結城はささっと走って行ってしまった。


授業が次々と終わっていき、気付けば帰りのホームルームだ。

ついでに真琴はちゃんと授業を受けていた。


(やっと終わったな...帰ったらアルバイトでも探してみるか)


叔父にあまり負担が行き過ぎないよう、真琴はバイトをする予定だった。

その為部活には入らないと決めている。

春桜高校は基本的にバイト禁止だが、許可さえあれば出来る。

叔父の方から事前に伝えており、既に許可はもらっている。

...まぁ、隠れてやっている生徒もいるかもしれないが。


家に到着し、バイトを探す。

その時携帯電話の着信音が鳴った。

液晶の名前をみてみると...


(ん、叔父さん?)


「はい、もしもし」


「おお真琴か、どうだ?初登校は」


「...初日の出来事がちょっと響いてるかな。まぁ何人かは声かけてくれたけど...」


「そうかそうか!バイトの件なんだけど、もう決まったか?」


「いや、今丁度探しているところ」


「俺の負担なんか気にしないで甘えてくれって言っても、やっぱり嫌か?」


「...嫌って訳ではないよ。だけど全部任せっきりはどうしても...」


「兄貴に似て頑固者だな!それで提案なんだが、どうだ?俺の知り合いの店で働いてみないか?」


「知り合い?」


「ああ、真琴の家からもそこそこ近い。小さな喫茶店で個人経営だからそこそこ自由に動ける筈だ」


(...知り合いの店だから安心出来るって事か。わざわざ探してくれたんだろうな...)


真琴が出した答えは一つだ。


「分かった、そこで働かせてもらうよ」


「おお、それは良かった!それで1つだけ条件なんだが...」


「条件?」


「お前は高校生だ、つまり青春のど真ん中...アルバイトでその貴重な時間を使うのは勿体ない!だから多くても週3までだ」


「....」


「お前が俺達家族に負担をかけないようにしているのは知っている、だからこそ真琴には楽しい時間を送ってもらいたいと望んでいるんだ。もちろん俺だけじゃない...妻も娘もそう思っている」


「叔父さん...」


「金の心配はすんなよ、これでも一応社長だぞ?お前の面倒をくらい、大した事はない!むしろもっと我が儘を言って欲しいくらいだ」


「...ありがとう、でも一人暮らしを許してくれただけで満足だよ」


「それも話しただろ?月に一度は必ずウチに来る事が約束だ」


「うん」


「それじゃ、知り合いには俺から話しておくから今週中に連絡がいくと思う、よろしくな」


そう言って叔父は通話を終了した。


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