11話 結城家の温かさ
「3人共、ご飯の準備が出来たわよー!」
下の階から、結城母の声が聞こえた。
ついでにこの家は2階建てだ。
「はーい」
妹が何を言いたかったのかは不明だが、また後で聞けば良いだろう。
食卓まで行くと、まずは席に案内された。
「真琴君は夏未の隣で、三波はお誕生日席ね」
なぜか結城母が下の名前で呼んでいたが真琴は気にしない。
(東仙寺って呼ぶのは少し面倒くさいからな)
普段は2:2という形で食べてるみたいだが、今日は真琴が増えたので一人がお誕生日席という感じだ。
ついでに父親も座っている。
「本日はすみません、厄介になります」
「君が真琴君だったのか、遠慮せずたくさん食べていってくれ」
結城父もとても優しそうな人だった。
「じゃじゃーん、やっぱりみんなで食べるってなったらこれでしょ!」
中央に置かれている鍋の蓋を開けると、様々な食品が綺麗に並べられている。
「私特製ちゃんこ鍋!」
「おぉ...」
普段カップ麺の為、かなり豪華な食事だ。
「野菜もたっぷり入れてあるからちゃんと食べなさいね?」
「はい」
「それじゃみんなで...いただきます!」
「いただきます」
早速野菜から取って食べていく。
口に入れた瞬間、真琴は目を見開いた。
(お、美味しい!)
そんな表情を見てか、結城母は微笑む。
「ふふふーん、どう?」
「とても美味しいです!いやー、本当こんな豪華な食事久々過ぎて...」
「カップ麺の他に何か食べたりしないの?」
「あとはコンビニ弁当とかが多いですね...自分では全く料理しないので...」
「朝やお昼は?」
「たまにパンとか買って食べたりしてます、最近は慣れてきて食べてないですけど」
「ちゃんと食べなさい、育ちざかりなんだから!」
「そ、そうだよ。東仙寺君見てると心配になるよ!」
結城母と同じ様に、結城夏未も真琴を責めた。
そんなこんなで楽しい食事の時間はあっという間にいった。
「「「ご馳走様でした」」」
「ありがとうございました、結城...さんも、その悪かったな」
「え?」
「いや、家までお邪魔して食事も頂いちゃって...」
「い、いいんだよ!それにこっちこそお母さんが強引で東仙寺君巻き込んじゃって...」
そんな会話をしていたら、結城母が話に入ってきた。
「そういえば気になったんだけど、真琴君はどうして一人暮らししているの?ご両親忙しいとか?」
その問いかけに、真琴は一度悩むも素直に答える。
両親は既にいない事、今は叔父に面倒みてもらっている事、喫茶店でバイトしているのも叔父に負担が行き過ぎない様にしている事。
真琴の中では別に隠す必要も無いし、両親が亡くなった頃に比べたら傷も癒えてきているからだ。
「.....」
ただ、真琴のその言葉には結城家族全員が神妙な表情になった。
「あ、すみません。少し暗い話題になってしまいましたね...でも、この生活にも慣れて...ええっ?」
一家全員涙を流していた。
「うっ...ごめんなさい真琴君...辛い話を...」
「...真琴君...」
「と、東仙寺くぅん...ひっく」
「...真琴さぁん...」
「え、ちょ、いや...何もそこまで...」
各々、そこから先の言葉が出てこないみたいだ。
そして結城母は意を決したように立ち上がり、真琴の肩を掴む。
「えっ?」
「真琴君!これから毎日でも我が家にきて一緒にご飯を食べましょう!」
「ええ!?そんなの悪いですって!」
結城母の提案に驚くも、断る。
しかし、中々折れてくれない。
「...っていうのはどうかしら?これでもかなり妥協しているのよ?」
さすがに毎日は真琴も遠慮した。
そして出た結論はこれだ。
″週に一度は我が家に来て、一緒に食事をする事″




