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執事がラスボスな件  作者: 肩ぐるま


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第18話 禁令奴隷市場

スラムの一角に急造りで設けられたにも関わらず、この市場には、禁令奴隷を求める貴族や大商人、あるいは、その代理人が詰めかけていた。

セバスは、市場の中に入って行くと、とある建物の中に踏み込んだ。

ヘンケルは頭を天井にぶつけないように、少し身を屈めながら付いて行く。

すると、小柄な店主らしき男が揉み手をしながら現れた。

「これは、ようお越しで。今日は、どのような奴隷をお求めで御座いますか?」

「ふむ、まずは、どんな品を置いているか見せてもらおうか」

「ほー、品とお言いなすったね。買いの本職の方で御座いますか?」

「いや、心配するな。奴隷は素人だ。さっ、無駄話は終わりだ。品を見せてもらおう」

「へへー、承知しました。どうぞ、こちらへ」


小男は恐縮したように身を縮めて、セバス達を奥の部屋へと案内した。

奥の部屋では、鉄の檻が幾つも並べられ、檻の中に奴隷が入れられていた。

一番手前の檻には、心が壊れた女が入っていて、バカ笑いと引きつけを繰り返していた。

次の檻には、凶悪そうな瞳の小柄な女がいた。

「これは、殺人狂か?」とセバスが聞くと、

「はい、元は何処かの国の暗殺部隊にいたようですが、今は心が壊れて、手当たり次第に人を殺します」

その次の檻には、男が寝そべっていた。セバスたちが檻の前に来ても起きる気配もない。

その次の檻は、背を向けて檻の隅にいる女だった。

ここでセバスは足を止めて、

「この店に居るのはこれだけか?」と念を押した。

「へぇ、こんな場所ですからね。品数は限られていまさぁね」

と店主。

「いくらだ?」とセバスが聞く、

「最後の奴隷ですかい?」と店主が聞くと、

「この檻と2番目の檻だ」とセバス。

「これはお目が高い。この4番檻は6万ルーグで、2番檻のは15万ルーグでさぁ」

「高いな」とセバス。

「ご冗談を、うちほど割安な店は、他にありませんぜ」と店主。

「合わせて18万ルーグにしろ。それなら買おう」

「いやいやいや。それじゃあ赤字ですよ。勘弁してくださいよ」

「それなら1番目の檻の奴を足して20万ルーグ出してやる。それで売れ」

「旦那、本当に素人ですかい?玄人の足元を見るんもんじゃないですよ」

「1番檻は売れずに困っていたんだろう。それを買うと言ってるんだ。こんなチャンスを逃したら、次はないぞ」

「分かりました。降参しましたよ。3人で20万ルーグで手を打ちましょう」

「されでは奴隷の契約を済ませてくれ」

「へいへい。これじゃ、どっちが奴隷商人かわかりゃしないぜ」と店主は愚痴を溢しながら、奴隷契約の準備をした。


奴隷契約を終えて、セバスは、精神の壊れた3人の奴隷を連れて奴隷市場から出た。殿をヘンケルが歩いているため、奴隷を拐おうという不届き者も手が出せないでいた。

それでも、買われた奴隷は、横からかっ拐うのがスラムの流儀とばかりに、セバス達に隙があればと狙いを定め、後をつけてくる者達がいた。

しかし、セバスが角を曲がり、買われた奴隷達が角を曲がり、ヘンケルが続いて角を曲がり、付け狙っていた男達が続いて角を曲がったとき、男達は、足元に地面がないことに気付いた。

だからといって落ちて行くわけではない。ただ踏みしめる地面が無くなったので、前にも後ろにも動けなくなっていた、

「ふむ、予想外の収穫がありましたな」という声が聞こえた。

男達は腰の剣を抜いて身構えたが、足元に何も無いので、動くことが出来ない。

「誰だ?姿を現せ」

「くっくっくっ。襲うつもりが、いつの間にか、襲われる側になった気分はどうですかな?」

「くそっ、何者だ?卑怯だぞ」

賊の1人が、自分達こそ卑怯なことをしようとしていた事を忘れて叫んだ。

「くっくっくっ。それでは、落ちてもらおうか」

その声が聞こえた途端に、男たちは落ち始めた。文字通りの落下だった。立っていたところから果てしなく落ちて行く。落ちても落ちても、止まらない。

この落下は幻覚ではなく、セバスが空間魔法でつくった、空間をループさせた無限落下であり、果てしなく続く落下に男達の心が壊れるのに、時間は掛からなかった。

『これで、心が壊れた者が女3人男5人。なかなかの収穫ですな。しかし、このフリーホール、思い付きで創りましたが、思いの外、使い勝手がいいですな。重宝しそうですぞ』

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