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執事がラスボスな件  作者: 肩ぐるま


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第13話 セバスの画策

『女の戦闘ドールの本能には、貴人の子を産みたいという野心が組み込まれているようですね』

ワストンの言動に、セバスは新しい可能性を見出していた。

『ワストンが貴族の子を孕んだと聞けば、他の戦闘ドールも黙ってはいまい。我先にと、貴族の子を欲しがるのは目に見えている。ここは、ワストンのことを知らせてやらねば不公平だと、私が責められますな』

セバスは黒い笑みを浮かべながら念話を使った。


『カトレア、今、いいですか』

『セバスですか。何か用ですか?』

『うむ、ワストンを貴族に嫁がせることに成功しました。ワストンが男児を産めば、この国で成り上がらせるつもりなので、協力を頼みたいと思いまして』

『何ですって、ワストンが貴族に嫁いだですって?ワストンを貴族に嫁がせると決めたのは、ご主人様ですか?何故、私ではなかったのですか?』

『主殿の命令は、目立たないように貴族を取り込むことです。そこで、取り込めそうな貴族を探しまして、領地が痩せた田舎貴族に目を付けました。ワストンなら領地に豊作の恵みを与えられるので、彼女を嫁がせたわけです』

『貴族を取り込むということなら、1人とは限りませんよね。いえ、むしろ、取り込む貴族は多いにこしたことはありませんわ。セバス様、私は、その作戦に使えませんか?』

『取り込む貴族の候補は幾人かありました。カトレアにそのうちの1人に嫁いでもらえれば、この作戦はもっと確実なものになりますな』

『それなら、その方向でお願いいたしますわ。セバス様』

『それではカトレアには、ダニエル・フランドル子爵に嫁いでもらいましょう』

『ダニエル・フランドル子爵というのは、どのようなお方ですか?』

『領地に鉱山を持っており、武具の生産も盛んなので裕福な貴族です。貴女にこの貴族家を勧める理由は、この貴族家なら、貴女の付与魔術の真価が分かるからです」

『武具に魔術を付与するのですね』

『そういうことです。ただし、当主のフランドル子爵には、正室と側室が既にいます。鉱山都市を運営していて裕福とはいえ、貴女を第三夫人に迎えるとなると、後継問題も絡んで周囲が反対するでしょう。となると、むしろ子息の妻の座が狙い目でしょう。長男は既婚ですが、次男が独身で、冒険者として活動しているはずです。カトレアには、冒険者としてこの地に赴いてもらえばいいでしょう』

『ふふふ、楽しそうですね。分かりました。きっと、セバス様のご期待に応えてみせましょう』


次は、アキハですか。アキハには、リーズ・ゲェスティ男爵の相手をしてもらいましょう。奴隷の売買に手を染めているということは、裏の顔を持っているに違いありません。油断のならない相手である可能性がありますね。しかし、アキハをこのような貴族の妻とじて使ってしまうのは、いささかもったいないですね。彼女には、リーズ・ゲェスティ男爵が持つ奴隷売買組織を乗っ取ってもらいましょうかね。

『アキハ、今、よろしいですか?』

『あらセバス。何の用?』

『実は折り入ってお願いしたいことがありまして』

『どんなこと?』

『主殿は、この国の家族を密かに取り込みたいと仰せです。そこでワストンとカトレアには、それぞれに貴族を取り込むように言ってあります』

『あら、ならば、私は誰を取り込めばいいの?』

『アキハに頼みたいのは、貴族を取り込むことではなくて、ある貴族が持っている奴隷売買組織です』

『その組織を乗っ取れとでもいうの?』

『流石にアキハは話が早い』

『あんたの考えそうなことじゃない』

『確かに、そうかもしれません』

『詳しいことを教えてよ』

『リーズ・ゲェスティという男爵がいて、領地は狭いのですが、かなり裕福な貴族がいます。その懐具合を支えているのが奴隷売買というのは間違いありません。もちろん、この国で奴隷の売買は合法ですが、裏がある臭いがします』

『裏のない奴隷業者なんているわけないじゃない』

『その組織を、表も裏も丸ごと手に入れて頂きたいのです』

『そんなことセバスがやれば一瞬で終わるじゃないの』

『私は他にすることがあるのですよ』

『ふ~ん、じゃあ、その男爵とかには嫁がなくてもいいのね』

『それはお任せします』

『ふふん。相変らず、食えないわね。でも、任せておいて』

『お願いしますよ』


『後は、商人か。パップス商会のパップスにはアマンダを嫁がせた。残りのダグラス商会のダグラス・フォン・ドノバンと、ムザール商会のムザール・デクスンにも、誰か嫁がせたい。サリー、ルルー、ベルタを使うしかないか。この3人のうち1人を残して身請けさせるとするか』

この話を進める為、セバスは自ら娼館ルルーベルに足を運んだ。

今やランドリアで一番高級な娼館とされているルルーベルは、噂に違わぬ大きさと、見事な意匠をふんだんに施した建築美を誇る建物だった。

大きな正面入り口の扉の両横には2メートルを超える巨漢が微動だにせずに立っており、周囲を威圧していた。

この威圧に耐えられるお大尽でなければ、この入口を通らさせないと、無言のうちに語っているようだ。

身長185センチを超えるセバスでも見上げる大男を気にもとめずセバスは入り口のドアを押す。

ドアの向こうに広がっていたのは、男の桃源郷だった。

腰まで伸びた金髪、大きな胸を揺らしながら、肌を露わにした美女達が、腰掛けたり、見せつけなら歩いたり、いずれ劣らぬ美女達が、大きなホールに咲き誇っていた。

ホールの真ん中に居た、ひと際目立つ一人の美女がセバスを見つけて近付いてきた。

「よくお越し下さいました。セバス様」

「リリー、3人ともに話がある。部屋に案内してくれ」

あらかじめ念話で来訪を告げられていたリリーは、身を翻して用意したVIPルームにセバスを案内した。


「それでは私たちが妾に?」

「3人のうち2人でいい。1人はここに残って、娼館を維持していてくれ」

「それで相手は、誰ですの?」

「ダグラス商会のダグラス・フォン・ドノバンと、ムザール商会のムザール・デクスンです」

「あら、その2人なら、ここの客ですわ」

「ほ~、それは好都合です」

「白々しいですわよ。そんなことぐらい分かってた上で、この話をもってきているでしょう」とベルタが美しい眉を逆立てる。

「ダグラスという商人は、貴族の出身ですが、商人として頭角を現してきています。ただの変わり者なのか、暴れん坊なのか、才覚のあるタイプなのか分かりませんが、成長株と見込んで、取り込んでおきたいのです」

「面白そうね。それなら私がその殿方を落として見せましょう」

青い瞳を煌めかせたサリーが、腰まであるブロンドの髪と大きな胸を揺らしながら宣言した。

「ムザールは、親の代からの商人で、かなりのやり手と見ました。ただし、この商人には、既に、何者かがバックについているかもしれません。そうなると、一筋縄ではいかなくなりそうです」

「あら、私はそういう殿方が好きよ。知恵比べが出来ますものね」と、赤い髪をかき上げながらベルタが不敵な笑みを浮かべながら名乗りを上げた。

「それでは、サリーにベルタ、頼みましたよ」

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