表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愛しい私のお人形  作者: 永眠


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

26/30

22.確信の前の疑惑

書けたましたああ…!2日分にしようかなあ…お悩み。

空っぽの部屋に、私の呼吸音だけが淡く響いている。


静寂が、まるで返事の代わりみたいに重くのしかかってきた。


(……どうして。どこへ行ったのですか、シェーゼ。)


胸の奥で名を呼んでも答えはない。

当たり前だ。だって彼は――人形なのだから。


そう、何度も自分に言い聞かせてきた。


けれど、胸の痛みの質が変わってきていることに気づいてしまう。

割れるような苦しさではなく、むしろ……

どこかに歩いて行ってしまったのではないか、と錯覚してしまうような、妙な不安。


人形が自分の意志で歩くはずなんて、ないのに。


(……シェーゼ。)


名前を呼ぶと、急に部屋の空気が揺れた気がした。

ほんのわずか、風のない部屋でカーテンが擦れるような音。


私は息を止める。


気のせいだと、そう思いたかった。なのに―――


――コトリ、と何かが床に当たる音がした。


心臓が跳ねる。


ゆっくり、音の方へ目を向ける。


部屋の奥。

いつもシェーゼを座らせていた椅子のそば。

小さな影が落ちている。


近づくと、それは――私が彼の襟につけていたブローチだった。


(……どうして、こんなところに落ちているのでしょう。)


ブローチを摘む指が震える。

人形なら、ブローチなど飾りがが外れて落ちることはある。だがこんな、椅子から少し離れた場所に転がることは、動かない限り決してない。


まるで――

歩いた先で、落としたみたいではないか。


胸がきゅっと締め付けられた。疑いたくなんて、ないのに。


「……シェーゼ?」


呼びかけた声が、震えていた。

返事はない。

だけど、返事の仕方を知らないだけなのでは――そんな考えが、まるで真実かのように脳裏に浮かぶ。


けれど、それでも。


(……貴方は、本当に。)


言葉がそこで止まる。


本当に、人形なのですか?

そんな問いを口にしてしまいそうで、怖くなった。


廊下から来た冷たい風が当たる。

屋敷には誰もいないはずの、そのはずの――廊下から。

私は思わず部屋から廊下へ出て辺りを見回す。


そこで、気づく。


反対側の廊下で、ほんのかすかに、何かの影が揺れた気がした。

見間違い。そう言ってしまうにはあまりにも

あまりにも骨のない人形ではありえない、人が立っているような影があった。


胸がどくん、と大きく鳴る。


「……シェーゼ?」


呟きが、ほぼ無意識に落ちた。


返事はまだない。

けれど確かに、彼は立っている。




それを見てしまってはもう、ただの人形とは思えない。


評価、ブクマ等よろしくお願いしますねえ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ