22.確信の前の疑惑
書けたましたああ…!2日分にしようかなあ…お悩み。
空っぽの部屋に、私の呼吸音だけが淡く響いている。
静寂が、まるで返事の代わりみたいに重くのしかかってきた。
(……どうして。どこへ行ったのですか、シェーゼ。)
胸の奥で名を呼んでも答えはない。
当たり前だ。だって彼は――人形なのだから。
そう、何度も自分に言い聞かせてきた。
けれど、胸の痛みの質が変わってきていることに気づいてしまう。
割れるような苦しさではなく、むしろ……
どこかに歩いて行ってしまったのではないか、と錯覚してしまうような、妙な不安。
人形が自分の意志で歩くはずなんて、ないのに。
(……シェーゼ。)
名前を呼ぶと、急に部屋の空気が揺れた気がした。
ほんのわずか、風のない部屋でカーテンが擦れるような音。
私は息を止める。
気のせいだと、そう思いたかった。なのに―――
――コトリ、と何かが床に当たる音がした。
心臓が跳ねる。
ゆっくり、音の方へ目を向ける。
部屋の奥。
いつもシェーゼを座らせていた椅子のそば。
小さな影が落ちている。
近づくと、それは――私が彼の襟につけていたブローチだった。
(……どうして、こんなところに落ちているのでしょう。)
ブローチを摘む指が震える。
人形なら、ブローチなど飾りがが外れて落ちることはある。だがこんな、椅子から少し離れた場所に転がることは、動かない限り決してない。
まるで――
歩いた先で、落としたみたいではないか。
胸がきゅっと締め付けられた。疑いたくなんて、ないのに。
「……シェーゼ?」
呼びかけた声が、震えていた。
返事はない。
だけど、返事の仕方を知らないだけなのでは――そんな考えが、まるで真実かのように脳裏に浮かぶ。
けれど、それでも。
(……貴方は、本当に。)
言葉がそこで止まる。
本当に、人形なのですか?
そんな問いを口にしてしまいそうで、怖くなった。
廊下から来た冷たい風が当たる。
屋敷には誰もいないはずの、そのはずの――廊下から。
私は思わず部屋から廊下へ出て辺りを見回す。
そこで、気づく。
反対側の廊下で、ほんのかすかに、何かの影が揺れた気がした。
見間違い。そう言ってしまうにはあまりにも
あまりにも骨のない人形ではありえない、人が立っているような影があった。
胸がどくん、と大きく鳴る。
「……シェーゼ?」
呟きが、ほぼ無意識に落ちた。
返事はまだない。
けれど確かに、彼は立っている。
それを見てしまってはもう、ただの人形とは思えない。
評価、ブクマ等よろしくお願いしますねえ




