第十話 幸人の過去
ここに、大きな館がある。その館の名前は、幸福館。その館の主は、幸せ案内人幸人という名の老人だった。
あら、皆様こんばんは。三代目幸せ案内人幸乃と申します。この度、私が三代目に就任した祝いとして、二代目の幸人様より、幸人様の過去を皆様に、見て頂くよう仰せつかりました。
私としても、幸人様の過去何があったのかは、気になるところです。
それでは、皆様も、ご覧ください。では、皆様に幸あらんことを。
一人男の人が、幸福館の扉を開いた。その男の人の名前は、夢嶋幸平、三十歳。
幸平は、薄暗い幸福館の中をゆっくりと歩いていた。しばらく進むと一つの部屋の前に辿り着いた。幸平は、その部屋の扉を開けて部屋の中へ入った。部屋の中は、蝋燭の炎で灯されていて、部屋中には、霧のようなモヤが立ち込めていた。
幸平は、部屋の中を進んで行くと、黒のタキシードを着ている老人がいるのに気が付き、その老人の元へ行った。老人の元ぬ着いた幸平に
「おやおや、ようこそ、幸福館へ。私は、この幸福館で幸せ案内人をしてます幸人と申す者です」 と、深々とお辞儀した。 幸人は、幸平を椅子に誘導し、椅子に座らせた。幸人も、向かい合って座り水晶玉に手を伸ばすと水晶玉が光だした。すると、幸人は
「おぬしの名前は、夢嶋幸平というのじゃな」
「はい、そうです」
と、幸平は、部屋中を見渡しながら答えた。
「どうかしたのかの? この部屋に何か興味でも?」
「えっ、まぁ、少しだけ……何となくですけど、違う世界にいるみたいな感覚で……それと、幸人さんの後ろになる棚も気になりました」
「ほう。幸平殿は、霊感が強いようじゃな。これは、何か縁じゃ。お教えしようかの」
と、幸人は、白い顎髭を撫でながら言った。幸平は
「はい、お願いします」 と、答えた。
幸人は
「私は、信じられないかもしれないが、霊魂なのじゃよ。そして、私は、死ぬ直前まで不幸を味わった。死んだ後もこうして霊魂のままだったのじゃ、まぁ、この世に未練などはなかったのだが、そして、霊魂になった私は、この世に不幸な人生を送っている人をたくさん見てきた。そんな人達を見てると、助けたくなってな。こうして、不幸な人の元に現れて幸せを案内してると言う訳なのじゃよ」
「そうだったのですか? 僕も、最近人生に嫌気をさしていたんです。自殺も考えた事もありました。僕は、人には、見えない物が見えるみたいで、皆に嫌われる事が多く、孤独でした。そうして、フラフラ歩いてたら、ここに辿り着いたんです。出来れば、幸せになりたいのですが……」
「ほう、幸せになりたいのかい。では、こうしよう。これから私の助手になってもらう。そして、私のように、人に幸せを案内して頂こうかの。そうした上で、おぬしに幸せを与えよう。では、まず対価を頂こうかの」
「対価? それはなんですか?」
「対価とは、自分の一番大切大切な物を犠牲にするのじゃよ。一番大切な物を払ったうえで幸せを手に入れると、言う事じゃな。どうするかね。対価を払うかい?」
「なるほど、では僕が幸せになる為に払う対価と言うのは、命って事ですね」
「まぁ、そう言う事じゃな。正確には、魂はここに残るが、おぬしの肉体が無くなると言うことじゃ」
「分かりました。対価を払います」
「そうか、では、早速始めるかの。では、こっちへ来なさい」
と、幸平を魔法陣の上に立たせた。そして、幸人は、静かに呪文を唱え始めた。すると、幸平の下の魔法陣が光だし、幸平を光が包んだ。
しばらくすると幸平は意識を失った。幸平が、意識を失ったと同時に幸平の身体から、青白い炎が出てきた。その後、魔法陣の光が消え、幸平は意識を取り戻した。幸平は、ふと、足元を見ると幸平が横たわっていた。
「僕が二人になってる? どういう事ですか?」 「今、横たわっているのが、おぬしの肉体なのじゃよ。私と話をしているおぬしは、私と同じ霊魂と言う訳なのじゃよ」
「つまり、僕は死んだと言うことですか?」
「そういう事じゃ。今から、おぬしは私の助手だ。よろしく頼むよ、幸平くん」
「は、はい、こちらこそよろしくお願い致します。幸人様」
「私が、持っている青白い炎は、幸平くんの魂。これは、私が大切に保管しとおくとしよう。ただし、青白い炎が消えてしまうと、本当の死が待っておるのでな」
と、言って幸人は、透明なガラスケースに幸平の青白い炎の魂を入れた。 幸平は
「幸人様、僕は何をすればよいのでしょうか?」 「そうじゃな、では、不幸な人を探してきてくれんか?」
「分かりました。では、行って参ります」
と、言って幸平は幸福館を出て、不幸な人を捜した。幸平は、一人不幸な人を見つけて声をかけ、 幸福館へ連れて行った。 幸福館の中に入り、幸人の前に連れて行き、幸人の一連の行動を見学した。それから、何度も見学して、とうとう幸人の対価の棚がいっぱいになった。
「これで、私の対価の棚もいっぱいになったな。やっと、私は、あの世に行ける。これからは、幸平くんが、私の変わりに不幸の人々を幸せに案内してくれたまえ」
「僕がですか、分かりました。やってみます」
「では、新しい対価の棚を君に授ける。幸平くんも、私のように対価の棚をいっぱいにした時、私に預けた君の対価の魂が消える。そうしたら、君もあの世に行けるのでな。頑張ってくれたまえ。では、最後に儀式を行うかの」
と、言って幸人は、幸平を魔法陣の上に立たせた。そして、幸人は目を瞑り呪文を唱え始めた。
「汝、幸平。そなたをこれより幸せ案内人に命ずる。名を幸人とする」
と呪文を唱え終えると、魔法陣が光だし、幸平を光が包んだ。
光が消えると、幸平は、黒のタキシードと黒のシルクハットを着ていた。 幸平は、魔法陣からでると、幸人に深々とお辞儀した。
「幸人様、お疲れさまでした。これより、二代目の私、幸人が不幸の人々に幸せを案内致します」 「では、頼むぞ。私は、そろそろ行くのでな。最後に私の本名を教えてやろう。私の本名は、川嶋幸之助じゃ。では、いつか、あの世でな」
と、言って姿が消えた。 そして、幸平は、二代目幸人として幸せ案内人となり不幸の人々に幸せを案内した。
皆様、いかがでしたか? 幸人様の過去は? 私、幸乃も初代、二代目の幸人様に負けないよう不幸の人々を幸せに案内していきたいと思います。
幸福館、幸せ案内人の私は、不幸の人々の前に必ず現れ、幸せに案内致しますので、いつの日か皆様の前にいるかもしれません。その時は、対価を頂きますがよろしくお願い致します。
では、またいつの日かお会いできる日を楽しみにしております。
あっ、そうそう皆様くれぐれも私、幸乃の本名は忘れてくださいね。
では、また。
(おわり)
皆様、拙い小説を最後まで読んで頂きありがとうございました。
ツッコミどころ満載だと思いますが、よろしければご意見、ご感想をお待ちしております。




