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レッドアームファミリー/俺たち無法者、なぜか正義の味方やってます  作者:
第一章 知ってる景色と知らない心
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エピローグ

マギアロイドで七人は引っ越しのような大荷物を運んで設置作業している。

厳密には四人が設置している。

「テュールがまたズルしましたわ!注意してください兄様!」

「僕はルールの中で勝ってるだけだよ。ビデオゲームが苦手なだけでしょオリヴィア」

そんな二人を横目にナタリアが設備復旧している。

「ジンさんはいないっスよオリヴィア。ピース、この区画の配線をスキャンして欲しいっス」

「分かったわあ、ちょっと行ってくるわねえ」

「二人とも!手伝わないならゲーム取り上げますよ!」

マーガレットの一言に二人は急いで手伝い始める。

「マーガレット、休んでて、俺、荷物、持つ!」

まだ治り切っていないマーガレットの体を心配しながら荷物を預かる。

「ありがとうございますマッド、けどもう体の方は大丈夫ですから」

「結局兄様はどこですの?」

「さあ、分かりません。さっきちょっと席を外すと言ったっきりですね」

「分かった!サボってるんだよきっと!」

賑やかに話す一同を置いて施設から少し離れた崖にジンが立っている。

「これを植えたら草木が生えてくるってローランドが言ってたが、、、まあ信じてみるか」

ジンはローランドに渡された苗を地面に植える。

その植物は土のない惑星で自発的に土を生成し拡大していくために調節されたものらしい。

半信半疑で植えた場所を見つめる。

ふと一番の疑問が頭によぎる。

(レッドアーム、、、生前、彼は自らを別の目的のために『作られた生命』と言っていた。しかし、俺を選んだあの時、ただのコソ泥の農家と言っていた、、、、まだ何かあるのか)

考えごとをしているジンにメッセージの通知が来る。端末の画面を見るとテュールからだ。

『どこにいるの?戻ってきて٩( ᐛ )و』

『なんだその絵文字、すぐに戻るよ』

『間違えた 正しくはこっち( ˙-˙ )』

『だとしても変だろ』

端末をしまってみんながいる場所に戻る。

ジンはここで長い間生きていたのに少し歩けば知らない風景ばかりだった。

「、、、今はきちんと見れてるよな。だったら、、、それでいいさ」

作業している場所に戻ると騒がしくなる。

「あっ帰ってきた!サボってたんでしょ!」

「兄様!テュールが意地悪しますの」

「してないよ!」

「二人とも手伝いなさい!」

「マッドこれを繋ぐだけっス、あっジンさん!」

「ジン、ちょっと、これ、持って、お願い」

「あらあら、頼られてるわねえ」

仲間の前に立ったジンはマッドに渡された荷物を運び終わると改めて宣言する。

「話しておきたい事がある。俺はジン・レッドアームとして生きる事にする。それが俺のこれからの名前だ」

「これまでのヴォルフはもういいんスか?」

「ああ、気に入ってはいたが、やっぱり正しい名前を名乗る事にする」

マーガレットが一歩前に出てさらに宣言する。

「では、私はマーガレット・レッドアームですね」

「ずるい!僕もファミリーネームないからレッドアームにする」

「私はもともとロードの姓をそこまで名乗っていなかったのでそちらを名乗りますわ。なにより、ジンは私の兄様ですし」

「いいっスねえ、みんな」

マッドがナタリアを抱え上げる。

「ナタリー!名乗らない?俺は!マッド!レッドアーム!」

「私も姓なかったから丁度いいわあ、ピース・レッドアームかしら」

みんなの視線がナタリアに集中する。

「、、、あーもう分かったっスよ、宣言するっス。ナタリア・レッドアームっス」

ジンは名前の話が終わった後、改めて今後の方針を告げる。

「俺たちは色々な仕事を引き受けるが一番の目的は神骸だ。再び散らばった神骸を集めて保管し平和を守る。それが、、、このチームの目標だ」

「チーム名考えてなかったんスね」

ジトっと呆れた顔でナタリアが横槍を入れる。

「ナタリア!」

ジンは拳でナタリアの頭をグリグリと挟む、その後ろでマッドがジンの頭を拳でグリグリとする。

「いたたたた!」

「いてててて!」

「グハハハハ!」

マーガレットがきちんとするように三人に注意する。

三人ともしょぼんとした顔をしてふざけるのをやめる。

ジンは咳払いをして改めて締めの言葉を話す。

「俺たちはこれから家族だ。これから増えるかもしれない。過去を捨てたいなら捨てればいい、捨てずに持っておきたいなら持っておけばいい、けどこれだけは忘れないで欲しい、、、家族の絆だ。俺たちは血で繋がっているんじゃない。絆で繋がっているんだ、、、青くさい話になってるが、、、その、つまりは、、、コホン、、、ここにレッドアームファミリーの結成を宣言する!」

テュールとオリヴィアは嬉しそうにはしゃいでいる。

マーガレットとマッドも微笑んでいる。

しかしナタリアだけは目を引くつかせている。

「ちょっと名前が、、、ださ、いてっ!」

「ナタリアちゃん?、、、そんな事を言うのは無粋よお?」

ピースがナタリアのほっぺを軽くつねって抱きしめる。

「まあ、、、そうっスね、、、レッドアームファミリー、、、略称は、、、うーん、、、まあいいか、結局は家族っスからね」

直後に通知音が聞こえ、ナタリアは腕のタブレットに来た通知を見る。

「ジンさん!一個目の依頼っスよ」

「おっ、でかした!一発目はなんだ?神骸絡みか?」

ナタリアは依頼メッセージを開いて首を捻りながら答える。

「最近街の動物の様子がおかしいので、原因を解明して欲しいって惑星マルカハにある街の市長からの依頼っス」

「よし!残り機材の設置を済ましたらすぐに出かけるぞ!全員準備しろ!」

ジンの号令に全員快く返事し出動の準備をする。

彼らはこれからも多くの人間と関わり、新たな友人、敵、もしかしたら家族を得るかもしれない。

彼ら自身がそんな未来を掴み取ったのだ。

だからこそ、彼らの旅はまだまだ続くだろう。

一章完

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