事態の収集なんてできない
アルガスが立ち去った後、その場にいた五人は動き出せるようになった。
しかし、誰も言葉を発しない。
テュールが目の前で死に、オリヴィアは依頼主の妹で連れ去られた。この場合連れ去られた表現するのは正しいのだろうか、とにかく事態は複雑なのだ。
ジンは遂に覚悟する。隠していた過去を話すためにある場所に向かうことを。
「ナタリア、人工惑星マギアロイドに向かってくれ」
「そんなとこ、、、知らないっス」
座標を書いたメモをナタリアに渡し、自身は自室に向かう。
ピースはナタリアのそばに寄り添いながら行き先の設定を手伝っている。
マーガレットはマッドに質問する。
「神骸は知っていましたか」
「おとぎ話、くらいには」
マーガレットはそのおとぎ話について質問を行う。
「どのような話なんですか?」
マッドがそこから性質に言及している部分を抽出して話し始める。神骸の元は機神と比喩される程機械と親和性が高く、同時に神骸から生命が生まれ落ちたと言われるほど有機生命体との親和性も高いとされている万能のオーパーツと言われている。
遥か昔にそれを発見した二人の賢人はその使い方で袂をわかったとされている。
「その二人が、アルガスとローランドさんですね」
片方は神骸を人に取り込み神と同等になろうとし、もう片方は武器や道具に宿し、人として神になろうとしたと言われている。
そこまで聞き、マーガレットが疑問に思ったことを聞く。
「ローランドさんは何歳なんでしょう。それにその二つの神のなり方って違いありますか」
「前者は、人を、神の下位互換、そう考えてる。後者は、人の力で、神を超え、新たな可能性、考えてる」
マットはひとまず話終わった後、ナタリアの元に向かいテュールについて話し合う。
マーガレットはジンの部屋に向かい、情報を共有する。マーガレットとジンがそこまで悲しそうにしていないのには理由がある。
「ジン、テュールの最後、見ていましたか」
「ああ、腕が分離する前に何かが放たれてアルガスの体に入っていった。ヤツは気にしていなかったがおそらくは何かしらのアンカーだ」
「けど、体は消滅してしまいました」
心配そうにするマーガレットにジンは励ましの言葉を送る。
「大丈夫だ、あの腕がヤツの言う神骸ならその力は未知数だ。なんとかなる事を願うしかない。今は俺様の言葉を信じろ」
マーガレットとジンを見つめ合う。
ジンが目を逸らそうとした瞬間、マーガレットはキスをする。唇を離し真剣な顔で話す。
「あんな敵と戦うなら、これで最後になるかもしれませんから」
ジンは驚いたのちに、マーガレットを両手で引き剥がす。
「マーガレット、やめてくれ。俺はお前が思っている程まともじゃないんだ。だからよしてくれ」
その言葉を聞き、マーガレットは気まずそうな顔をして部屋から出ていく。その後、船内放送が流れる。
『ジンさん、そろそろ、、、あれ?、、、ここって、、、』
ジンは立ち上がりながらボソッと呟く。
「故郷だ」