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レッドアームファミリー/俺たち無法者、なぜか正義の味方やってます  作者:
第一章 知ってる景色と知らない心
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終末装置2

彼の表情を見れば今から話すことが重要であることは誰もが分かるだろう。

ローランド以外の三人は固唾を吞んでカール見守っている。

「彼の力の根本は時空間を操る、という可能性が今のところ一番有力です。おそらく、次元からものを取り出しているのはその力の一部に過ぎません。ジンさんが先ほど話したようにこの世界でもアンカーの能力はおそらく使えます」

そこまで聞いてマーガレットが口を挟む。彼女は気になった時に聞いてしまうのだろう。

「けど、テュールがそんな力使ったの見たことありません」

カールがその言葉を予想してたかのように返答する。

「初めて能力を使った時、彼は反動で鼻血を出して動けなくなったと言っていました」

納得した顔でジンが続きを話す。

「使わないのではなく、使えないのか」

「はい、現状彼の体の方がその負荷に耐えられないのだと考えられます。今でこそ鼻血を出さずに物の出し入れをできていますが、この世界の時空間を固定、もしくは破壊するような力の使い方をすればまず間違いなく彼の肉体は消滅します」

「危険じゃな」

ローランドが険しい顔をしている。

「そうですね。テュールが消える可能性があるなんて」

ジンがマーガレットの言っていることを修正する。

「そうじゃないマーガレット、個人的感情をアリにすればテュールの身の安全はそうだが、爺さんが言ったのはこの世界のことだ」

マーガレットは話をうまく飲み込めていない。

そこにハーネットが補填してくれる。

「テュール君の体が消えることは非常に悲しいことよ。けどねマーガレット、彼がこの世界の時空間に致命的なダメージを与えたらおそらくこの世界は無になるのよ。そして、仮説の上でしかないけれどテュール君がその身体を犠牲にすればこの世界を崩壊させることができると現時点でカールは考えているのよ」

ローランドの開発した武器ですら、この危険度には到達しないだろう。

カールが明るい口調で話しながらオフィスの設備を解除していく。

「まあ、そんなに深く考えないでください。ジンさんとマーガレットさんがそばにいる限りそんなことは起きないかなと感じましたので、これからも旅はできますよ」

ことの大きさを認識した二人に少しでも明るくなって欲しかったのかカールは安心するように話しかけ続ける。ローランドは一人オフィスを出てテュールの元に向かう。

テュールは携帯型ゲームを手に取って検査室を出てすぐのベンチで遊んでいる。

「やあ、テュール君」

テュールは不思議そうな表情で顔を上げる。

「あっ、えーとローランドさん?」

「正解じゃ」

ローランドはにっこり笑いながら飴を手渡す。

テュールは飴をすぐに口に入れ舐め始める。

「テュール君はその腕で何がしたい」

「大切な仲間を守りたい。僕の家族を」

「ジン君たちのことじゃな。守るためには暴力も厭わないのかな」

「そんな事はない、、、と思う。正直人を殺しちゃいけない理由もいまいち分からない。ジンにダメって言われたからダメなんだと思ってる」

「ダメと言われなかったら殺したいのかね」

テュールは悩んでいる。

「僕には難しい、そんなこと考えたこともないし考えたくもない。そんなことよりみんなと楽しく過ごしたいしそのことだけ考えていたい。みんなとご飯食べてみんなと旅をして、、、そして、、、」

テュールは言葉に詰まる。改めて自身が考えないようにしていたことが明らかになり困惑しているようだ。

「少し意地悪だったのうすまんすまん」

ローランドはテュールの頭を撫でる。

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