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レッドアームファミリー/俺たち無法者、なぜか正義の味方やってます  作者:
第一章 知ってる景色と知らない心
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マルチバースは高速道路?

ローランドの研究室を後にして、元の道を戻り本来の目的だった場所へと二人は向かう。

しばらく歩くとテュールの検査をしている区画に着いた。研究者たちが慌ただしく動き回っているのが着いた瞬間から見て取れる。

「働きアリの集団みたいだな」

「遅れてきて早々失礼ですよジン」

「ローランド先生、検査は始めています」

「ありがとうハーネット君」

他の区画に比べて、忙しなく人が動いている理由はこの区画で取り扱っている研究、多元宇宙が刹那的に変化するからだ。観測したデータを机の上から横のファイルに入れただけで、データ通りのモノは無くなり変化した新たな観測データとなる。それがこの区画の研究特徴なのである。四人が検査を見守っていると一人の男性が早歩きで近づいてくる。

「ローランド先生、ハーネット、彼はとても興味深いですよ」

興奮気味に話す男にマーガレットとジンは少し驚く、驚いた反応を見て初めて二人の存在に気付いたようだ。

「あっ、君たちがジンさんとマーガレットさんだね。テュール君がさっき話していたよ。君たちにも聞いていて欲しいことなんだが」

流れるような早口で次々と話を進めていく。

彼のペースに乗せられるとなかなか降りることはできないだろう。

「こらこら、自己紹介をまずしなさい」

ローランドの一言で男はハッとした顔をし、すぐさま自己紹介に移る。

「僕の名前はカール、この区画の区画長で、好きなものは睡眠と研究、嫌いなものは食あたりと書類手続き」

「食あたりは誰でも嫌いだろ。それに、、、」

ツッコむジンをマーガレットが制止する。

ジンに耳打ちをする

「そのペースでツッコんでたら話が進みません」

それもそうだと納得してジンはカールの話を聞くことに集中する。

「それで本題なのですが、多元宇宙の研究がどのようなものか理解していらっしゃいますか」

この質問にはマーガレットが答える。

「所謂、並行世界とかマルチバース的なアレですよね」

「概ね正解としましょう。我々も観測自体は出来てはいるのですが、交流は出来ていません。なぜなら、双方が常に進んでいるからです」

ここでジンが口を挟む。

「おんなじように進んでるなら並んで掴むだけだろ」

「いい意見ですね。ではこう考えてみてください。数千台の車が高速道路で二十車線を絶え間なく切り替えながら走行している。ジンさん、あなたはこの中で並走している車からモノを取り出したり暫くしてから元の場所に戻したりができると思いますか?」

「難しいなっていうか不可能だな」

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