表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
とある異世界転生者のアンダースロー  作者: 村山良朝
アンダースローと異世界転生者
2/30

第一話

 死んだ。


 間違いなく死んだ。


 夏の気まぐれな、ゲリラ豪雨。真昼間だというのに、一メートル先も見えない土砂降りの雨のカーテンだった。

 そこで、タバコ屋の軒先を借りるのは、ごく当たり前の行動のように思う。

 タバコ屋はもうすでに営業して何年もたっていて、シャッターが閉まっている。脇に自販機があった。

 俺は、しばらくすれば止むだろうと、スマートフォンを取りだす。

 今思えば、それは命取りであった。

 キキィッという甲高いスリップ音が聞こえた時にはもう遅い。

 交差点を無謀な速度で曲がってきたトラックが、ガードレールをもろともせずに俺に突っ込んできたのだ。


 あ、これは死んだな。


 最期の瞬間は、何というか、何も思わなかったというか……思う暇がなかったというか。

 痛みを感じる暇もなく、意識を失ったことから、恐らくは即死だったのだろう。トラックに押しつぶされたのだから、体は恐らく……やめとこう、気分が悪くなるだけだ。


 まあ、ともかく、俺は死んだ……と思ったら、奇跡的に生きていたらしい。

 目が覚めると、見知らぬ天井がある。

 声を出そうとすると、「アー、アー」出ない。体も、思うように動かない。

 あー……こりゃ、奇跡的に助かって重度の障害が出たパターンかね……

 はあ……まあ、仕方ない。頑張るしかない。

「あらあら、どうしたの、お腹がすいたの?」

「っ!?」

 女の人の顔がのぞき込んできた。何、看護婦さん? え? え? え? でかくない?

 つか、髪が赤いし……ちょっとはっちゃけすぎじゃない?

 困惑する俺をよそに、女の人はごそごそ、下半身をまさぐる。

「うーん。おしっこじゃないみたい。やっぱりお腹が空いたのかな。待ってて。お母様を呼んでくるから」

 お母様? お袋か? 

 と母親が現れると聞いて、俺は一気に冷静になった。

 どうせ泣くんだろうなあ……案外、涙もろいんだ、あの人。

 まあ、死んでないだけ、もうけもんだと思ってほしいんだけど。


「アーニャ、どうしたの?」


「赤ちゃん、お腹空いたみたい」


 そんな声が聞こえてくる。違和感。まったく聞き覚えのない声。

 俺の顔を覗き込んだのは、金色の髪をした右目が赤、左目が緑の美女で、結構な美人だった。

 えっと……あなた、誰ですか?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ