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とある異世界転生者のアンダースロー  作者: 村山良朝
アンダースローと99点分の重み
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第十八話

 セントサイモンより西。死の砂漠を越えた先にハイペリオンという国がある。

 ハイペリオンにもまた、野球リーグが存在しているのだが、このリーグに所属しているチームは、あらゆる致命的な問題を抱えていた。


 ハイペリオンの第二王女、スィエラはこの問題を解決するべく、セントサイモンの各都市に遠征試合を申し込んだ。


 ハイペリオンのリーグに所属する選手を選りすぐった、いわばオールスターでだ。


 これはどれだけ自分たちのレベルが低いことを知らしめるためである。おそらくは、ボロ負けするだろう。それ位、こちらとあちらではレベルに差があった。そのボロ負けをしないと、何も変わらないとスィエラは判断したのだった。

 

 その第一戦。ラフレッチェにて、スィエラはセントサイモン第四王女アルバに「手加減無用」と言っておいた。


 アルバは快く承諾し、自身のチームに絶対に手を抜かないように厳命した。


 ところが、一回裏でハイペリオンの先発ピッチャーがヒット四球ボークヒットホームラン四球四球ボークヒットボークホームラン四球ヒットツーベースホームランのノーアウトで降板したところで、スィエラはキレてしまったのだ。


 いくら何でも、手加減しなさすぎだと。


「この女に一発カマしてやるには、どうすればいいのかしら……?」


 そこで、前日の食事の時のことをスィエラは思い出した。

 食事時、双方は野球に関しての意見交換をしていた。ラフレッチェはセントサイモンでは常勝チームであり、その運営方法や育成方法は、スィエラの今後の野望に、大きく役立つのである。


 その時に、特殊な投げ方をする投手について話題になった。


「下から投げる投手ですか……?」

「ええ。パーシモンにいた者から、逸材がいると聞いております。もしかすると、野球の歴史を塗り替えるかも知れません」


 腹が立つことに、アルバは侍女に喋らせている。テレパスをアルバは使えるのだ。かなり面倒くさがりな性格らしく、喋るのに口を開くよりも、食べることに口を開きたいのだとか。そういえば、会談している最中、お菓子だの何だの、ずっと食べていた。デブになれ。


 パーシモンに、このラフレッチェにテストを受ける投手がいる。

 これだ、とスィエラは閃いた。

 そいつに、ここで投げさせるのだ。今すぐに。


 少なくとも、ハイペリオンの投手よりかは抑えられる確率が高いし、仮に抑えられなくてもそれはそいつの責任だ。「こんな奴を取ろうと思ったラフレッチェwwwww」と煽ることもできる。なんて素晴らしい策だろう!


 そうと決まれば話が速い。


「ちょっとお手洗いへ……」


 と中座した後、パーシモンから来た者に話を聞きに行き、所在地を聞いた後、ペガサスに乗り込み、いざ、ベルモントのお屋敷へ。

 

 ……以上が、カズヤがここにいる原因だった。

 運命の神は血も涙もないのだ。

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