第7話 マオ君との初夜?
四畳のあばら家で二人、特に何かすることがある訳でも無い。水も電気も無い。
ただ座布団に座らせたマオを上下左右の全角度から鑑賞することが、お金がかからない最高の娯楽であった。
「のう、マグノリアよ。そちは聖女であろう? あの様な勇者の手下ごとき、魔法で容易に蹴散らせるであろうが」
「私には何も才能が無いの。聖女の職業もお金で買ったから、神聖魔法は使えないわ」
「それは難儀じゃの。じゃが、我の愛人としては多少の強さは持ち合わせておらな困るでな」
マオに困ると言われたら、なんとかしたいのがマグノリアの本心である。
しかし、剣の才能も魔法の才能もない、ついでにお金もない彼女にとって、自力だけで強さを身につけることはとても難しいことだった。
マオの期待に沿うことが出来ない。その悔しさで、マグノリアの頬を思わず涙が伝う。
才能が無いこと。それが彼女の最大のコンプレックスであったのだ。
――!!
その姿を見たマオは動揺し、思わず彼女の頭をよしよしと慰める。
「『デリカシー』のスキルを取得出来ておらんかった。悲しませてすまぬ!魔王失格じゃ!我が悪かったのじゃ」
借金の山、一日一食、あばら家住み、魔王を匿っている、どうすればマオとイチャつけるのか、など様々な問題が堆積しているマグノリアは、変な泣きスイッチが入ってしまって涙が止まらない。
モフモフに彼女の涙を吸わせることしか出来ない魔王は、しばらく泣き止むのを待っていたが、突然妙案を思いついた。
「そうじゃ!護衛用に邪悪魔法でも教えようかの?」
「私には無理よ。男爵家の令嬢だった頃、主要な属性の魔力才能鑑定を受けたの。でも、全てG評価だった」
「無論、聖女であるからして邪悪魔法には嫌悪感があるじゃろう。じゃが、我に名付けが出来たのじゃ。マグノリアよ、そなたはきっと邪悪魔法の才能がある」
「私に才能が?」
「そうじゃ。流石に邪悪魔法の鑑定はしておらんじゃろう」
それはその通りであった。
邪悪魔法とは、魔王とその眷族のみが扱える秘中の秘。一般的に隠し属性と言われるものの一つで、知名度はほぼゼロに等しい。
魔法が使えるという言に涙が引いたマグノリアは、真剣な表情でマオを見つめる。
「どうやったら魔法を使えるようになるの?お願い!教えてマオ君!」
「まずは我の魔力を、お主と馴染ませなければならぬ。じゃからマグノリアよ。今夜は我と一緒に寝てくれぬか?」
――寝る!? マオ君と?!!
――YES♡
「も、もちろん!そうと決まれば夜まで待てないわ、今から寝ましょう。さあ、早く!」
マグノリアは大人の力でマオの動作を封じると、彼の上に馬乗りになった。
「マオ君、安心して。初めては私が全てリードしてあげるわ!はあ、はあ」
鼻息を荒げた聖女に、今にも襲いかかられそうなマオは堪らず制止する。
「ちがっ、違うのじゃ!男女の仲よしごっこをするのではない、文字通り寝るだけじゃ。添い寝なのじゃ!」
襲う聖女モードに入ってしまったマグノリアは、もう止まらない。止められない。
「先っぽだけだから、大丈夫よ笑ウフフ」
「仕方ないのじゃ――邪悪魔法『束縛の網』」
「う゛っ!!酷いわマオ君!」
マグノリアの身体は、漆黒の網でチャーシューのようにぐるぐる巻に縛られた。
「生まれたての身体では受け止めきれんからの、しばらくお預けじゃ。すまんの」
万が一を考慮して縛り付けたまま、二人はピッタリとくっいて一夜を明かした。
◯作者コメント
――YES♡




