第16話 マグノリア、ヤラれる!?
邪悪魔法の特訓として、マオに言われるがまま二人きりで街の結界の外まで来てしまった。
マグノリアの武器らしい武器は短剣一本だけ、そしてマオは余裕の丸腰である。
「マオ君、邪悪魔法を練習するのに街の外まで来る必要はあるの?」
「無いと言えば無いんじゃが、流石に街中で人殺しはマズイじゃろ?」
――ん? 今、さらっと人◯しって!?
――聞き間違いよね……?
「もう! そんな物騒なこと、冗談でも言ったらダメよ」
「冗談ではないのじゃ。本気じゃぞ。邪悪魔法の習熟度を上げるには、人をヤらねばならん」
黒光りする小悪魔の尻尾をブンブンと振り回しながら準備運動を始めるマオ。その様子を見たマグノリアは、ここまで来てようやく自らの身の危険を感じた。
――もしかして私を倒そうとしてる?
街の外でマオと二人という絶対的大ピンチ。聖女を倒せば、普通の人間よりさぞ多くの経験値を得られるだろう。
そう思うと、マオの事が怖く思えてくる。
それでも、数多の死線を越えてきたマグノリアだ。不安を打ち消す為に思い切って、あえて聞く。
「ねえ、マオ君。調子はどう? 人をヤれそうかしら?」
「絶好調じゃな、ほれ!」
――!!
そう言って尻尾を振りかざすと、スパッとそれなりの大木が一刀両断される。
「ま、まあ! す、すごーい……」
「シャーリーに比べれば、まだまだじゃの」
背中をビクビクさせてそう言うしか無かったが、ここで更にマグノリアは攻めた。
このまま震えて居るよりは、早く楽になりたかったから。
「それで、いつ人をヤッちゃうのかしら?」
借金を踏み倒し続けて勇者に八つ裂きにされるよりは、マオ君の経験値になる方が余程良い。
マオの経験値になるということは、彼の一部になるということ。それはそれでちょっとエロいし、悪くないと思える。
「もう準備万端じゃ!いつでもヤれるの!」
「えっ! えっっ!?? 待っっ」
「三、二、一、ホイじゃ!」
ギュッと目を瞑って、来る時を待つ。
しかし、しばらく経ってもマグノリアの首は繋がったままだった。
恐る恐る目を開けると、マオは目にも止まらぬ速さでスライムを串刺しにしていた。
「あれっ?マオ君? 私を経験値にする作戦は?」
「なぬ? 我がお主を倒す訳が無かろう!」
――!!
「あはは!じょ、冗談よ!マオ君がそんなことする訳無いわよね。だって、私のことが大好きなんですから。おほほー!」
これ以上ない安堵の表情を見せるマグノリア。マジでヤラれると思っていたことは、マオに筒抜けであった。
「惚けとらんで早く準備運動せぬか。怪我せぬように気をつけよ」
「分かったわ!」
と言われても、魔物を狩る準備運動など知らない彼女は、持っている小刀を四方八方に振り回す素振りを披露する。
――ブン!ブン!ブブン!
「これまた危なっかしいのお!」
「一度失った命、マオ君の為に捧げるわ。出でよ勇者!借金と共に消え去りなさい!」
「イメトレだけはバッチリじゃの……」
こうして、魔物を倒すレベルアップ作戦が始まった。
◯作者コメント
マグノリアは死を覚悟しましたが、とんだ思い違いでした笑
ここでマグノリアが死ねば話が終わってしまいますので、、笑




