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第13話「触れたい衝動」 帰り道、並んで歩く距離がいつ
帰り道、並んで歩く距離がいつもより近い。
手が触れそうで触れない、そのもどかしさに耐えきれなくなる。
「寒いね」
そう言いながら、彼女が少しだけ寄ってきた。
その瞬間、抑えていた何かが崩れた。
触れたい。繋ぎたい。
でも、踏み出したら戻れない気がして――
「……うん」
それだけしか言えなかった。
彼女の指先が、一瞬だけ触れた。
偶然か、それとも。
その一瞬が、頭から離れない。
もう、普通には戻れないほど、心は彼女に引き寄せられていた。




