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「平熱が低いから36度でも熱があるんです」って本当?

発熱の定義はまちまちで、「発熱とは37.5度以上の状態」、「発熱とは体温が正常な日内変動を逸脱して上昇する事」など様々で、さらに小児科の診療現場では、38度以上を発熱と呼ぶことればよ

ドクター:

「えーと、昨日から咳とのどの痛みと、鼻水ですね。36.5度で熱はなさそうですね。胸の音はきれいです。喉は少し赤いですね」


患者さん:

「私平熱が35度くらいだから、36.5度は熱があります。しんどいんです」


ドクター:

「なるほど。日本の感染症法だと37.5度から発熱で、高い熱はなさそうですが、しんどいのですね。それではお薬を出します。ばい菌をやっつける抗生剤、のどの炎症を抑える薬、痰、咳、鼻水のお薬を出します。症状が変わったらまた診察させてください。何か質問はありませんか」


患者さん:

「ありません。とにかく早く治したいです」




ナース:

「先生、平熱が35度だったら、36.5度は発熱じゃないんですか」


ドクター:

「脇とか口の中で測ってるのはあくまで体表温度だね。人間って深部温度は個人差が少なくてだいたい37度くらいなんだよ。手術の時お腹を開いて手を入れると、37度くらいだよ。だから、35度とかは体の表面の温度で、測り方によってかなり差が出るんじゃないかな。風邪とかで発熱したら、熱量が多くなるから、体表温度も深部温度に近づくはずだから、体表温度が35度の人でも、発熱したら37度以上になるんじゃないかと個人的には思ってる。朝倉の内科学では確か37.1度からが発熱だったと思う」


ナース:

「相変わらず理屈っぽいですね、先生」


ドクター:

「さらに理屈を言うと、体表温度が低い人でも、体の炎症反応で熱の総量が増えたら、平熱35度の人でも37度になるだろうし、あくまで発熱は37.1度以上とか、37.5度以上でいいんじゃないかな」


ナース:

「うわー、さらに理屈っぽい。そこまで患者さんに言わなくてよかったですね。嫌われますよ」


ドクター:

「だから言ってないじゃない、患者さんには。ところで深部温度の小ネタ教えてあげようか」


ナース:

「理屈っぽくない小ネタをお願いします」


ドクター:

「理屈っぽいのじゃないネタだよ。よくドラマや映画で「死亡推定時刻」ってあるよね。あれってどうやって推定してるか知ってる?」


ナース:

「当然知りません。さっさと教えてください」


ドクター:

「あれって深部体温が37度でほぼ一定というのが大前提なんだよ。死亡すると深部体温は、37度から1時間当たり、夏は0.5度、冬は2度、春や秋は1度下がる、という感じかな。だから深部体温が人によって37度だったり35度だったりしたら、死亡推定時刻に個人差が出てしまうね」


ナース;

「なるほど、じゃあ、体の内部はみんな37度ってことですね」


ドクター:

「そうそう。で、死亡推定時刻は、ご遺体の肝臓の温度を測ったりしてるよ。どうやって測ってるかは言わないでおくけど。あとは死後硬直や死斑とかいろいろな兆候を合わせて死亡推定時刻を割り出すんだよ」


ナース:

「肝臓の温度ですか、どうやって測るかは聞かないでおきます。とりあえず、あまり理屈っぽいこといって患者さんを言いくるめてはだめですよ」


ドクター:

「了解しました」

今回はかなり個人的な意見ですが、平熱が低い人でも炎症があれば熱の総量が増えるので、あくまで発熱は朝倉の内科学の定義の37.1度以上でよいのではないかと思っています。体がだるい理由付けとして発熱がある、とすると、35度の平熱で36.5度あって発熱しているとすれば、都合がよいとなります。

という具合に、ついつい理屈っぽくなってしまいますが、体がだるいというのは風邪の症状の一つで、だるい原因は発熱だから、という理由付けは不要だと思います。

とにかく、町医者の診療では、発熱を体調不良の訴えの表現の一つとして漠然ととらえてるほうが妥当なのではないでしょうか。

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