【設定資料】登場人物紹介
物語をより深く楽しんでいただくためのガイドです。
※物語の進行に合わせて随時更新・追加されます。
■ 浅井 満福(主人公)
【年齢】
天正元年1573年時点 数え年で9歳 幼名は万福丸
【定義】
絶望を不屈の楽観で塗り潰し、未来の知見(時任)すら使いこなす規格外の器。貴種としての天性と死線の経験が、若年にして老練な将の風格を纏わせている。
【基本背景】
浅井長政の嫡男本来は処刑される運命にあったが、脳内の「時任」がもたらした未来視により死地を脱出。以来、歴史の因果を歪めながら、浅井再興、母達の救出という不可能に挑み続ける。
【性格・特性】
・不屈のポジティブ:「泣いても状況は良くならない」という強烈なポジティブ思考。
・家族・仲間への深い愛情:彼の行動の原動力。父・長政、母・お市、および妹たち(茶々、初、江)への愛が異常に深く、彼らの生存と浅井家再興のためなら、どんな泥をすすってでも生き抜く覚悟がある。
・異常な決断速:迷う時間を切り捨て、「図太さ・肝の座り方」が異常。常々、時任を振り回す。
・人たらし:無自覚に相手の懐へ入り込み、味方にしてしまう天性のカリスマ。
・美少年:戦国一の美女であるお市の方の血を受け継ぎ、その面影を残す。
【弱みと制限】
・致命的な虫嫌い:生理的に虫が一切受け付けない。見るのも触るのも、ましてや食すなど論外。しかし「家族を守るため」という大義名分を時任に突きつけられると、鳥肌を立てながら涙目で従う羽目になる。
・身体的代償:時任が戦国には早すぎる「昆虫活用法(医薬、農地改善、特殊防衛術など)」の具体的な知見を授けるには、大量のエネルギーが必要となる。結果、万福丸の体内の糖が急激に消費され、「耐え難い空腹」を引き起こす。
【一人称/二人称】
わし/お主・時任
■ 時任(脳内存在)
【年齢】
不詳
【定義】
帝国大学理学部生物学科卒。戦国という未開の時代に知の異物として混入した、昭和初期の昆虫研究家。
「昆虫の生態こそが人間を救う唯一の理」と説く、偏執的な専門知の先導者。
【素養と限定】
・極限的専門知:帝国大学在学中、昆虫学教室に通い詰め、国内最高峰の知見を保持。
・一般教養の壁:化学、工学、近代兵器等は当時の一般教養(新聞・雑誌知識)レベルに留まり、専門外の高度な技術・知識は持ち合わせない。
・歴史知識の偏り:帝大入試用の「受験日本史」をベースとしたマクロな歴史観。有名武将を「入試頻出項目」として認識し、内心でファン心理が漏れ出す悪癖を持つ。戦国時代の知識はかなりのもの。
・戦中派の倫理:太平洋戦争の惨禍を知る者として、命を使い捨てる戦国の価値観を忌避し、内側から「ツッコミ」を入れ続ける。
【権能:精神的寄生】
・単独共感覚:万福丸の脳内でのみ響く「内なる声」。
・制御の限界:情報の開示は任意だが、専門分野や歴史的事象に遭遇した際の「学者の独り言」までは抑えきれず、万福丸へ垂れ流される。
【一人称/二人称】
俺 / お前・万福丸
■藤堂 高虎
【年齢】
18歳前後(天正元年1573年時点。喜三郎と同世代)
【定義】
「合理」と「野心」を突き詰めた果てに絶対の主(万福丸)を見出し、その覇道のために泥を被る【理の忠臣】
【性格】
・徹底した現実主義・観察型・野心家。
・寡黙ではないが、必要なことだけを無骨に話す。
・感情や大義名分ではなく、「損得」と「生存・上昇」を最優先に行動する。
【特徴】
・低い身分からの叩き上げ。常に周囲と自分の「位置」を測っている。
・「主君=己が上へ行くための船」と考えており、序盤は万福丸をも「値踏み」している。
・しかし、万福丸(と時任)の常軌を逸した「生存への執念」と「理」に触発され、史実よりも早く『自分が生涯を懸けるに足る王』を見出してしまう。
【忠義の形(喜三郎との対比)】
・喜三郎が「若様のために自分が死のうとする(光の忠臣)」のに対し、高虎は「若様を勝たせるために、敵を冷酷に殺そうとする(闇の忠臣)」。
・万福丸の「綺麗な大義(表の顔)」を守るためなら、自ら進んで非道な汚れ役を引き受ける、狂信的とも言える忠誠心を内に秘めるようになる。
【一人称/二人称】
拙者/お前・あんた・若様(相手により使い分け)
■遠藤 喜三郎
【年齢】
17〜18歳前後(天正元年1573年時点。高虎と同世代)
【定義】
父の背を追い「美しい死に場所」を探していた、情と忠義の猛将の卵
【性格】
・愚直で熱血。裏表がなく、感情がすぐ顔や行動に出る。
・主君への絶対の忠誠心を持つ、古き良き「戦国武士」の理想形。
・理屈(高虎や時任)よりも、情や大義で動く。
【特徴】
・姉川の合戦で信長暗殺に肉薄し、散った猛将・遠藤直経の息子。
・「父のように浅井のために立派に死なねばならない」という強迫観念(呪い)に近い使命感を抱えている。
・高虎とは水と油。「生き残るためなら泥水をすする」高虎を軽蔑しがちだが、万福丸という共通の主を持つことで反発しつつも背中を預けるようになる。
【コメディ要素】
万福丸が時任の入れ知恵で「非道だが合理的な策」を指示した際、高虎が「見事な決断だ」と冷徹に評価する横で、喜三郎は「若様は血の涙を流して泥を被っておられるのだ……!」と勝手に美化して号泣する(脳内の時任が「いや、こいつ笑ってるけど……」とツッコミを入れる)といった、勘違い忠臣のポジションを担う。
【一人称/二人称】
某/若様、お主・貴様(敵や高虎に対して)
■ 鵜飼 冴衣
※後世の「石川五右衛門」のモデル(石川左衛門がいつのまにか石川五右衛門と変遷したとか)
【年齢】
年齢:14〜15歳(天正元年1573年時点)
【基本情報】
・出身:近江国 甲賀郡(甲賀五十三家・名門鵜飼家の娘)
・境遇:一族の没落により放浪。高貴な血筋を引く出自ゆえに里を追放され、本姓を名乗ることを禁じられた。現在は火薬術に長けた「鵜飼一族」の事実上の当主。
【外見・特徴】
・容姿:中性的な顔立ちの美少女。戦国を射抜くような鋭い瞳が特徴。
・装束:首元に「紗」の布を纏う。
・雰囲気:強かさと気品が同居する、捉えどころのない佇まい。
【性格・役割】
・性格:徹底した現実主義。万福丸に一族を救われた恩義を感じ、報いることを誓っている。
・役割:斥候、物資調達、交渉、案内人。甲賀の地勢・裏道に精通する。
・甲賀の商売部門の責任者 堺、京の商人に対しては、「石川左衛門」と名乗り交渉に当たる。
・小悪魔的な一面:蜘蛛、蛇、昆虫を躊躇なく素手で扱う逞しさを持つ。虫嫌いの万福丸を面白がり、わざと虫を近づけて揶揄うなど、彼にとっての「天敵」として振る舞うが、内面では弟のように慕う情も抱いている。
【対人関係】
・万福丸:恩人だが敬語は使わず、対等または姉のように接する。
・藤堂高虎:互いに「合理主義の同類」として反目しつつも、実務では高度な連携を見せる。
・佐助:犬猿の仲。
【技能・素養】
・隠密術:指先の冴え(掏摸)、甲賀流の体術。
・生存術:野生生物の解体・調理を平然とこなす極限のサバイバル能力。
・専門知識:鉄砲・火薬の調合、メンテナンス、狙撃理論に精通する。
【一人称/二人称】
あたし / あんた・万福丸(呼び捨て)
■ 三雲 佐助
※ 後世の真田十勇士「猿飛佐助」のモデル(真田十勇士は江戸時代の創作だが、その原型となった異端の忍)
【年齢】
11歳(天正二年1574年時点。万福丸や六助と同世代)
【基本情報】
甲賀五十三家・三雲一族の「最高傑作」 / 異端のエリート忍
【定義】
・伝統的な忍道を「根拠なき精神論」と断じ、理数的な分析と生体利用を極めた次世代の忍。
・万福丸が引き出す知識(時任の未来の知識)を、その卓越した才ゆえに「独自の軍事科学」として正しく誤認し、心服する。
【性格・思考】
・超論理的リアリスト:気象、地勢、生物の習性を演算し、最短・最適解で任務を遂行する天才肌。
・主君への心服:監視任務中、万福丸が「代償(飢餓)」を払いながら未踏の技術を現出させる姿を目撃。「自らの命を薪に天の理を引きずり下ろしている」と戦慄し、その覚悟と知性に惚れ込み、一族を捨てて「影」となる道を選ぶ。
【一人称/二人称】
俺 / 主(万福丸に対して)・名前呼び捨て(六助、冴衣)・名前+殿(高虎、喜三郎など)
■ 六助
【年齢】
年齢:10〜11歳(天正二年1574年時点)
【基本情報】
・出身:近江国 甲賀
・立場:忍びの里出身の少年。冴衣の幼馴染であり、現在は万福丸直属の雑用・伝令・潜入役を担う。
【外見・特徴】
・容姿:丸顔で愛嬌のある童顔。印象的な大きな瞳を持つ。
・体格:かつて瀕死の重傷を負うが、万福丸による「無菌蛆治療」で命を繋ぐ。回復後は栄養状態が劇的に改善し、現在は“ぽっちゃり”とした福よかな体型。
・機動力:小柄で丸い体躯に似合わず、狭所への潜り込みや隠密移動は極めて素早い。
・嗜好:大の昆虫好き(特に甲虫類)。独自の飼育を趣味とする。
【性格・気質】
・性格:素直かつ実直。受けた恩義を一生忘れない、極めて感謝深い性質。
・忠誠心:命を救われた経験から、万福丸に対し宗教的なまでの心酔を抱く。「万福丸様のためなら何でもする」が信条であり、命を賭すことを厭わない。
・雰囲気:感情が顔に出やすく、喜怒哀楽がはっきりした人懐っこい少年。
【役割・対人関係】
・役割:使い走り、潜入、伝令。万福丸が昆虫関連で頼りにしたい局面で、なぜか不在という「間の悪さ」を持つ。
・万福丸:絶対的な恩人であり、憧れの対象。
・冴衣:幼馴染。頭が上がらず常に振り回される関係。
・藤堂高虎:少年ながらその忠誠心と利用価値を見抜かれ、冷徹に観察されている。
・喜三郎:弟分として可愛がられ、涙もろい喜三郎の庇護対象となっている。
【技能・素養】
・地勢把握:細道、農道、畔道、用水路沿いの抜け道に精通。
・生存能力:食糧への執着が強く、昆虫や野草の摂取に抵抗がない極限の生存術。
・実務適性:肥溜めの管理や田畑の哨戒、獲物の解体補助など、過酷な汚れ仕事を一切厭わない、
【一人称/二人称】
おいら / あんた・〜さん・万福丸様
■灰庵 元松永久秀(弾正)
【年齢】
70歳前後(天正5年・1577年時点)
【定義】
・信貴山で死んだことになっており、以降は、灰庵と名乗る。
・万福丸の軍師的役割を担う。
【性格】
・極度の個人主義者にして、徹底した合理主義者。
【特徴】
・老いてなお衰えぬ野心と知性。上品な茶人としての振る舞いと、爆弾男としての悪辣な狂気が同居している。
【一人称/二人称】
儂、俺/お主、貴様、坊主(万福丸に対して。完全に主として認めた後は「殿」と呼ぶようになる)
■道実 元松永久通(右衛門佐:うえもんのすけ)
【年齢】
35歳前後(天正5年・1577年時点)
【定義】
・信貴山で死んだことになっており、以降は、道実と名乗る。
・狂気の父と規格外の主に振り回されつつも、その異常な策を現実化する【苦労人の最高実務官】
【性格】
・真面目で有能、そして極めて神経質。
【特徴】
・大和国を実質的に治めていた経験から、内政、物流管理、軍事の運用に極めて明るい。
【一人称/二人称】
私、某/貴方、若君(万福丸に対して)、父上
■京極の叔母上(史実上の京極マリア)
【年齢】
三十代後半(天正5年・1577年時点。長政の姉)
【家族構成(天正5年時点)】
・夫:京極 高吉
名門・京極家の当主。妻の気押しの強さに完全に呑まれている「稀代の恐妻家」。表向きは当主として振る舞うが、家中の実権(政治判断、進退、家計の差配に至るまで)はすべて叔母上が握っている。
・長男:京極 高次
通称・小法師。母の「絶対的理不尽」を間近で見て育ったため、処世術に長けた少年。
・次男:京極 高知
通称・主膳。
・長女:竜子
若狭の武田元明へ嫁入り済み。
・次女:お照
母親の影響を受けて、美少女。性格は母親に似て、明るい性格。自由奔放。
・三女:お静
母親の影響を受けて、美少女。性格はお照とは対をなして、お淑やか。頭脳明晰。
【定義】
完璧な淑女の仮面を被り、万福丸に対してのみ「わがままな女王」として君臨する【絶対的理不尽】
【性格・振る舞い】
・外面(対世間):京極家当主の妻として、一点の曇りもない気品と教養を見せる。近江の武家の妻らしく、控えめながらも芯の強い「完璧な貴婦人」として周囲から深く信頼されている。実際、京極家の実質的な支配者であり、家臣たちも主君・高吉より先に彼女の顔色を窺うのが常態化している。
・内面(対万福丸):万福丸に対しては、外面を脱ぎ捨てる。極度のわがまま、強引な理屈、自己の都合を最優先にする強烈な性格。万福丸がどれだけ正論や「理」を述べても、「私がこうしたいと言っているのよ?」と微笑み一つで全てを無効化し、自身の要望を押し通す。
【特徴】
・近江随一の美貌:三十代後半を迎え、その美しさは些かも衰えず、むしろ大人の色気と有無を言わせぬ威圧感が増している。万福丸にとっては、幼少期から変わらぬ「綺麗で恐ろしい、絶対的な年上の身内」であり、彼女の前ではどれだけ知略を巡らせても子供扱いされてしまう。万福丸にとっての唯一の天敵。
【一人称/二人称】
私/満福のことはまんぷくと呼ぶ(他者には:〇〇、〇〇殿)
■石田佐吉 後の石田三成
【年齢】
19歳(天正7年・1579年時点)
【定義】
・近江・観音寺の元茶坊主。「三献の茶」をもって羽柴秀吉にその才を見出された。
・忍びの冴衣に対する過剰なまでの恋慕ゆえ、秀吉の誘いを断り甲賀へと仕官した。
・万福丸の知識を実務レベルへ落とし込み、組織の兵站と内政を支える冷徹な官僚。
【性格】
・極度の合理主義者にして、徹底した実務家。
・潔癖かつ生真面目。数字と規律を絶対視する。
・私欲はなく、組織の利益最大化にのみ情熱を注ぐ。ただし、冴衣が絡む場面でのみ感情が制御不能となる。
【特徴】
・人、物、金の動きを即座に読み解く、天賦の事務処理能力。
・万福丸の異質さの背後にある利を見抜き、それを戦国の世に適応させるための調整役を担う。
・普段の理知的で澄ました態度とは裏腹に、冴衣の前では途端に年相応の若造としての本性を露呈させる。
【強み】
・中長期的な組織運営の構築と、盤石な兵站管理。
・相手が何を欲しているかを瞬時に見極める鋭い観察眼。
・冴衣を支えるためであれば、どのような泥臭い交渉や事務仕事も厭わぬ徹底した献身。
【弱み】
・「冴衣のため」という目的が先行し、組織内の感情的な軋轢を軽視する傾向がある。
・正論のみで相手をねじ伏せようとするため、高虎や喜三郎ら武功派の家臣とは折り合いが悪い。
・己の恋心が周囲に与える影響に対し、致命的に無自覚。
【行動原理】
機能的かつ合理的な統治の完成。および、冴衣への献身。
【一人称/二人称】
それがし/殿、お主、~殿(冴衣に対して)
■ 甲賀五十三家・関連勢力名簿
甲賀は、大名ではなく、甲賀五十三家が対等に議論し、独自の掟で山河を守る合議制の連帯「郡中惣」で動く。だが織田信長の強権が鉄の結束を誇った一族を無残に分断し、甲賀の「自治」の終焉を告げていた。
【反織田派(抗戦・中立勢力)】
1. 望月 吉棟
・立場:甲賀五十三家・筆頭。
・史実:六角氏を支える抗戦派。織田の検地や支配に抵抗し、里の自治を守ろうと腐心する。
2. 三雲 成持
・立場:甲賀五十三家・宿老。
・史実:六角氏への忠義が極めて厚い。三雲城落城後もゲリラ戦を展開。
3. 山中 長俊
・立場:甲賀二十一家の一。
・史実:六角家臣として外交・実務で活躍。後に豊臣秀吉の右筆(官僚)となるほどの知性派。
4. 鵜飼一族
・立場:甲賀衆の一族(本作における冴衣の出自)。
・史実:一五七二年までの激戦で拠点を失い、領地を持つ「武士」から脱落、没落の憂き目に遭う。土地という鎖を捨てた彼らは、火薬と隠密の技能を背負い、特定の主君を持たぬ流浪の技能集団、すなわち職業的忍者となる。
5.美濃部 茂濃
・立場:甲賀五十三家の一。現在は反織田派に帰順。
・史実:徳川家康の「神君伊賀越え」を援護することで有名。




