『あるみん』 - 第16章「星空」
男が、マサキを見つめた。
沈黙。
風が、吹く。
波が、揺れる。
マサキは、もう一度聞いた。
「...あんたは、誰だ?」
男が、答えた。
「...K」
「K...?」
「ああ」
「メールで、やり取りした」
マサキは、息を呑んだ。
「...K!?」
「あんたが!?」
Kが、頷いた。
20代後半の男性。
黒髪。
普通の顔。
マサキは、知らない顔。
「そうだ」
「ツールを送った」
「座標も」
マサキは、何も言えなかった。
雫が、Kを見つめた。
「...あなたが、K」
閃も、驚いている。
「...なぜ、ここに?」
Kが、マサキを見た。
「君を、守るため」
「一人では、危険すぎる」
マサキは、拳を握った。
「...でも、なぜ」
「なぜ、俺を助ける?」
Kが、沈黙した。
そして——
「...理由は、まだ言えない」
「でも——」
Kが、沖を指差した。
「Thread 2は、あの島だ」
「行こう」
マサキは、Kを見つめた。
(なぜ、助ける?)
(何者なんだ?)
でも——
今は、聞けない。
「...わかった」
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【島へ】
四人は、ボートで島に向かった。
Kも、ボートに乗る。
オールを漕ぐ。
マサキとK。
雫と閃は、座っている。
沈黙。
波の音だけ。
マサキは、Kを見た。
知らない顔。
でも——
雰囲気が、どこか懐かしい。
(どこかで...?)
(会ったことが...?)
でも、思い出せない。
10分ほどで、島に到着した。
砂浜。
白い砂。
島は、小さい。
直径、100メートルほど。
中央に、小高い丘がある。
「...Thread 2は?」
閃が、座標を確認した。
[Thread 2: At the hilltop]
「スレッド2:丘の頂上」
「丘の上です」
四人は、島に上陸した。
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【丘へ】
四人は、丘に向かって歩いた。
でも——
その時。
地面から、何かが現れた。
黒い、影。
センチネル。
球体型。
「...!」
センチネルが、レーザーを放つ。
Kが、剣で弾く。
「来るぞ!」
センチネルが、次々と現れる。
5体。
Kが、前に出た。
剣を振る。
一体を斬る。
爆発。
でも——
残り4体。
「多い!」
閃も、戦う。
二体を相手にする。
マサキは、剣を生成した。
一体に向かう。
剣を振る。
センチネルの表面を斬る。
でも——
硬い。
「くそ!」
センチネルが、レーザーを放つ。
マサキ、避ける。
ギリギリ。
雫が、バリアを展開する。
「マサキ!」
バリアが、マサキを守る。
センチネルのレーザーが、バリアに当たる。
バリアが、揺れる。
「うっ...!」
雫が、耐える。
Kが、マサキのセンチネルを斬る。
爆発。
「助かった!」
閃が、二体目を斬る。
Kが、三体目を斬る。
全て、消えた。
「...ふう」
四人は、息を切らしていた。
「...きつい」
Kも、疲れている。
「...強い」
「気をつけろ」
四人は、また歩き始めた。
丘に向かって。
戦闘を、何度か繰り返した。
センチネルが、10体。
ハウンドが、5体。
四人で、協力して倒す。
Kも、苦戦している。
「...多い!」
閃が、叫ぶ。
「押されてます!」
雫が、バリアを展開する。
でも——
バリアに、ヒビが入る。
「もう、持たない...!」
その時——
Kが、大きく剣を振った。
広範囲攻撃。
光の刃が、敵を薙ぎ払う。
3体、爆発。
「今だ!」
マサキと閃が、残りを斬る。
全て、消えた。
「...ハァ、ハァ」
四人は、その場に座り込んだ。
疲れた。
Kも、息を切らしている。
「...きつかったな」
マサキは、頷いた。
「...ああ」
30分後。
丘の中腹に到達した。
Kが、立ち止まった。
「...日が暮れる」
「今日は、ここで休もう」
マサキは、空を見た。
太陽が、沈み始めている。
オレンジ色の空。
「...そうだな」
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【焚き火】
丘の中腹。
平らな場所。
雫が、焚き火を作った。
手を広げる。
光が集まる。
炎が、現れた。
焚き火。
温かい。
四人は、焚き火を囲んで座った。
マサキ、雫、閃、K。
沈黙。
でも——
心地いい。
波の音が、聞こえる。
風が、吹く。
マサキは、Kを見た。
「...K」
「ん?」
「なぜ、俺を助ける?」
Kが、焚き火を見つめた。
沈黙。
そして——
「...昔」
「大切な人を、失った」
マサキは、息を呑んだ。
「...」
Kが、続けた。
「助けられなかった」
「だから——」
Kが、マサキを見た。
「今度は、助けたい」
マサキは、何も言えなかった。
雫が、静かに聞いている。
閃も。
Kが、続けた。
「君は、諦めなかった」
「アルミンを、救おうとしてる」
Kが、少し笑った。
「それって、さ——」
「すごく、大事なことだと思うんだよね」
マサキは、少し反応した。
(「それって、さ」...?)
(「〜だと思うんだよね」...?)
その話し方。
どこかで、聞いたことがある。
でも——
思い出せない。
(気のせいか?)
マサキは、焚き火を見つめた。
Kが、続けた。
「だから、俺も手伝いたい」
マサキは、涙が滲んだ。
「...ありがとう」
Kが、頷いた。
「どういたしまして」
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【星空】
夜。
空に、星が見えた。
無数の星。
データの星。
でも——
美しい。
海が、星を映している。
波が、きらきら光る。
「...綺麗」
雫が、呟いた。
「星...」
閃も、見上げている。
「...美しいですね」
Kが、星を見つめた。
「...ああ」
「綺麗だ」
マサキは、星を見つめた。
(星)
(アルミンと、約束した)
(一緒に見るって)
マサキは、呟いた。
「...昔、誰かに聞かれたんだ」
「星、見たことあるって」
Kが、静かに聞いている。
「その人は、見たことなかった」
「だから、約束したんだ」
「いつか、一緒に見ようって」
マサキは、涙が溢れた。
「本物の星を」
雫が、マサキの手を握った。
「...絶対、叶うよ」
閃も、頷いた。
「必ず、連れて帰りましょう」
Kが、星を見上げた。
「...きっと、叶う」
「君なら」
マサキは、Kを見た。
Kが、微笑んでいる。
温かい笑顔。
マサキは、また星を見上げた。
(アルミン)
(待ってろ)
(必ず、連れて帰る)
(そして——)
(一緒に、星を見よう)
焚き火が、揺らめく。
波の音。
星空。
四人は、焚き火を囲んで、
夜を過ごした。
[第16章、終わり]




