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剣ヶ峰龍雅の欲望/Life.of.Predetermined:GreedDragon  作者: 六月不二
第2章《逆行編~Repeat.Time.Prison~》
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第参拾陸話《第二の輪廻 庚~回想:奈菜~》

 私の名前は、平山奈菜。

 私は、外界から閉ざされたある村で生まれた。

 そこは、ネット、いやテレビすらなくあるとしたら、旧式の冷蔵庫、白熱電球、そして、電話くらいだろう…バスは、一時間に一本か二本しかない。

 私の親は、この村の村長であり、この村にある神社の神主で、村の皆から慕われている。


 私は、生まれつきある力を手にしていた。

 それは、水と地を操る能力である。

 私は村の神である豊穣神の子孫として尊敬され、私は、能力を使ってある時は、田畑を耕し、ある時は、村の人々を災厄から守った。

 家には、感謝状や、贈り物が送られ、私の生活は幸せそのものだった。


 ある日、中学三年の頃、村に複数の隕石が降ってきた。

 そう、例のテロ事件の事だ。

 私は、全ての隕石を迎撃し、村の被害を最小限に抑え、私は、村の英雄として一層尊敬された。

 だが、以前から私の事を妬んでいた外から来た女教師は、この村では、科学的に進歩していないと判断し、私に対して隕石に関する濡れ衣を着せた。

 村で名声を得ようと、隕石を降らせたり、災厄を起こし、村人だけを守り腰抜けにさせ、田畑を耕して村人を怠惰にさせ、名声を得て、その村人は、名声を得る為のカモで、そして名声を得て、信用させ、信用を利用して命を徐々に奪ってゆく悪魔であると…

最初は誰も信じてはいなかったが、女教師がそうなるように人を一人二人三人と殺していき、そして死体を貼り付け、奈菜がやったかのように見せつけた。

それからは、私は、神の子から一転、忌み子として忌み嫌われ、学校では、虐めの対象になった。

物は投げられ、家のガラスは割られ、理不尽な乱暴を受け続けた

 やがて親も全教師も私の敵になり、様々な虐待をされたのち、家から勘当され、私は村のある小屋に幽閉された。

 私は、そこで体の骨は折られ、体を斬られたり、焼かれたり、殴られ、蹴られ、絞められ、嬲られ、殺されかけた。

 体は自然に治り、膜も再生する為、余計に気味悪がわれた。

まとも食事をする事は許されず、残飯のみを食わされ、嬲られ、孕んだ子供は、全て殺された。

 忌み子の血を継ぐ存在を生かしてはおけないと…

 私は、疲弊しきっていた。

 復讐心を起こす気すらなかった。

 私は、ただ無抵抗に、地を這い、腐臭漂う残飯を喰う。

 私は、永劫にも続くような地獄の日々を過ごした…こんな私を救う者はいないと私は思っていた。

だが、私に手を差し伸べてくれた人が居たのだ。

 私の通う中学の校長だ。

情報と科学の教師である校長桃華直吉だけが、私の唯一の味方で、私を匿ってくれた。

最初は、校長の家族は、拒否していたが、すぐに私を受け入れてくれた。

 校長は、この事件の真相を話してくれた。

 あの時の隕石は、人類選別軍というテロリストによるものだと

 それからは、校長は私の義理の親になり、私は、平山の名を捨て、桃華の名を名乗るようになり、校長の家で校長から全教科を受け、定期的にテストを受けた。

 校長の家は、広く田舎にしては違和感のある最新の設備を備えた豪邸だ。

 不正ながら、中学卒業は保証しようと、校長は言ってくれた。

 けど、残念だったのは、外に出られない事だけ、誰かに見つかってしまうと、面倒見きれなくなると、校長はそう言っていた。

 確かに、そうだ。

 私が表に出れば、校長は、私という悪魔を匿った者としてどうされるかわからない。

 数ヵ月が経ち、中学卒業式の日、私は、校長の書斎に呼び出された。

 私は、そこで卒業証書と履歴書とアタッシュケースを受け取った。

 

 「これは?」

 「そろそろ、隠しきるのも、限界が来てしまったようだ…奈菜、君は、この村から出なさい…」

 「どうして!?」

 「表向きでは、君が死んだことになっているのは、知っているだろう?」

 「えぇ…」

 「どうやら、君が生きているという情報が何処かで漏れてしまったらしい…直ちに村の者達が家々を回って血眼で君の事を殺しに来るだろう。それに、こんな所で一生を過ごすつもりか? こんな籠の中で、一生…君は、鳥ではない人間だ。人間は、外の世界を見る必要がある。私の家は、云わば都会の家の中だ…だが、外は君を嬲ろうとする迷信だらけの田舎…君は、そんな奴らにやられていいのか!? 否、君の才能は、外で活かされるべきだ! 私は、知っている! 君の力が認められる場所を! 私は、君の為を思っているんだ!」

 「けど、それでも…私は…」

 「どうやらわかってくれないらしいな…では、こちらにも手段が有る…YS…」

 『はい』


 校長がそう言うと、目の前に、ガスマスクを着けた金髪の少女が入って来た。

 少女の声は、無機質な女性の声だった。

 少女は、手に白銀の大きな鍵を持っていた。

 神々しくも禍々しく生々しい鍵で、見方を変えると剣にも見える。


 「やりなさい…」

 『はい』


 少女は、私の体を斬った。

 その時、私の意識は途絶え、私が死に、能力の封じられた新しい私が生まれた。


 「では、YSさん…後は、頼みました…」

 『えぇ…お任せください…』


 少女は、私を抱え、空間の穴に入って行った。

 

 (幸せになれ…奈菜…君は、決して悪魔なんかじゃない…仮初めの平和なんて捨てて、真の平和を手に入れろ…)


 校長の家族は、その後、私を匿っていた情報が漏れて暗殺された。

 校長室で、私を匿っていた証拠が見つかったそうだ。

 犯人は、分かっていない。


 目が覚めると、そこは見た事が無い家の中だ。

 私は、ベットの上で眠っていた。

 私の中に、記憶はない…名前はわかる…私が見た老人の事もわからない。

 ここは、何処? 私は誰なの?

 私は、記憶を失った。

 記憶喪失というものだ。

 私は、ベットの隣にあったケースを見た。

 ケースを開けると、そこには、千万円の金が積まれていた。

 私は、その金額に驚いた。

 そしてケースの隣には、高校入試に必要な物が全て揃っていた。

 私は、誰が用意したのか、わからなかった。

 だが、入試に必要な物全て、保護者名に、桃華直吉という男の名が記されていた。

 どうやらこの男が、私にこの全てを渡してくれたそうだ。

 

 「私は、何者なの?」

 

 履歴書などの資料をよく見てみると、そこには私の名前らしき少女の名が記されていた。


 「桃華…奈菜…?」


 私は、理解した…直吉という男は、私の父であると、私は、家で父を待つ事にした。

 数時間後、夕方になると、家に備え付けられてあった固定電話が鳴った。

 私は、受話器を手に取った。


 「誰?」

 『もしもし…私の名は、YSという者です。私は、貴方をサポートする為に、貴方の父、桃華直吉に雇われました。しばらくの間、貴方を電話越しにサポートさせていただきます。』


 電話越しに爽やかな男性の声が聞こえてきた。


 「父さんに?」

 『そう、その反応では、既に自分の父の名前を知っていたようですね。』

 「父さんは何処に?」

 『…残念ながら、もうこの世にはいません。私は、貴方の父の遺産で、雇われたのです。』

 「そんな…では、あのケースに入っていた金は…」

 『そうです。貴方の父の遺産です。』

 「…」


 私は、目から涙が流れた。

 滝の様に流れてきた。

 私は、その場で泣き崩れた。

 顔も声も姿も覚えても居ないのに、私は泣き崩れた。


 『大丈夫です…大丈夫ですよ…私が付いています。』

 

 私は、YSと名乗る男性に、励まされた。

 それから一年の時が経った。

 私は、銀河丘高校と呼ばれる高校に入学し、東京の街に馴染んだ。

 YSとの契約は切れ、私は少し間だけ鬱になったが、すぐに立ち直った。

 私の家は、父の別荘らしく家賃は必要なかった。

 私は、塾に通っていた。

 急いでいるので、裏路地を通る事にした。

 だが、その選択が誤りだったのだ。

 不良三人が私の事を犯そうと襲ってきたのだ。

私は、必死に抵抗するが、女の私では、男の力に敵う数も無く押さえつけられた。

私は、このまま犯されるのかと思い、絶望しかけたその時、不良二人が、突然、顔に酷い傷を負って倒れた。


「誰だ!」

「今の内に…」


 私は、すぐそばにあった鉄パイプを持って、最後に残った不良をパイプで殴り、気絶させた。

 中性的な声の男は、私が茶髪の男を仕留めた事を称賛してくれた。

 私は顔を上げ、その男の顔を見た。

 そこには、まるで別世界からやって来たかのような王子様が私に手を差し伸べてくれた。


 男は、名前を言わず、路地裏から路地へとエスコートし、そのまま立ち去って行った。

 私は、その男に惚れた。

 数日後、私は、銀河丘高校の二年に進級する事になった。

 クラスは、G組、最悪だ。

 G組は、クラスカーストの中でも最悪とされている部類だ。

 だが、そこで最低から最高に変わることが起こった。

 それは、同じクラスに数日前に私を助けてくれた王子様が同じクラスだったからだ。

 彼の名は、剣ヶ峰龍雅…総合格闘技世界チャンピオン剣ヶ峰勇雅の長男だ。

 私は、彼は優しく私と会話してくれる。

 けど、少し性格に癖があるけど、例えば女たらし、喧嘩が好き、何を考えているのか分からない…でも、私だけでは、釣り合えないという事は理解している…私は、彼が女たらしという事を利用し、彼と紗里弥が内緒で計画しているハーレム計画を盗み聞いて内緒その計画を利用する事にした。

 そこからは、龍雅に近付くのは簡単だった。

 私は、龍雅君と一緒に居られるそれだけで幸せな筈だった。

 数日後、龍雅君が危ない所で、何かを見ていた。

 私は、龍雅君が自殺するんじゃないかと、思って龍雅君に声を掛けると、龍雅君は、自殺じゃないと言い、そして残酷ショーが始まるから見ていくかと、私に誘ったが、私は断った。

 その数十分後、私の頭が痛み始めた。

 私の脳内に、選別軍の一員となれ、選別軍の一員となれば、お前に封じられたモノを解いてやろうと、しつこく勧誘してきた。

 時間が経つ度に、痛みは増してゆき、拒否反応を起こすと痛みは増し、そして屈しようとすると、全身に快楽が走る。

 私は、選別軍に屈した。

 その時、新しい私は眠り、私は目覚めた。

 私は、過去の記憶を思い出した。

 私は、絶望の記憶を思い出した。

 私が、悪魔と呼ばれた時の事を思い出した。

 私は、二つに分かれた。

 私は、悪魔よ…

 なら、私に優しくしてくれた龍雅君を独り占めしてもいいよね…

 けど、その前に私の邪魔をする奴らを殺さないと…

 皮肉にも私は、憎むべき相手から力を得た。

 私は、龍雅君を怒らせ、そして無垢な新しい私を襲おうとしたあのクソ野郎を殺し、再び眠った。

 後は、龍雅君に蔓延る虫を殺せばいい…そうすれば、龍雅君が私のモノになる…

 私は、次に目覚める時を待った。

 その時が、私が私の為に、龍雅君を…

 待っていてね…もうひとりの私…そして龍雅君…

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